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http://www.geocities.jp/seikatushahoni/kskoumu.htm
公務員の生産性向上(ニーズに合った効率的な行政運営の確立)
2002.10.7
(1)公務員の生産性向上の重要性
日本の公務員の数は、全就労者の1割程度と諸外国に比べかなり少ないといえますが、社会全体の生産性を議論する上で決して無視できる数字ではありません。
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一般的な数字は、82兆円、地方を足すと166兆円、特別会計などを加えると412兆円 広義の公務員900万人【日経新聞】
http://asyura2.com/0510/hasan43/msg/310.html
国税庁がまとめた二〇〇三年の源泉所得税の納税状況をみると、政府部門の就労者に区分される人は893万人いた。
日本の15歳以上の人口は、16(2004) 1億990万人 労働人口は、6,642万人
http://www.stat.go.jp/data/geppou/#c
総務省 統計局
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さらには、特に行政にかかわる公務員の仕事は、社会全体へ多大なる影響は与えていると言えます。
「公務員の生産性向上、業務の質的向上」無くして、暮らしやすい社会の実現はありえないはずです。
(2)公務員への社会的要請
1)民間企業の営利活動の公益性を確保するための重要な仕事
日本社会の物やサービスの供給セクターは、民間企業、NPO、公的機関に大きく分けられます。
それぞれの特徴を生かした合理的な分業や適正な競争関係を実現していくことが、社会改革の非常に重要な視点となるべきであると考えます。
民間企業の主な利害得失は、厳しい競争原理に裏づけされた高い生産性と、営利活動が社会全体に不利益をもたらす危険性にあると言えるでしょう。
公的機関の主な利害得失は、上記をほぼ裏返したものと言えるでしょう。
ここでは、議論を必要以上に複雑にしないために、NPOに関する記述は省略させていただきます。
民間企業の欠点である反公益の危険性を補うために、以下の施策が実施されます。
・ 諸規制や政策的な税制や公的機関による監督
・ 公的機関による適正な民間委託
規制緩和については非常に熱心に議論されていますが、それ以上に大事なのが「企業の営利活動と社会の利益を整合させる」という本来の目的に合致した「良質な規制」の充実強化です。
そのような良質な規制の強化において、高度な公益性と専門性と実務性を持って活躍すべきは、「既得権益を守る規制強化ばかりに熱心」と批判されている行政関係者のはずです。(三権分立の原則で言うと本来おかしいのかもしれませんが)
役所が民間委託するぐらいなら、なぜ民間企業にはじめから任せないのかと言う単純な疑問が生じますが、以下のような場合は公的機関を通して民間委託するほうがメリットがあると考えられます。
・ 現状の諸規制、税制だけでは民間の営利活動の公益性を確保できない場合
・ 発注先の選定、仕事内容の監視を個人レベルや自治会などで行なうより、公務員が代行サービスした方が効率的である場合
いずれにしても、公務員が民間人以上の公益性と専門性を持たない限り、納税者は余分な行政経費を払うはめになってしまいます。
2)どうしても公務員がやらないといけない仕事
さらには、「民営化や小さな政府」が指向されていますが、以下のような営利的な活動がどうしてもなじまない分野も多々あります。
@唯一性、統一性が求められ、複数の民間会社が競争することがなじまない社会サービス
A受益者が特定しづらく消費者が対価を払いづらい(対価を払っていなくてもサービスを
受けることのできてしまう)社会サービス
B弱者救済の為に目先の採算性を度外視してしないといけない仕事
特にBについては、NPOやボランティアの活躍を期待する声が高まっています。
その議論の中に、極めて危険な落とし穴があります。
例えば、高福祉国家スウェーデンには殆どボランティアはいません。その理由は、行政責任の明確化、サービスの継続性、専門性の確保にあると言われています。確かに冷静に考えて見ると、本来公務員が執行すべき社会サービスを、高給に恵まれた公務員が責任もって執行せずに、良心的な人が無償で代行しているというのは、色々な意味で極めて不公正な状態と言えるでしょう。
公務員には、自分自身が執行すべき行政に対する当たり前の責任感が求められています。
3)まとめ
公務員は、民間企業の営利活動の適正化に対しても、民間企業が活躍しづらい分野を補完するうえでも、非常に重要な社会的使命を有していると言えます。
その適切な業務執行のために、公務員には、民間人より高い公益性と、民間人並の専門性、生産性、責任感が求められています。
(3)公務員の生産性向上、業務の質的向上を実現するための施策
一方、公務員は、公務員試験に合格した優秀な頭脳の持ち主であることを除けば、決して特別な人々の集団ではありません。
言うまでもなく、ヒステリックなマスコミが指摘するような非社会的な人たちの集団でも、生まれながらに公益性を持った仙人の集団でもありません。
