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(回答先: キューバ封鎖解除決議/国連総会 最多の182カ国賛成(しんぶん赤旗) 投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 11 月 12 日 22:06:45)
2005年11月13日(日)「しんぶん赤旗」
世界中が反対米のキューバ経済封鎖
国連182カ国で解除決議
取引する第三国も被害
世界の超大国が人口わずか千百万人余の島国を四十年以上にわたって封鎖し、貿易も交流もさせない。さらに島国と経済交流したところにも制裁を加える――。これが米国による対キューバ経済封鎖です。いくら地理的に近くて体制が気にいらないからといっても、あまりに理不尽だとして、封鎖に世界中が反対し、解除を求めています。
国連総会は十一月八日、米国の対キューバ経済封鎖をただちに解除するよう求める決議を百八十二カ国の賛成で採択しました。反対は米国とイスラエル、マーシャル諸島、パラオの四カ国だけでした(ミクロネシアが棄権)。キューバのペレス外相は「ほとんど満場一致だ」と述べました。
同趣旨の決議は十四年連続で採択されています。一九九二年の初めての採択以来、賛成はほぼ一貫して増え、今年は過去最高の百八十二カ国。圧倒的多数による採択が毎年繰り返される点で、他の問題では例のない国際社会の告発です。
■中米・カリブ諸国自決権侵害と非難
国連総会の討議ではさまざまな角度から米国が非難にさらされました。
その一つは、国連憲章を踏みにじっているという批判です。セントルシア代表はカリブ共同体十四カ国の総意として発言し、「自分たちの政府を選択するキューバ国民の権利を断固支持する」と述べ、米国が経済封鎖の目的にしている「キューバのカストロ政権転覆」の策動をキューバの自決権の侵害であると非難。南アフリカやシリアも内政不干渉の原則に反すると強調しました。
発展途上国七十七カ国(G77)を代表して発言したジャマイカは、米国の一方的な経済封鎖は「紛争の平和的解決をうたう国連憲章に違反している」と指摘。これまで米国の集票マシンと言われてきた中米、カリブ海諸国から経済封鎖に批判の声が上がっています。
マレーシアやインドなどは、キューバの貿易の自由をしばるのは「主権平等の原則に反する」と強調しました。
米国の国内法を第三国に適用するのは国際法違反だという批判も共通しています。
中国の代表は、経済封鎖によってキューバだけでなく、「実際には八十カ国近くが経済的損失を被っている」と指摘しました。
欧州連合を代表した英国も、「キューバと取引をする第三国をも制裁の対象にし、治外法権的な性格を持つトリセリ法とヘルムズ・バートン法は受け入れられない」と述べ、欧州連合諸国の企業と市民を保護する法的対抗措置をとってきたことにふれました。
■国際社会の総意を無視し批判が集中
米国が毎年の解除要請決議にこたえず、国際社会の総意を無視していることにも批判が集中。メキシコ代表は、米国が決議を履行してこそ国連の機能が強化されると述べ、「国連の将来に関する新たな合意は諸決議の適用と履行をつうじて生み出される」と強調しました。
対キューバ経済封鎖をめぐる米批判は、中南米での首脳会議などからも上がっており、重層的なうねりにもなっています。おもに中南米諸国から成る第十五回イベロアメリカ首脳会議(十月)は特別声明で、「強制的で一方的な手段の適用は受け入れらない」「ヘルムズ・バートン法のような国際法違反の法と手段を断固拒否する」と述べ、国連決議の履行を米国に迫っています。同会議も毎年、同様の態度を表明しています。
発展途上国七十七カ国(G77)による第二回首脳会議(六月)が採択したドーハ宣言は、経済封鎖が「キューバ国民に巨大な物質的損害をもたらしている」と指摘。渡航や送金の制限など昨年来のいっそうの締め付け政策は、キューバの主権と国民の権利を著しく侵害していると非難しています。(メキシコ市=松島良尚)
■キューバの損害
「人類史上、最も長く続き、最も厳しい封鎖」でキューバは甚大な被害を被っています。
その影響は貿易から観光、金融などあらゆる面に及びますが、キューバが力をいれている医療や教育への影響も深刻です。
