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(回答先: 英企業の日本法人、株売却43億円所得隠し…国税指摘 【読売新聞】 投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 04 日 11:18:27)
2006. 01. 03
英企業日本法人の巨額所得隠し 税逃れ手法、次々上陸 法整備遅れ対応後手
東京朝刊 社会
39頁 1277字 04段
日本の映画興行界の勢力図を塗り替えた企業売買の舞台裏で、海外取引を装った巨額の税逃れが行われていた。英企業グループの日本法人「ヴァージン・エンターテイメント・ジャパン」(東京都港区)が、傘下にあった映画館運営会社の株売却を巡って東京国税局に指摘された43億円もの所得隠し。スイスの系列会社を介在させた取引自体が架空と認定されたが、取引の目的は日本とスイスの税率の差を利用しようとした点にあったとみられている。専門家によると、税制の違いに目をつけた国際的な税逃れは増える一方といい、今回のケースも「氷山の一角」との見方が強い。
M&A(企業の合併・買収)の対象となった「ヴァージン・シネマズ・ジャパン」は、1997年に設立された。東宝(千代田区)に売却されるまでの5年半、積極的な事業展開で東京、大阪、名古屋、福岡など8か所に複合映画館(シネマコンプレックス)をオープンさせ、年商100億円に急成長した。東宝の直営館は都市部が多く、シネマズ社の郊外型映画館を傘下に収めたことで、スクリーン数では「ワーナー・マイカル」(同区)を抜いて国内トップとなり、注目を集めた。
この過程で、シネマズ社株の過半数を持っていたエンター社は、売却益の一部を、税率が日本より低いスイスの系列会社に移した形を取った。各国で異なる税制の抜け穴を突く手法は、「国際的租税回避スキーム(枠組み)」と呼ばれ、海外ではスキームを専門に開発・販売する会計士、コンサルタントらもいるという。
国税当局はこれまで、外資系企業が、日本と外国の税制の違いを調整する租税条約の抜け道を狙って税逃れを図ったなどとして、巨額の申告漏れを指摘してきた。しかし、いずれも架空取引や書類の偽造などがなかったとして、懲罰的な重加算税は課さなかった。
シネマズ社の買収で使われた手法も、日本とスイスの税率の差額分を逃れようとした租税回避スキームだが、取引自体が架空だったとして重加算税の対象とされたまれなケースだ。
米国では、新しい節税手法は事前に国税当局に届けなければならない。国税当局は新手法を分析・類型化し、個別の法律を作って禁じており、届け出がなければ脱税として刑事罰の対象にできる。日本にはこうした仕組みがないため、海外で使い古された税逃れの手法が持ち込まれても対応しきれていないという。
国士舘大学の本庄資(たすく)教授(国際租税法)は、「日本の国税当局が国際的な税逃れを見つけ出すのは、大海の中を手探りするようなものだ。だが、放置し続けると、資金力のある企業など強い者だけが恩恵を受け、取り逃した税金のツケは国民に新たな税負担として回ることになる。法整備や外国との連携強化を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らしている。
〈M&A〉 他の企業が持つ施設や営業権の買い取り、株の取得も含む。M&A仲介会社「レコフ」(東京)によると、2005年、日本企業がかかわったM&Aは、過去最高の約2700件。数年前まではリストラ目的が多かったが、最近は他業種への新規参入や利益向上を目指す「攻めのM&A」が増えているという。
【読売新聞 2006/01/03 朝刊】
http://www.yomiuri.co.jp/index.htm