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トヨタ国富論(3)重み増す「公」の役割――奥田頼み脱却なるか。        【日本経済新聞】
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投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 24 日 22:09:28: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先:  GM株なお「売り推奨」――1―3月赤字11億ドル、通期予想示さず、市場冷え込む。 【日経金融新聞】 投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 24 日 22:03:22)

トヨタ国富論(3)重み増す「公」の役割――奥田頼み脱却なるか。2006/01/07, 日本経済新聞 地方経済面 (中部), 7ページ, 有, 2503文字


 「愛する人を後ろに乗せれば、安全運転を心がけるようになります」。米ハーレーダビッドソン社の幹部の訴えに静かに耳を傾けていたのは、政府の規制改革委員会委員の川口順子(当時、現参院議員)だ。川口の後ろにはトヨタ自動車社員が控えていた。それから数年たった昨年、二輪車の高速道路での二人乗り走行は解禁された。
 トヨタにとって二輪車の規制緩和は利害関係のないテーマ。だが自動車・二輪車業界の多くの企業は、会長の奥田碩(73)を中心に経済財政諮問会議など政治と太いパイプを持つトヨタの政策実現能力に期待を寄せる。
 政策立案を支える頭脳集団の中心は総勢約五十人の渉外部。政府や国会議員との情報交換や陳情が主な仕事だが、時に政府の施策に対し、日本経団連などを通じて対案を提示することもある。
 日本経団連会長でもある奥田を支えるのも重要な仕事の一つ。昨年九月に合意した日タイ間の自由貿易協定(FTA)では、直前に奥田自らタイを訪れるなど側面支援に動いた。協定は自動車部品の関税撤廃などが柱。自動車業界は同国を世界展開の一大拠点に位置づけており、トヨタは業界にとって利点の多いシナリオに一役買った。
 こうした活動は政府が期待するところでもある。「トヨタから人が欲しい」。経済産業省通商政策局長(当時)の林洋和(57)からの要請で、トヨタは二〇〇四年に初めて同局に女性社員を出向させた。同省出身の川口は「日本企業が現地で活動しやすい環境を政府が提供するためにも企業の協力が不可欠」と語る。
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 ただ、政府との距離が縮まるほど、トヨタの活動は業界への利益誘導だけでは許されなくなる。
 今年施行される新会社法。買収防衛策を容易とすることが柱となる法策定でもトヨタは動いた。策定にかかわった衆院議員は「原案はトヨタの法務部が作った案とほとんど同じ」と明かす。
 同法策定の実動部隊となった経産省の「企業価値研究会」。トヨタからも常務役員の畑隆司(52)が参加した。研究会を立ち上げた同省産業組織課長(当時)の日下部聡(45)は、様々な企業に意見を聞いたが「トヨタの反応が最も早かった」。その日下部は昨年九月に自動車課長に異動。「トヨタとは不思議な縁がある」と笑う。
 〇五年、日本は人口減少を経験した。高齢化社会の到来で医療費増大への対策など社会保障制度改革の必要性は増すばかり。現在、奥田がトヨタの頭脳集団に突きつけている宿題も社会保障制度の改革案だ。
 奥田が議員を務める政府の経済財政諮問会議。〇五年に開催した三十一回のうち、社会保障が議題に上ったのは実に八回。奥田ら民間議員はそのすべての会議で提案を盛り込んだ資料を提示、議論をリードした。中でも奥田は議題が社会保障になると身を乗り出す。
 この「民間議員提出資料」を中心となって作成したのが、渉外部などトヨタの頭脳集団だ。米ゼネラル・モーターズ(GM)が年金や医療保険の負担など社会保障のレガシーコストを抱えて衰退する様は、トヨタにとって決して人ごとではない。持続可能な社会保障制度とは何か――。トップと共有する問題意識が彼らを突き動かす。
 半世紀前「GMにとって良いことは米国にとっても良いことだ」とGMは誇った。トヨタは正反対だ。「日本にとって良いことはトヨタにとっても良い」(幹部)。
 トヨタの影響力に対し、「日本を自分たちに都合良く変えようとしている」との冷ややかな声があるのも事実だ。だがトヨタは官と民を橋渡しする「公」の役割を模索しているようにも映る。
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 首相の小泉純一郎(63)が掲げた道路特定財源の一般財源化問題では複雑な立場も見せた。トヨタ幹部は「小泉改革には賛成してきたが、直接利害にかかわる話になると、つい心が揺らいでしまった」と漏らす。
 内閣改造前夜の昨年十月末、奥田は小泉に「一般財源化は理解しているが、今はまだ道路にはいろいろ課題が残っている」と話した。だが小泉は何も答えなかった。
 「一般財源化はやむを得ない」。関係者にあきらめムードが漂った十一月。トヨタ関連企業の集積する刈谷市などが地盤の自民党衆院議員の大村秀章(45)が動いた。
 十日夜、「日本の蕎麦(そば)を愛好する会」でのこと。前日に自民党道路調査会長に就任した石原伸晃(48)に財務相の谷垣禎一(60)が声をかけた。「道路特定財源の見直し、よろしく」。同席していた大村は「勝手なことは許さない」と反発。すぐにトヨタ副会長の張富士夫(68)ら幹部に電話し、巻き返すよう促した。
 トヨタの中堅らには「奥田さんからもう一度、小泉首相に話してもらおう」との期待があった。だが奥田の返事は「何でもおれにやらせるな」。すっかり「奥田頼み」に慣れていた中堅幹部らは慌てた。政府・与党が方針を決める十二月上旬まで半月。関係議員への説得を必死で繰り返した。
 結局、政府方針に「一般財源化を目指す」との文言が入ったものの「必要な道路は計画的に整備を進める」と明記された。関係者は胸をなで下ろしたが「今回ばかりは業界の利益のためではないとは言い切れない」。
 トヨタの存在感は大きくなりすぎた。一心不乱に稼ぐ民の立場、官を補完する公の役割の間で、下手をすると金縛りに遭いかねない。
 会長の奥田は今年、日本経団連会長を辞めるのを機に主な公職から退くとみられる。「ポスト奥田」時代もトヨタは社会とバランスを取りつつ公的役割を果たし続けられるのか。〇六年にトヨタが迎える転機は、決して世界生産台数トップの座に就くことだけではない。(敬称略)
【表】奥田碩トヨタ会長の主な公職・団体職  
(2005年12月末現在、現職のもの)  
  就任時期
経済財政諮問会議議員  01年1月
日本経団連会長  02年5月
経産省産業構造審議会会長  02年7月
国交省交通政策審議会会長  03年1月
財務省財政制度等審議会臨時委員  03年4月
国土開発幹線自動車道建設会議委員  03年12月
皇室典範有識者会議委員  05年1月
【図・写真】経済財政諮問会議に臨むトヨタ自動車の奥田会長(右から2人目)=昨年10月27日、首相官邸

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