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WTO閣僚宣言/主張の反映へ足掛かり(日本農業新聞論説)【一安心ではあるが】
http://www.asyura2.com/0510/senkyo17/msg/980.html
投稿者 heart 日時 2005 年 12 月 21 日 20:12:12: QS3iy8SiOaheU
 


http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0512/20.html
WTO閣僚宣言/主張の反映へ足掛かり
日本農業新聞 [2005年12月20日付]

 世界貿易機関(WTO)の香港閣僚会議が閉幕した。市場アクセス(参入)など主要な問題を先送りし、来年4月にモダリティー(保護削減の基準)を確立するという期限の合意にとどまったとの見方もあるが、閣僚宣言には年明け以降の交渉で、わが国の主張の足掛かりとなり得るものが含まれていることに注目したい。政府はこれをよりどころに、輸入国の主張を反映した貿易ルール確立に引き続き全力を挙げてほしい。
 
 今回の閣僚会議で農業分野は、関税をいくら下げるかという数字の議論ではなく、その前段の関税削減方式の土台をどう作るかといったモダリティーの「構造」に関する議論が中心だった。この協議で各加盟国の閣僚が合意したものだけが宣言に盛り込まれた。従って、協議の状況を客観的にまとめただけの「付属書」より位置付けは格段に重い。その宣言に米や乳製品といった重要品目の取り扱いルールを作る必要性が明記された意義は大きい。
 
 農産物を政治的・経済的に自由化が困難な重要品目と、それ以外の一般品目に分け、それぞれで関税削減などの方式を作ることは、昨年夏の「枠組み合意」で決まったことだ。だが、この間、市場アクセス分野の協議は、一般品目の関税削減方式に終始し、重要品目は取り残されがちだった。そこには重要品目の例外扱いを限定的にしたいという輸出国の思惑があった。
 
 だが、閣僚宣言では、重要品目の扱いについて「関係するすべての要素を考慮に入れ、取り扱いについて合意する必要がある」と明記した。これは加盟国の閣僚が、4月末までのモダリティー交渉の中で、重要品目のルールづくりに合意したことを意味する。もはや一般品目の“食い逃げ”は許されない。枠組み合意で、「一般品目とは異なる扱い」と明記された重要品目のルール化を急ぐべきである。
 
 一方で、高関税を切り捨てし、自由化を一気に進める上限関税については、閣僚宣言に盛り込まれず、付属書どまりだった。上限関税の導入には、日本など食料純輸入国グループ(G10)が一貫して反対してきた。関税削減方式の構造を決める今回の会議で“格上げ”されなかった意味合いは大きい。もちろん、これでこの問題が片付いたと考えるのは楽観的だが、マイナスの要素を抱えなかったのは、政府・自民党・JAグループ挙げた取り組みの成果といえる。
 
 年明け以降再開する農業交渉は、関税削減など数字を含む議論に入り、より激しさを増すのは必至だ。G10の結束はもとより、発展途上国への支持浸透が多数派を形成する上で鍵を握る。今回、米国の存在感がいまひとつ希薄だったのは、途上国対策や綿花問題で途上国から攻撃され、守勢に回ったからだとの見方もある。途上国への攻めの外交が一層求められている。

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