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(回答先: 日本経済新聞 「経済教室 危機は終わった」 by コロンビア大学教授 デビッド・ワインシュタイン氏 投稿者 まさちゃん 日時 2005 年 11 月 30 日 21:41:09)
余りの楽観論に驚いてしまいました。8月8日の英フィナンンシャル・タイムスは、現実に「国債金融資本(=ユダヤ財閥)は日本の郵政資本をつかむのに、もうちょっと待たねばならない」という記事を掲載しました。
http://news.ft.com/cms/s/ae844de4-0834-11da-97a6-00000e2511c8.html
センスがあろうがなかろうが日本の郵政資金が狙われているのは本当なんです。350兆円もの資金が国内にあれば、それが国債に回ろうが他のファンドに投資されようが、日本の経済のために活用されているわけです。それを民営化したことによって、外資が手を突っ込む隙間を大きく開いた現実を、どうして直視できないのでしょう。2007年10月に、日本郵政公社は持株会社に移行することになってしまいました。国債金融資本が、将来この株主になるのはほぼ確実と見られます。「等価交換」が素晴らしい(ハリー・ポッターの)魔法の杖なのでしょうか。国民が労働して得た金融資産という「富」が外資に持っていかれるんです。それも米ドルなどのキャッシュで交換されるのならまだしも、米企業の株式によって交換(株式交換)されるのは当然でしょう。株価が高い米側に圧倒的に有利なんです。実体が殆どないようなライブドアや楽天が、時価の強みを発揮して、株価の低いTBSなどにM&Aをかける手法を想像してもらえばいいでしょう。それで得た証券なんて、株式市場が崩壊すれば、一瞬にして失われるものです。米国においても不動産バブルの崩壊は時間の問題とされ、個人投資家が膨大な含み損を抱えて右往左往する様子が観測されます。GMがもし破綻したなら、そのインパクトがどれくらいか想像もつかないほどです。米国の証券市場だって、盤石のものじゃないんです。そんなリスキーな取引の、どこが「等価資産の交換」なんです?郵政資金のまま抱えておけば優良な金融資産ですよ。キャッシュの現物なんですから。それを民営化したからこそ、外資が顔を出すシーンに遭遇したんです。あえてオオカミの前に赤ずきんちゃんを差し出したんです。民営化と無関係という認識には呆れます。
「日本政府の債務」について考えます。「重要なのは負債ではなく正味資産、つまり資産から負債を差し引いた額である」それはそうでしょう。けれど、日本政府の金融資産がどれほどあると思っておられるんです?実体は殆ど借金漬けじゃないんですか。現金がないから借金(国債発行)して予算執行してるんじゃないですか。正味資産がプラスなら国債を発行することもないんです。しかもその国債を最終的に引き受けているのも政府自身の関係機関なんです。「日銀の資産循環統計によると、国債の時価総額は424兆円であり、そのうち政府機関財政融資資金が76.6兆円、郵貯や簡保が61.3兆円、(国家機関である)日銀が60.7兆円その他で計214兆円を保有している。全体の50.5%である。つまり、国債発行残高の半分以上は、じつは国がかかえているのである」(「日本が自滅する日」石井紘基著、による)これは2002年初版の本ですから、事態は一層悪化しています。日経の10月31日付紙面に「知らぬ間に膨らむ政府」という特集記事が掲載されましたが、それによれば国債の発行残高は538兆円に達する見込みだということです。この記事でも、政府短期証券を含めて日本の債務を1000兆円と算定しています。
政府機関の資産自体が国債であってそれを時価評価して、「資産」といってるだけなんです。郵政公社の資金自体が、国債に回っているばかりか、本来預金者への払い戻し資金として確保しておくべき「預託金」まで、資金に逼迫した財務省に持ってゆかれてその代価に国債の現物を押しつけられているんです。
http://www.mof.go.jp/mr-tfb/1710.htm
しかも、それを原資に国債発行するわけですから毎年先細っているんです。いずれゼロになり消えていく運命なんです(そればかりか、2008年には財務官僚が「小渕の呪い」と呼んで畏れる134兆円の借換債発行という試練が待っています。これの財源が足りないんではないかと見られているんです。まさかデフォルトなんてことはないんでしょうが=希望的観測)。
これらを時価評価して「資産」といってるだけなんです。けれど巨額の国債を現金化するのは不可能でしょう。国債の暴落を招き自分の首を締めてしまいます。政府が保有する米国債も同様です。それも資産でしょうが、橋本政権下、米国債を売るそぶりをちらっと見せただけで、アメリカに恫喝され縮み上がるという事件もありました。
ところで、著者は「国債がこれだけ買ってもらえるのだから、財政危機もないんだ」といってるようですが、それが真理なら「切符がこれだけ買ってもらえるんだから(乗船しているんだから)、タイタニックは沈まないんだ」というのも真理になってしまいます。国民は日本丸が沈まないことを信じて、国債を買っているだけでしょう。沈むかどうかはまた別の問題です。
この論文「日本の財政の持続可能性の再評価:陰鬱な科学による楽観的予測」
の共同執筆者であるクリスチャン・ブロダ 氏は、シカゴ大学の教員ですね。竹中大臣にとっては強力な援軍といっていいわけ。かれが本当にいいたかったのはこうじゃないでしょうか
「 米国の国民は、日本の構造改革のよき指導者を持てたことを幸運だと考えるべきだろう」
最後に、この本がこのタイミングで刊行されたことに意図的なものを感じます。何故に米国の学者が日本人に「安心しなさい」とエールを送らねばならないのでしょうか。ウォール街との連携を考えれば、2007年10月郵政公社が民営化の途へ踏み出すまでは、日本国民はいや郵貯と簡保の顧客には、俎板の鯉でいて欲しいのではないですか。それまでに国債が暴落すれば、公社の資産価値も目減りするんです。何より、民営化に不安を感じた預金者が、ユーロ債だの金の現物に資産を移し替えることがないように(現実には郵貯の流出はもう始まっています)、いざ国債金融資本が手をつけてみたら、公社の資本が殆どなかったなんてオチがないように、国民の不安を抑える目的があるんではないかというのが私の結論です。