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三島由紀夫 十代の5編、初公表(産経新聞)
http://www.asyura2.com/0510/news2/msg/166.html
投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 11 月 04 日 18:33:52: Lif1sDmyA6Ww.
 

(回答先: 三島由紀夫10代の未発表短編、来月刊行の全集に収録(読売新聞) 投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 11 月 04 日 18:25:05)

Yahoo!ニュースからhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051104-00000023-san-sociより引用

三島由紀夫 十代の5編、初公表

「愛の処刑」は自作と確定
 作家の三島由紀夫(大正十四−昭和四十五年)が十代で書いた短編小説五編をはじめ、後年の書簡五十四通、創作ノート十六点など大量の未発表資料が、新潮社から刊行中の全集で初めて公表されることが四日、分かった。芸術家の内面を掘り下げた短編などに確かな描写力が読み取れ、「早熟の天才」の形成期を具体的に物語る貴重な資料だ。
 また、同性愛や切腹を描き、昭和三十五年に別名で同人誌に発表された小説「愛の処刑」の三島の自筆原稿が見つかり、初めて三島作と確定された。
 いずれも十二月刊の「決定版 三島由紀夫全集」の補巻に収録される。
 小説や書簡は、三島由紀夫文学館(山梨県山中湖村)所蔵の遺品を数年がかりで整理していた研究者や全集の編集者が発見したり、関係者から寄せられたりした。
 初公表の短編のうち最も古い作品は、学習院中等科一年(十二−十三年)で書いた「我はいは蟻である」で、働きアリがえさの運び方を教わる物語。中等科四年で書いた「神官」は、祖母の伯父をモデルにその晩年を描き、同時期の「冬山」は、画家の内面を繊細な言葉遣いで掘り下げている。
 「愛の処刑」は、三島と親交のあった作家で編集者の故中井英夫の関係者から、ノートに書かれた自筆原稿が編集部に寄せられた。中学の男性教師が愛する男子生徒の前で切腹する内容で、三島が書いたのではないかと推測されていた。
 今回、三島作と断定されたことで、二・二六事件をモチーフにした小説「憂国」(三十六年)や四十五年の自決をめぐる研究が進むとみられる。
 初公表の書簡には「憂国」のモデルとなった将校の自殺現場に駆けつけた軍医に、詳細な様子を尋ねたものなどがある。
 同全集は、全四十二巻と補巻に、三島自身が主演した映画「憂国」のDVDを別巻として来春完結する。
≪早熟の天才 優れた表現力≫
 今回初公表される三島由紀夫の十代の短編からは、繊細な感性に加え、既に詩情豊かな優れた表現力が備わっていたことが分かる。
 学習院中等科四年(昭和十五−十六年)、十五歳のころに書いた「冬山」は、四百字詰め原稿用紙九枚。冒頭、次のような文章で始まる。
 「冬山の寂々とした軸が掛つてゐることで、その部屋のなかが霧のやうな爽やかさにあふれてゐることが知れた。姿はみえぬまでも深い山ぞひの流れがしづかに朝の部屋へ伝はつてくるやうに思はれた。ほんたうは和紙の地色にすぎない冬空が、骨(こつ)のように清らかに白かつた」。さらに三島の筆は画家である「私」の内面に迫っていく。
 同じ学年で書かれた「神官」は原稿用紙十四枚分。東照宮の宮司をしていた男の晩年を描いている。「おそらくよそへ向け場のない神経が過去に対してだけひどく鋭敏になつてゐるので、もう未来といふものが袋小路のやうに思はれるのであらう」などと、老いを見つめる目もある。
≪「本質」生の形で≫
 「決定版 三島由紀夫全集」の「補巻」で解題を執筆した井上隆史・白百合女子大助教授の話 「補巻では、初公表の十代の短編以外に、新資料として18歳ごろの三島が執筆した歌舞伎舞踊の台本『狐会菊有明』も収録。未完だが、この若さで書こうとしたことに驚かされる。書簡やメモ類からは、完成された作品に描かれた人間の生々しい衝動を、よりリアルに見ることができる。補巻全体を通して、三島由紀夫が本質的に持っていたものが生の形で出ている」
 ■三島由紀夫 大正十四年東京生まれ。本名・平岡公威。十六歳の時「花ざかりの森」でデビュー。東大法学部卒業後、旧大蔵省に入るが退職し、作家活動に専念する。昭和二十四年の「仮面の告白」で地位を確立した。四十五年、陸上自衛隊市ケ谷駐屯地(東京都新宿区)で自衛隊に決起を促したが果たせず、割腹自殺。代表作に「金閣寺」「潮騒」「豊饒の海」四部作ほか。今年は「春の雪」が映画化、「近代能楽集」が米ニューヨークで上演。また本格的な展覧会が催された。「決定版 三島由紀夫全集」全四十二巻には既に、編集の過程で見つかった小説十九編が収録されている。
(産経新聞) - 11月4日15時50分更新

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