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ナハマニデス対パブロ・クリスチャニ(1)
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投稿者 隣人 日時 2006 年 9 月 05 日 08:52:27: vTRc6NquZFvI6

(回答先: なぜナハマニデスか 投稿者 隣人 日時 2006 年 9 月 04 日 15:44:05)

その討論の主な舞台はバルセロナの王宮でした。討論は4回、つまり1263年7月20、23、26、そして27日に行なわれ、国王自ら討論会を毎回主宰し、教会や政府の高位高官や地元の共同体のユダヤ人も出席しました。

教会はその討論の結果に関して少しも疑問を抱いていませんでした。ドミニコ会側の公式の記述によれば、その討論の狙いは、『教会の信仰を疑問視すべきものでもあるかのように取り上げて論ずることではなく、ユダヤ人の誤った考えを論破して、多くのユダヤ人の独断的な信仰を排除すること』にありました。

ナハマニデスはおよそ70歳でしたが、努めて基本的な問題だけに議論を限定することにより、明晰な思考力を示しました。彼はまず、次のように話を切り出しました。「異邦人とユダヤ人の間で行なわれた[以前の]議論は、信仰の基本原理とは無関係な宗教儀式の様々な面に関するものでした。しかしこの王宮では、論争全体の成否を左右する問題だけを取り上げて討論したいと思います」。それで、メシアはすでに来たのか、メシアは神なのか人間なのか、またユダヤ人とクリスチャンのどちらが真の律法を持っているかといった点に論題を限定することで意見が一致しました。

パブロ・クリスチャニは議論を始めるに際して、メシアはすでに来たということをタルムードから証明するつもりである、と言明しました。ナハマニデスは、もしそうであれば、タルムードを信じていたラビたちがイエスを認めなかったのはどうしてかと反論しました。クリスチャニは聖書の明解な論議を中心にして議論する代わりに、ラビの書いた意味のあいまいな章句をしばしば引き合いに出して、自分の議論が正しいことを証明しようとしました。ナハマニデスは、それらの章句が文脈とは無関係に引用されていることを示して逐一論ばくしました。生涯をささげてそうした著作を研究していたナハマニデスのほうが、それらの著作について討論する点で適格であることを明瞭に示し得たのは当然と言えるでしょう。クリスチャニが聖書を引き合いに出した時でさえ、その論法によって力説された点は容易に論ばくされるものでした。

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