公務員個人に対する必要以上の不信感と過大な期待を取り除き、「公務員の生産性向上、業務の質的向上」を阻害する職務環境を理性的、客観的に見渡せば、生産性向上を実現するための施策がはっきりと見えてくるはずです。
以下に、公務員の生産性向上、業務の質的向上を実現するための最も優先すべきであると考える施策を列挙します。
1)ニーズに合致した仕事ができる環境作り
@ 組織の垣根を越えた抜本的な人員配置適正化
A ニーズバンク構想と、Cの公務業績評価機関との連携
B 市民のニーズを個別社会サービスに直接的に反映させる制度の確立
2)適切な業績評価制度
C 公務評価機関の設置
D 専門性重視の人事評価制度
E 独立採算制の積極導入
F 民間企業、NPOとの競争促進
3)実効性ある責任体制の構築
G 公的サービスの範囲と目指すべきレベルの明確化(市民憲章の確立)
H フラット型組織への変革(権限と責任の現場への委譲)
I 公務員特権の廃止
J 行政賠償制度改革
K 説明責任、情報公開責任の制度化
@について
優秀な公務員がその能力を十分に発揮できない最も大きな原因は、人員配置のアンバランスだと考えます。
例えば、ハローワークは、深刻な失業問題の中でその社会的ニーズが極めて高いのにもかかわらず、スタッフの極端な不足から充分な社会サービスが提供できない現状にあります。
その他にも、多くの納税者が切望しているのに、人員不足を理由に充分なサービスが提供できない公的機関は山ほどあります。
一方で、民間企業の常識をはるかに超える余剰人員やアンバランスな間接人員を抱える公的機関、部署もかなりあるはずです。
民間委託範囲を拡大することが盛んに行なわれていますが、このような施策は、それに応じた大胆な人員配置の見直しをしなければ、納税者に多大なる不利益しか与えません。
公務員の硬直的な人事制度と近年の新規採用の画一的な抑制が、このような社会のニーズと人員配置とのミスマッチを拡大し続けています。
省庁、部署、分野の垣根を越えた抜本的な公務員の人員配置見直しと再教育は、行政改革の中でも最重要課題であると考えます。
Aについて
上記のような人的資源の集中投資先の選定においては、納税者のニーズの不満足度を唯一の尺度とすべきでしょう。そのために、ニーズバンク構想が十分機能することを期待します。
人を減らすべき部署の適切な選定は、当事者にはそもそも不可能と言えます。
その選定には、Cの公務評価機関が十分に機能することを期待します。
その選定においては、同種のサービスを提供する部署の業務規模、人員数、直間比率を全国レベルの公的機関や海外の事例、企業と比較検討することにより、かなり客観的に行えると考えます。
Bについて
ここで述べる施策の全ては、行政サービスを市民のニーズに合った物に変えていく間接的な効果を持ちますが、それよりも直接的な効果をもつ以下の施策も強く求められます。
1)一部の民間委託先の選択権を市民に委譲する。
2)市民提案型、企業提案型PFI
1)について
例えば、学校給食やごみ収集の委託先の決定権を、PTAや自治会に委譲してはどうでしょうか。
委託先を選ぶために必要な各業者の情報収集や、委託後の監督といった仕事は、もちろん従来通り公的機関が行います。
ユーザー自身が選択をすることにより、よりニーズにあった社会サービスが実現できると考えます。
公務員と業者との癒着や権益を疑う必要もなくなるでしょう。
2)について
持続可能な市民コンセンサス型公共事業への変革を参照願います。
Cについて
納税者への良質な社会サービス供給に貢献した公務員と、行政機関の組織防衛に貢献した公務員とを、適切に人事評価する仕組みは、現状全くないと言っても過言ではないでしょう。
前者の公務員を十分に評価し、昇進や給与にその評価結果を反映する人事制度無くして、行政の質的向上は期待できないと考えます。
それを外部から促す最も有効な方法は独立採算制の採用と言えますが、その採用が困難な部署が殆どなのも事実です。
そのような各官庁の各部所の業績と生産性の評価を、納税者の利益を代表する第3者機関が行うことを提案します。
具体的な評価項目を以下に示します。
・個別公的サービスのレベル(Gの達成度)
・情報公開・説明責任の遂行度
・諸経費の妥当性(職員人件費、委託費等)
このような評価結果が、部署全体の給与や部署責任者の昇進に対し、適切な影響を与える必要があります。
一方、公務員の人件費を抑えてより多くのお金を自分に使ってほしいと考える納税者のエゴにより、不当な低評価を与える危険性もあるでしょう。
このような評価が公正かつ適正に行われるためには、以下が不可欠であると考えます。
・同種の他地域部署、海外部署との適正な比較評価と評価結果の整合性・均一性確保
・評価結果の公開と、労(公務員)使(納税者)対等の立場での評価結果の協議・検証
Dについて
公務員に求められるのは、社会サービスに関する高度な専門性と説明能力のはずです。
しかし、現状ではそのような専門性に長けた人材は人事的に決して相応の待遇を得ているとは言えないでしょう。
仕事の中身が分かっている人がより高く評価される、能力重視の人事評価制度の確立が望まれます。
Kにより、説明能力のない人が、責任者に実質的になれない状況になることを期待します。
Eについて
