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(回答先: 年末年始特別インタビュー 耐震偽造問題をどう見るか(4) 投稿者 gataro 日時 2005 年 12 月 31 日 17:44:10)
耐震偽造問題をどう見るか(5) 2006/01/01
http://www.janjan.jp/special/0601/0512250873/1.php?PHPSESSID=11ff0ced1a0f9ccd7ebae63b7a4f8432
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―先生は、阪神大震災のとき、住宅再建への個人補償を唱えられ、東奔西走されました。先生方の先駆的運動がみのり、一定程度の住宅再建への公的支援が実現しましたが、今回の支援策について、どうごらんになっていますか。
●公的支援はどうあるべきか
早川:張本人の設計会社、建設確認機関、建設会社、販売会社など民間企業、業界などの責任を徹底的に追及する。そういう状況をつくった政府・自治体も徹底的に追及しなければならない。その上で救済に向かわねばならない。
追及され、痛みを感じさせなければならない。政府や自治体も痛みを感じなければ、本質的なことはやらない。阪神大震災のとき、政府は住宅復興で痛みを感じたのか。政府は、住宅は私有財産だから、補償しないと言ってきた。今回も私有財産だ。少し支援して、お茶を濁す程度で、住民が二重ローンに苦しむことでは、解決できない。
なぜ、こういう住宅を買うことになったのか。政府が、憲法25条の生存権の保障を、住宅政策としてやってこなかったからだ。こういうものを買わされるに至った、建築確認経緯もふまえ、これはまったく住民の責任ではない問題だ。業界や政府の問題だ。徹底的に追及し、公的支援を十分行うべきだ。こういうことをやることが、責任の所在を明らかにすることではないのか。
第二次世界大戦の戦争責任の裁判。日本の場合は、いろいろと問題はあるが、戦争責任を認めたことが、国際社会への復帰へとなった。国内だけではできなかったはずだ。GHQがきたからできたことではないのか。
今回の問題でも責任の所在を明らかにすることが、支援策にもつながる重要課題だ。
阪神大震災も住宅を市場原理に任せてきたところに被害の甚大さの根本がある。お金のない人は、貧弱な住宅にしか住めない。これが被害を大きくした。このことは戦後住宅政策の総決算であるはずだ。ヨーロッパのように、社会政策の一環として公的住宅政策を推進することに転換すべきであった。
だが、地震の起こった1995年の8月に住宅宅地審議会が答申を出した。新しい住宅政策についてということだが、よりいっそう市場原理に任せるべきと答申している。公的住宅政策からの撤退、市場原理に委ねる内容。どこに教訓がいかされているのか。しかも、委員には、神戸市長篠山氏、兵庫県知事の貝原氏が入っていた。これは、許せないことだ。
政府に抗議すべきなのに、震災の復興の当事者・責任者が市場原理に賛成した。市議会や市長、行政の長は、自分たちの町で起こっていることに対する、洞察力がまったくないと断じざるを得ない。小泉内閣の構造改革もそうだ。
―発覚した当時、小泉首相は、なぜこんなに立地条件がいいものが、そんなに安く手に入るのか、疑問に思わなかったのか、というようなことをインタビューで言ったことがあります。これは、ひどいことで、詐欺師より騙されるほうが悪いと言わんばかりで、そういう事態を招いた政府の政策について、まったく反省していない証拠だと思います。
早川:ほんとうにとんでもないことだと思います。この事件は、善良なまじめに働く国民が犠牲になったということで、関係者だけでなく、マスコミも怒っています。徹底的に責任追及すべきです。
阪神大震災のときは、オウム真理教のサリン無差別殺人事件が起き、追求があいまいになったきらいがあります。マスコミは新しい事件を追うのが宿命ですが、社会の有りようの根幹に係わる政策議論が出てきたときは、徹底的に議論すべきです。今回の事件は、日本の政治・経済・社会の根幹に係わる問題です。
経済学者で住宅問題を取り上げる人は、ほとんどいません。住宅政策は、経済の主要な問題ではないというのです。日本の経済学の主流は、竹中平蔵氏(現総務大臣)に象徴されるように、アメリカナイズされた、新自由主義の経済学ですが、それにくみしない経済学者も住宅政策の問題はほとんどやらない。
ですが、今回の偽装事件は、買った人が不運だということではなしに、日本の社会の政治・経済・社会の新自由主義にもとづく、規制緩和・民営化路線の行き詰まりの集中的あらわれだと思います。
経済学者も徹底的に原因を追及し、深層を究明し、本質的な打開策を見出していけば、社会を変革していく大きな力になるのではないかと思います。