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(回答先: Re: 普通に食ってればエエのです 投稿者 Kotetu 日時 2006 年 6 月 17 日 03:55:49)
中西順子氏の考え方に全面同意するわけではないが、1960年代から水銀汚染(水俣病)問題に関ってきた人物の意見として貼っておきます。
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3-78.雑感(その78 -2000.1.17)「こころの澱はこわい」
2000年になってはじめての雑感。
1月15日に、ダイオキシン類特別措置法が施行になった。これくらい、無意味な法律もないと言っていいのではなかろうか。
では、環境基準値や規制値をもっと厳しくすればいいのか。そうではない。そもそも環境基準値や規制値があまり意味がないにも拘わらず、それを法律が義務づけた。したがって、いざ、数値を決めるとなると、現状肯定の環境基準値を設定しなければならなかったのである(これ以外方法はないのである)。
ダイオキシンのリスクレベルも考えず、発生源も調べず、ただ、規制すればいいという思いこみで法律は出発した。そして、WHOの勧告値を鵜呑みにして、決まった。(このことは、また時間がある時にゆっくり書くことにしよう。)
わが国の世論が外圧に弱いというのは、誰も否定しないだろう。
耐容一日摂取量(TDI)も、結局WHOの勧告値通りに決めた。そうでなければ収まらないのである。しかし、そもそも食べ物も違うし、汚染の機構も違うから、それを鵜呑みにしてはいけないこともある。
ダイオキシン、特にCo-PCBには、魚を主たる蛋白源にするという日本独自の食文化と食の現状があり、欧州の考え方では割り切れない問題がある。しかし、それは全部ぶっとばして、外国の通りにしてしまった。そうでなければ収まらなかっただろう。それが、日本の現状である。
学者も、独自の意見を言う人はほとんどいない。新潮45(1998年12月号)に、厚生省の委員会報告書が、米国EPAの報告書の抜き書きであったことを前に書いた。
自分の頭で、日本の大地に足をつけて考えたらどうかと思うのだが、それができない。住民運動は、かつてはソ連や北朝鮮を天国のように言っていた。いまは、ドイツが理想の星である。もちろん、ドイツに学ぶことは多いし、オランダに学ぶこともある。しかし、日本がいいこともある。
NHKの記者に聞かれたことがある。「日本は化学物質の規制で欧米に比べて、遅れていますか?」と。「遅れている部分もありますが、進んでいる点もあります。水銀などは、外国からcrazyとまで言われるほどの厳しい措置をとりましたし、化学物質審査規制法は、残留性、蓄積性の新規化学物質を規制するという点で、他国に比べて進んでいます。」と答えたら、ひどく不機嫌になって、終わりはもう聞いていなかった。
新年になって、俄にテレビや新聞で、憲法改正の議論が増えている。世論調査で、憲法改正を支持する人の方が、反対する人より多くなったと報じられている。改正を支持する理由として、占領軍に押しつけられた憲法だからというのがあるという。
これが、本当に自分の頭で考えようという機運が盛り上がってきたという証拠であれば嬉しいが、どうもそうとも思えない。ダイオキシンや廃棄物だけでなく、あらゆる環境論の世論や識者の意見は、相変わらず外国依存である。
誰かが押しつけているのではなく、自ら進んで欧米の考えを取り入れてしまう。こういうことを続けると、ある時、矛盾が飽和になって、一気に外国はいやだという気持ちになって、今度は逆にふれて、国粋主義的になってしまう危険性があるような気がする。
今の憲法と現実との乖離が激しいのは事実だから、タブーにせずに議論すればいいし、改正すべき点があれば改正した方がいい。
しかし、50年以上つきあってきた憲法を、米国から押しつけられたから、変えるというのはどうも情けないし、何か、余りにも無批判に外国から受け入れている、その反作用のようにも感ずる。憲法を論じることはいいが、どうあるべかから論じてほしい。アメリカ云々はやめた方がいいように思う。
欧米に弱く、何でも受け入れる。だから、心の底に屈折が残る。その屈折をばねにした議論は、間違った方向にいくような気がする。
ダイオキシンも、PRTRも、廃棄物も、アメリカでこうだ、ドイツでこうだという議論は、今は受け入れられやすいかもしれない。しかし、それは、いつのまにか、国民の心に「屈辱」という澱を残す。そして、それが一定の量になると、噴き出す。
それは不条理な行動をうみやすいと思う。ひとつ、ひとつ、データを集め、考え、日本の現状を考えながら、科学的な推論をする、この労力のかかることを続けないと、最後は澱が残る。澱はこわい。
http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak76_80.html
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