★阿修羅♪ > マスコミ批評2 > 691.html
 ★阿修羅♪
民放の根幹を揺るがす、ある“深刻な”事態(3)〜テレビCMの辿る道 - nikkeibp.jp -
http://www.asyura2.com/0510/hihyo2/msg/691.html
投稿者 倉田佳典 日時 2006 年 2 月 08 日 13:49:10: eahs5MlcSyO0.
 

(回答先: 民放の根幹を揺るがす、ある“深刻な”事態(2)〜ネットに軸足を移し始めた巨大広告主たち - nikkeibp.jp - 投稿者 倉田佳典 日時 2006 年 2 月 08 日 13:40:07)

民放の根幹を揺るがす、ある“深刻な”事態(3)〜テレビCMの辿る道 - nikkeibp.jp - テレビは今、何をすべきか

ブランド力のある強い商品は、テレビCMを一時的に日本全国で取りやめても、致命的な打撃はまったく受けないというこの事実が、民放(商業放送、広告放送)に与える影響は極めて深刻である。

謝罪一色でも売れるプラズマのワケ

もちろん、告知・謝罪を流したこと自体が「正直なメーカーだ」という印象を与えるイメージ広告の役割を果たし、それがプラズマテレビの売り上げにつながった側面があるかもしれない。また、あるメーカーだけがCMを停止しても影響は少ないが、全メーカーが一斉にCMを停止してしまうと目も当てられない惨状を呈することだってあるかもしれない。まだ、検討しなければならない問題は山積している。

だが、テレビにおける宣伝広告のあり方に巨大な一石を投じた、極めて興味深い出来事があったことだけは確かだ。その影響を固唾をのんで見守っているテレビ関係者も少なくない。広告会社は「(松下の謝罪一色という)全国どこでも同じ映像を付けて広告収入は同じなのだから、手間が省けてラッキー」と喜んでいる場合ではない。

トヨタ自動車、連結売上高18兆5515億円(米国基準)。松下電器産業、同8兆7136億円。ものづくり日本の代表選手で稼ぎ頭の両社で、期せずしてテレビCMのあり方を疑わせる出来事が起こっていることは、なんとも象徴的な話である。

もう何年も前のことだが、筆者は、テレビの最大の「お得意様」であるバストイレタリー・メーカーの宣伝部員から、「私たちのいちばんの悩みは、あれだけ売っているテレビCMがどれくらい効果があるか、ハッキリしないことなんですよ」と聞いたことがある。その悩みや疑問に答える出来事が、現実に起こりはじめた。その影響は、民放業界に、ひいてはテレビ全体に、ボディーブローのようにきいてくるだろう。

広告費推移では分からないネット・シフト

ここで結論めいたことをまとめておこう。第一に、メーカーが、テレビ・新聞・雑誌などに代わる「ダイレクトな情報発信メディアとしてのインターネット」を新たに手に入れたということだ。

注意が必要なのは、サイト制作費は費目が広告宣伝費とは別だから、広告費だけの推移を追っても何が起こっているかわからないこと。企業は、テレビ広告費の一部をネットに振り向けているというより、広告費そのものを省いて、自前サイトをせっせと充実させている。

ネットの情報発信ではサイト制作業者は深く関与するが、企業が出す広告をメディアに仲介するいわゆる「広告代理店」の存在意義はない。「枠を押さえている」というテレビにおける電通のような存在は、ネットでは「中抜き」されるのだ。DELLがオンラインで受けた注文情報を本国とマレーシアに瞬時に送り、流通過程を押さえている問屋などすべて中抜きして、製品を航空便で届けるのと同じだ。だから、インターネット上の広告費が急激に伸びるわけではない。にもかかわらず、企業が運営するサイトにアクセスし、詳しく比較検討のうえ、その企業の製品を買う人が増えていく。

民放(商業放送・広告放送)は…

民放(商業放送・広告放送)は、この対策を考える必要がある。何の情報もなくインターネットで特定のサイトにたどり着くことは普通はないから、たとえば、そのきっかけとしてテレビCMを使ってほしいと提案し、それに応じた番組企画を提案するというように。「リーチ」と呼ばれる到達度では、テレビは相変わらず全メディアでぶっちぎりのトップの座にあり、これは当分は揺るがないから、一概に悲観する必要はない。

テレビCMの使い方を提案せよ

第二に、インターネットの存在を考えなくても(考えればなおさら)、テレビCMの効果は疑ってかかる意味があるということだ。

よくいわれるのは、テレビCMは、ある製品の存在を視聴者に知らせるまでの役割しかなく、それが売れるかどうかは別の話(放送局が受け取る広告費は、知らせることの対価であり、製品が売れたことの対価ではない)ということだ。ところが、テレビCMを打つ多くの企業は、CMを打てば製品は売れると思い込んでいるように見える。それは別の話だということに気づく企業は、今後どんどん増えるだろう。

この対策は、製品ジャンルによって大きく変わってくる。食品メーカーなどの商品名を連呼するテレビCMは、今後も存在意義があるだろう。しかし、家、クルマ、パソコン、テレビなど複雑で高額な製品になればなるほど、商品名の連呼だけでは効果は薄いということになるだろう。そのようなメーカーには、企業イメージをアップさせるCMや、ガンガン流す他社CMに便乗して、それとは違うよさだけを訴えるCMなどを提案すべきだ。「テレビCMを流しているそのことが、御社の信用力を増大させる。それが結果的に売り上げに結びつく」という持ちかけ方は、依然として有効だろう。

ビジネス・モデルの転換についてこれるか

テレビ局がインターネットに参入すればいいというのは、解決策にならない幼稚な議論である。いうまでもなく、企業のインターネット上の情報発信は、あるコンテンツに付ける広告としてではなく、「コンテンツそのもの」として存在しているからだ。

そこで第三に指摘すべきは、企業が製品を買ってほしい人に広告を届ける際の「その人に届くであろうコンテンツ(たとえばテレビ番組)に付属させて届ける」というビジネスモデルそのものが、「広告をコンテンツそのもの(番組やサイトや雑誌)に仕立ててダイレクトに届ける」というモデルに置き換えられつつあるということだ。

CATVやCSのショップチャンネルも、Web上の企業サイトも、雑誌「通販生活」もいわばそうしたモデルであり、これは多チャンネル多メディア化の当然の帰結なのである。

坂本 衛(さかもと・まもる)

ジャーナリスト

1958年5月、東京生まれ。牡牛座。O型。早稲田大学政治経済学部政治学科を中退。在学中から週刊誌、月刊誌などで取材執筆活動を開始。前「GALAC」(NPO放送批評懇談会)編集長。元「放送批評」編集長。現・田原総一朗責任編集「オフレコ!」(アスコム)責任副編集長。日本大学芸術学部放送学科非常勤講師。東京・神楽坂に在住。妻1子2。最近の仕事に小川和久著「日本の『戦争力』」(アスコム刊)の聞き手、「子どもにバカウケの親子ゲーム88」(ぶんか社文庫)ほか。「オフレコ!」第2号は2月10日発売予定。

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tv_to_do/060127_3rd/index.html

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > マスコミ批評2掲示板


  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。