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丸激第259回 [2006年3月17日収録]
もう牛肉を食べても本当に大丈夫なのか
ゲスト:福岡伸一氏(青山学院大学理工学部化学・生命科学科教授)
プレビュー
今週の丸激は、狂牛病の病原体がプリオンであることがまだ十分証明されたわけではないというお話です。
プリオン説を最初に唱えたカリフォルニア大学のプルシナー教授が、97年にノーベル賞を受賞して(プリオンの呼称も教授の発明だそうです)、今やプリオンが狂牛病の原因であることが定説であるかのように幅を利かせていますが、実際は人類はまだプリオンのみを抽出することにすら成功していないそうです。ということは、それを他の動物に移植した時に同様の病気が発症しなければならないとする『コッホの病原体三原則』がまだ確認できていないということになります。まだ、プリオン病原体説は仮説の域を出ていないんですね。
もちろんプリオン及びその周辺物をマウスに注入すると、狂牛病と同様のプリオン病が発症するので、プリオンが何らかの形でこの病気と関わっている可能性は非常に高いと思われるし、またプリオンが集中している特定危険部位を除去することで狂牛病への感染が著しく低減されるのも事実なので、狂牛病がプリオンとまったく無関係であるとは思えない客観的状況は存在します。
しかし、福岡先生はプリオンが原因ではなく結果である可能性を排除すべきではないと説きます。つまり、プリオンが狂牛病の原因ではなく、何か別の病原体によって狂牛病に罹った結果プリオンが発生するという可能性も考えておいて方がいいというのです。病原体そのものではなく、病原体の足跡である可能性があるというわけです。純粋にプリオンだけを抽出できないということは、プリオンと一緒に別の病原体もマウスに注射してしまっている可能性があります。
とは言え、まだプリオン以外の、例えばウイルスとかバクテリアなどの病原体が一切見つかっていないので、これはあくまで仮説でしかありませんが、その意味ではプリオンもまだ仮説の域を出ていません。プリオン説を前提に全ての対応を考えるのは危険というか、無謀という感じはします。何せ、ワクチンも特効薬も治療法も無い、一旦罹患すれば、致死率100%の病気なわけですから。
もしプリオンそのものが病原体でないとすると、病原体がリンパ組織の中をグルグル回ってる可能性が排除できず(プリオンが蓄積する部位はリンパが集中している部位でもある)、その場合は牛の筋肉や血液でさえ安全とは言えなくなります。つまり、SRMさえ除去していれば大丈夫という現在のBSE安全対策は成り立たなくなるとことになります。
その一方で、延髄閂部にプリオン反応が出た牛は全て焼却処分にするという国際的にはすこぶる批判の多い日本の『全頭検査』が、とても重要ということになってきます。(プリオン足跡説に立てば)あくまで足跡を見た上での判断ということにはなりますが、足跡が見つかった牛は一切食べないことで、仮にプリオンが病原体でなかったとしても、人体に病原体が入ってくる可能性はかなり確率で排除できると考えられるからです。
これまで私自身も、プリオン病原体説の上に立った上で、「とは言え、まだわらかないことが多いので、予防原則的な措置が必要」との言い方をしてきましたが、今回の丸激ではプリオンの専門家の福岡さんをお招きして、1)プリオンが病原体ではない可能性が排除できない理由、2)だとすると、現在の安全措置は十分なのか、3)問題の本質は何なのか、などについて議論をしました。
BSE問題や食の安全問題全般を考える上での一つの指針にしていただければ幸いです。ビデオニュース・ドットコムではこれから少し重点的に食の問題を扱っていきたいと考えています。
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March 19, 2006
http://www.jimbo.tv/videonews/000246.php
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http://asyura2.com/0403/gm10/msg/139.html
■狂牛病のルーツをめぐる謎ますます深まる
http://www.asyura.com/sora/bd9/msg/46.html
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