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(回答先: WTO閣僚宣言/主張の反映へ足掛かり(日本農業新聞論説)【一安心ではあるが】 投稿者 heart 日時 2005 年 12 月 21 日 20:12:12)
北海道の次期生乳生産/産地の努力 無にするな
JA北海道グループは、増産型の生乳計画生産を見直す次期対策(3カ年)の原案を決め、組織討議に入った。生乳の需給緩和を受け、2006年度の目標数量は前年実績より3%減の367万トン程度になる見込み。「搾りたいだけ搾れる」時代から一変、生産にブレーキを踏む。事実上、初の減産といえるだけに産地の努力を無駄にしない今後の取り組みを望みたい。
減産は生産現場に混乱と痛みをもたらす。かつて米やミカン、イ草などで生産意欲をそぎ、犠牲者を出した悲しい歴史がある。今回の原案には、減産に伴い犠牲者を出さないという強い決意が込められている点を評価したい。
生乳生産の5割近くを担う北海道には、意欲的な担い手を確保し、長期的に生産基盤を維持するという大命題がある。しかし、牛乳の消費は16カ月連続で前年割れ、脱脂粉乳やバターの在庫積み増しという深刻な生乳の需給緩和があるのも事実だ。国産乳製品の9割を供給する北海道の責任と義務が問われ、酪農家の間の公平感を確保しながら、どうブレーキを踏むか、難解な方程式だった。
特に北海道では、経営の規模拡大が進み、巨額の先行投資をしている農家もいる。減産の急ブレーキは大きな打撃を与えかねない。そこで次期対策では一律的な減産配分を避け、生産者の意向に配慮し、増産志向タイプと、実績数量の1割を削減するタイプの選択制とした。そして、両者間の公平感を保つため、全生産者が拠出してお金を積み、減産タイプの農家に1キロ当たり4円上乗せする方式を採用した。
年度内にとりまとめを行い4月から取り組む予定だが、産地の最大の関心事は世界貿易機関(WTO)農業交渉の行方である。香港閣僚会議の閣僚宣言では、上限関税が今後の交渉に先送りされた。万が一、今後の交渉で乳製品関税の大幅引き下げとなってしまえば、生産者の懸命の対応も吹き飛び、激変をもたらすことになる。
JA道中央会の試算では、上限関税が脱脂粉乳で150%、バターで200%以下となると、輸入物が国産価格を下回り、加工原料向けの多い北海道酪農は大きな影響を受けるとみる。具体的には加工原料向け乳価が落ち、新不足払い制度の見直しを迫られることになろう。
北海道では、経営の改善が進み、コストを下げてきた。欧州をしのぐほどの経営を確立してきたが、牛を相手とする酪農は激変に対応できるものではない。まして政府自身、15年を目標とする酪肉近代化基本方針で生乳の増産を打ち出している。
産地は、産地としてできる対応を討議し始めたが、酪農対策のボールはいま、政府にある。産地の懸命な努力を無駄にせず、産地が安定的に発展できるよう、交渉に全力を挙げてもらいたい。
日本農業新聞 論説 [2005年12月23日付]
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0512/23.html
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