公務員の給与は、C、Jと関連して、業績と連動したものとすべきであると考えます。
適用できる部署は限られると思いますが、その最も合理的な方法は、独立採算制の採用と言えるでしょう。
Fについて
民業を不当に締め出す規制の緩和や、別途提案している自由選択税制度の導入等の法改正により、民間企業、NPOとの対等な競争を実現できる分野は多々あると考えます。
もちろんそのような分野は、完全な独立採算制の導入が前提となるはずです。
Gについて
前記では、ボランティアに安直に頼る行政の理不尽さを指摘しました。
そのような極端な無責任さは当たり前のようになってしまうのは、公的サービスの範囲やレベルが明確に約束されていないからだと考えます。
公的サービスの内容を書面で約束しているのが英国の市民憲章です。
日本においても、行革推進ネットワーク“WHY NOT”のHP上でその日本版を作る試みがなされています。
このような市民憲章無くして、行政の責任ある遂行は不可能でしょう。
Hについて
役所であれ企業であれ、多様化するニーズに対応するためには、より顧客に近い現場への権限と責任の委譲が不可欠といえます。
しかし、その予想される弊害が、各部署での判断ミスとサービスの不適切なムラが生じる危険性の増大です。
それを防止するためには、市民の監視の目とその声を集約するCの公務評価機関の活躍が不可欠と考えます。
Iについて
スト権自身が形骸化している現在では、公務員に限った雇用の保証は、何の論理的な根拠もない究極の労働条件不平等であると考えます。
米国やスウェーデン等公務員の雇用保障のない国は結構あるはずです。
このような違憲とも言える不合理な制度を廃止することを、決して公務員の数を減らすためではなく、公務員に緊張感を持って仕事をしてもらうために提案いたします。
さらには、各部署の業績とは無関係に保障される公務員の給与制度も改革されるべきであると考えます。
Jについて
効率的かつ有効な行政を行う上で、最も重要な要件は行政責任の明確化と考えます。
よく役人は権限だけもって責任が無いと言われます。人間は基本的に弱い動物です。責任の無い人が良い仕事をすることは難しいでしょう。
行政の不祥事におけるお決まりの文句が、「国の負担で・・する。」でしょう。
これは正確には「何の関係も無い納税者の負担で・・する」と言うべきでしょう。
民間の企業が不祥事を起こすと、その賠償金は役員報酬や長い目でみれば従業員の賞与から支払われることとなりますが、今の行政機関ではこのようなことはありえません。このような状況でまともな行政の執行はもともと不可能なはずです。
行政責任の明確化のために、行政経費の明確化と、国家賠償は基本的にはその行政経費から支出する制度を設けるべきであると考えます。(平たく言えば、行政賠償額の分だけ公務員の給与が下がる制度)
現在の国や地方の歳出の内訳に関する公表内容は、このような行政経費(現業系を除く公務員の人件費、官庁の建設維持費、事務費や出張費、運転手代等)がどのぐらいかかっているかがわからないようになっています。これを明確にすることは、納税者に対する行政の義務のはずです。
行政の失態の尻拭いをうやむやのうちに納税者にさせるような制度は、即刻改革すべきと考えます。
「国の責任」とは、行政や納税者も含めた国家全体の連帯責任です。「行政の責任」とは当然それを執行している公務員全体の連帯責任です。少なくとも民間人にとっては両者の差は非常に大きいといえるでしょう。
Kについて
行政の説明責任と情報公開は、行政サービスの適正化を図るうえで絶対必要不可欠なものと考えます。行政サービスの適正化なくして、公務員の生産性向上は望めません。
その遂行を確実なものにするために、個別的・散発的な対応とは別に、説明責任を果たすべき必須項目、情報公開すべき必須細目をあらかじめCの公務評価機関が定めることを提案します。
それに対する個別部署の責任遂行状況を整理し一覧にして、その評価結果も合わせてインターネット上で公開することを提案します。
さらには、定期的に公聴会を開き、市民との自由討議の中で、部署責任者自らが説明責任を果たすことを提案します。
顧客に対し説明責任が果たせる人は、一番仕事の中身を把握し自ら主体的に行動している人です。
そのような人が確実に昇進する組織は、多くの人に顧客のために仕事をする確実な動機付けを与えます。
逆に、政治力や内部調整によって組織防衛することに長けた人が昇進する組織では、顧客のための仕事はなおざりにされ、多くの人が一生懸命内向きの仕事に没頭します。
なお、長期的な視点で見ると、最終的には企業とNPOと公的機関を実質的にはボーダレス化していくことが重要であると考えます。
上記のような行政改革、適正な規制強化、NPOの事業化推進の先には、そのようなボーダレス化の社会がまっているはずです。
その点の詳しい議論については、別途整理したいと考えています。
以上の提言には独自の視点も多く含まれていますが、その内容充実度は、「参考にした知見」に挙げさせていただいた「役所は変わる。もしあなたが望むなら 村尾信尚著 淡交社」の足元にも及ぶものではありません。
絶対お勧めの上記名著をぜひ読んでみてください。
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