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Re: ヘーゲル哲学の入門書
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投稿者 南青山 日時 2006 年 5 月 02 日 00:15:23: ahR4ulk6JJ6HU
 

(回答先: 匿名性の段階の違い 投稿者 heart 日時 2006 年 5 月 01 日 20:26:47)

heartさん、どうもです。

>ヘーゲルはわかりませんが・・・何か、いい本があったら教えてください。

一番は(翻訳された)原典を読むことです(最近は長谷川宏という人が丁寧でわかりやすい日本語に訳してくれているので助かります)。
何が書いてあるのか、さっぱり分からなくとも、わからないということを知るだけでも読む価値があると思います。
さすがに、急にヘーゲルではちょっと敷居が高すぎると思いますが、入門書としてなら『歴史哲学講義』(上下、岩波文庫)がおすすめです(ヘーゲルの一番わかりやすい入門書は、やはりヘーゲルのものが最良と思います)。
歴史(人類史)をどう考えるかは、私たちがどう生きていくかを考える上でも、非常に参考になります。
また、この本は、哲学的思考とはどのようなものなのか、ヘーゲル哲学の背景はどのようなものかを知る上でも、なかなか参考になります。

ヘーゲルとは直接関係ありませんが(間接的には大いに関係あるのですが)、吉本隆明の『共同幻想論』(角川文庫)もおすすめです。
タイトルはいかめしいですが、国家や宗教、家族も含めた社会の成立という問題を、民族譚の「東野物語」や『古事記』を読み解きながら、解明しています。
その道具として、ヘーゲルやマルクス/エンゲルス、ハイデガー、フロイトなどが援用されていますが、中心は吉本隆明という人の独自の思考で、発表当時(からかなり長い期間に渡って)、思想界に大きな衝撃を与えた著作です。

公共性や国家のあり方を考えるなら、最近出たばかりの『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(柄谷行人、岩波新書)と、同じ著者の『倫理21』(平凡社ライブラリー)をぜひお読み下さい。
市民社会や宗教、環境問題を考える上でも、目から鱗が落ちるような議論が展開されています。

>哲学はこれまでやったことがないのです。現実離れした学問のように思っていたので。
>しかし、哲学をやっている人は現実を分析する力があるようだと、阿修羅に来て、思います。

実は、哲学は私たちがこの世界を生きていくうえで、非常に重要な考え方やヒントを与えてくれます。
また、事実とは何か、事実をどのように見極めたら良いのか、論理とは何か、倫理とは何か、理性的に考えるとはどのようなことなのか、といった、実生活には直接関係ないけれど、人間社会や環境問題、国家や社会について考えるときにぜひとも必要な思考法について、その手がかりを与えてくれます。

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