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(回答先: 北朝鮮、核実験へのシナリオ〜ワーストケースに備えよ 武貞秀士氏インタビュー nikkeibp 投稿者 桐嶋夏樹 日時 2006 年 9 月 13 日 16:32:36)
<9月12日>(火)
〇今月号の文芸春秋で、高世仁さんの「金正日を震え上がらせた男」という記事がムチャクチャ面白い。北朝鮮問題について、今までよく分からなかった疑問が一つ氷解しました。
〇武貞秀士先生がかねて言っている通り、北朝鮮の経済は悪化するどころか、どんどん良くなっている。そういう話は、商社の現場からも漏れ伝え聞くところで、信憑性は高い。要するに対中貿易がどんどん伸びるので、鉄鉱石などの資源に恵まれた北朝鮮としては、黙っていてもカネが入るようになっている。ところが、米国が米銀に対してバンコ・デルタ・アジア(BDA)との取引禁止を決めたところ、たちまち北朝鮮が参ってしまったらしい。北朝鮮経済はリッチなのか、困窮しているのか。いったいどっちなんだ?−−というのが、かんべえの疑問なのでありました。
〇本稿によれば、米国が凍結したBDAの預金総額は約2000万ドルという少額であって、これは単なる見せしめに過ぎないそうです。ただし、この措置を受けて、中国銀行やら日本の某有名銀行やら、今まで北朝鮮との取引を行なっていた金融機関が、震え上がってしまった。中国銀行などは、各支店に対して「北朝鮮に気をつけろ」という文書まで通達したという。米銀との取引を停止された日には、ドル資金が取れなくなってしまうわけで、銀行なんてやってられませんからね。
〇かくして、ほとんどの銀行が北朝鮮とのビジネスを断ち切ってしまった。まだ中国やロシアの一部銀行は取引を続けているが、これらも米国政府のターゲットになることは間違いない。ともあれ、金融機関の協力が得られないとなれば、あらゆる貿易実務はストップしてしまう。モノが動いても、カネが動かないとあっては商売は上がったりである。
「我々の想像した以上の効果があったことは事実です。北朝鮮は、長期にわたって利用してきた世界中の主要取引銀行から切り離され、何億ドルもの資金が凍結された。そして、何年もの間、利益を享受してきた数々の経済活動から、かなり深く断絶させられました。北朝鮮指導部の重要な収入源をカットし、世界中に広がる彼らの違法金融ネットワークと兵器拡散応力に圧力をかけることもできた。これは、彼らにとって、かなりショッキングなのことだったと思います」
〇本件に関するもう一つの驚きは、上記の発言の主が、日米関係サークルにおいては「知らない人はモグリ」のデイビッド・アッシャー氏であるということです。アッシャー氏は90年代においては、日本の不良債権問題を日本語で語れるという、米国における知日派の代表選手でした。そうそう、三原淳雄先生との共著もあったはず。最近噂を聞かないなと思っていたら、今は北朝鮮ワーキンググループの特別調整官になって、北朝鮮との交渉当事者になっていたのですね。
〇以前、かんべえがアッシャー氏と話した際に、彼がこんな風に語っていたことが印象に残っています。
「バランス・オブ・パワーが分かるやつはバランスシートが読めない。バランスシートが読めるやつは、バランス・オブ・パワーが分からない」
〇つまり、安全保障と経済の専門家は隔絶しているから、両方とも分かってる人間は少なくて、俺はそのめずらしい例外なんだぜ、という意味なのでした。そういう意味では、金融制裁(米国はあくまで対抗措置である、と言い張っている)で北朝鮮を締め上げるという仕事は、彼にはピッタリの役どころでしょう。BDAへの取引停止は、文字通り「頂門の一針」であったようです。
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