在日キューバ大使館によると、例えばキューバは、病院で使う血液中のガスを検査する集中治療用医療機器をデンマークの医療機器メーカーから輸入し、三十五年以上も取引を続けてきました。
ところが、このメーカーが米国企業に買収されたため二〇〇四年、ハバナ事務所が閉鎖。キューバ側は別の企業から手当てしなければならなくなり、年間二十万ドル(約二千三百四十万円)の追加費用が必要になりました。
キューバでは七歳から十三歳のすべての児童に豆乳ヨーグルトを無料で供給する社会的政策があります。
その政策推進に使われる冷凍設備改造のため二〇〇四年八月、ブラジルの企業と機器類の契約が結ばれました。
その中には、デンマーク企業製のコンプレッサー十四台が含まれていましたが、同社が米国企業に買収され、販売が禁止されたため、児童への豆乳ヨーグルト供給にも支障が出ました。
こうした被害は、経済封鎖による国民への影響のほんの一例です。
こうした直接的な被害は累計で八百二十億ドル(約九兆六千億円)、年平均十八億ドルになるとキューバ政府は告発しています。(菅原厚)
■「あまりにやりすぎ」米国内からも批判
過酷なキューバ封鎖に米国内からも「やりすぎ」との批判がでています。
ブッシュ政権が二〇〇四年に打ち出したキューバ封鎖強化は「逆効果」との批判が起こりました。渡航や送金を制限された在米キューバ人の間で不評で、世論調査では賛成28%に対し、反対が49%にのぼりました。
米下院は、封鎖強化策のうち、個人が使用する衣類や種子、せっけんの原料などのキューバ送付を制限する新措置を否決しました。
ワシントン・ポスト紙はこの措置を「あまりにやりすぎ」と批判、共和党からも四十六人がブッシュ政権に反旗を翻しました。(菅原厚)
■封鎖の歴史と仕組み
米国は早くも、キューバ革命翌年の一九六〇年に、食料と医薬品を除く物資の輸出と米船舶のキューバ寄港を禁止。六二年には全面禁輸に突き進みました。以来、貿易や金融など経済の広範な分野でキューバとの関係を絶つ措置をとってきました。
その封鎖を大きく強めたのが、米議会が制定した一九九二年の「キューバ民主化法」と、一九九六年の「キューバ自由民主主義的連帯法」です。提案した議員の名から、それぞれトリセリ法、ヘルムズ・バートン法と呼ばれます。
トリセリ法は、第三国にある子会社を含む米系企業に対してキューバとの貿易を禁止するとともに、キューバに寄航した船舶の米国への寄航を百八十日間禁止しました。
外国であっても米国の国内法を適用し、その活動を縛るもので、キューバ以外の諸国の主権も侵すと国際的な批判をうけました。
トリセリ法をさらに推し進めたのがヘルムズ・バートン法です。
同法はそれまでの封鎖措置をすべて法制化。その上、キューバに投資した外国企業の役員らに対する米国への入国禁止や、キューバ革命で接収された米国人の資産を「利用」する外国企業を、米国人が米国の裁判所に提訴できるとした条項を盛り込みました。キューバの体制転覆を日ごろから主張する亡命キューバ人らも、米国籍を取得していれば「米国人」と扱われます。
キューバに投資する外国企業を訴えることができるとする同法には、隣国のカナダや欧州諸国など対キューバ投資を進める企業を抱える国々からも猛反発が起きました。そのため、米政府は同条項の執行停止を半年おきに更新する措置をとっています。
経済封鎖はキューバの体制転換を公然と目的に掲げており、キューバの民族自決権を踏みにじる国際法違反の内政干渉です。
ブッシュ米政権は発足当初から「キューバの民主化」を任務とする「自由キューバ支援委員会」を設置。貿易や渡航の制限の厳格な適用などを決定しました。
〇四年には、キューバ系米国人による親族への送金を制限し、キューバ政府関係者や共産党員への送金を禁止。また、親族訪問のための渡航回数をそれまでの年一回から三年に一回に制限するなどの措置をとりました。
同年五月に発表された「自由キューバ支援委員会」の報告書は、キューバの体制転換を目指す「追加措置」を四百二十三ページにわたって検討、列挙。キューバは同報告に盛り込まれた措置の80%が実施されたとしています。(浜谷浩司)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-11-13/2005111306_01_3.html