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日本経済新聞 「経済教室 危機は終わった」 by コロンビア大学教授 デビッド・ワインシュタイン氏
http://www.asyura2.com/0510/hasan43/msg/569.html
投稿者 まさちゃん 日時 2005 年 11 月 30 日 21:41:09: Sn9PPGX/.xYlo
 

どなたか解説、批判、コメント等お願いします。

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ノムさんの時事短評
http://www.nomusan.com/~essay/jubilus-greeting.html


2005/11/29
皆さん、こんにちは。
今朝の日本経済新聞 「経済教室 危機は終わった」という、コロンビア大学教授 デビッド・ワインシュタイン氏の論説は興味深いものですね。
出勤前なので夜にもう少し書きますが、今日、是非注目してお読み下さい。
面白いのは、「金融市場は危機を想定していない」(一部エコノミストと違って?)というところです。
不評であった年金制度改革も高く評価しています。
竹中平蔵大臣について、
「日本の国民は経済改革のよき指導者を持てたことを幸運だと考えるべきだろう」
と述べています。
 
 
=追記 23:25=
私は小さな鉄工所のオヤジをしていますが歴としたオーナーがいて、自分が社長になると考えていませんでした。それまでは「営業」一筋でした。社長になって、実際の財布はオーナーが握り続けていますので、本当の経営の苦労をしたことはないのです。しかしそれはそれとして財務諸表を読める程度の勉強はする必要がありました。短期間で割と懸命に勉強しました。そこで得た圧倒的な驚きは、「複式簿記」というものの深遠でした。
評論家・エコノミストと呼ばれる人は分かっていてネグっているのでしょうが、記者さんには多く複式簿記のセンスに欠けた人がいます。
そのセンスがあれば、郵貯民営化はアメリカの禿鷹に貢ぐものだ、という意見のバカらしさを即座に笑うでしょう。例えアメリカの禿鷹が郵貯を買収することがあっても、それは等価資産の交換であり、郵貯という資産が別な何かの資産に置き換わるだけのことです。それは必ずその瞬間においては「等価」であって、客観的に等価でなければ商法上の背任とか詐欺とかの刑事犯罪になるのです。民営化とは何の関係もありません。
日本国政府の「債務」について、D.ワインシュタイン教授は云います。
「家を買ったことがある人なら誰でも知っているように、ローンを増やして高い住宅に買い替えた場合、借金が増えたからといって前より貧乏になったとは言えない。重要なのは負債ではなく正味資産、つまり資産から負債を差し引いた額である。」
国債が増えた場合、その債務には必ず対応する相手科目があります。それが単に経費として消費されたのか、何かの資産として残ったのか。資産として残ったのなら、その資産は将来利益を生むものなのか、劣化し不良化するものなのか。評価するにはその分析が必須であります。(この辺りは2chではとっくに話題になっています。一部職業エコノミストの横着にあきれます。)
「分析には適切なデータを使ってこそ意味がある。日本政府が持っている資産を負債から差し引けば、2004年の純債務額はGDP比78%となる。つまり、債務総額の約半分が二重にカウントされていることになる。」
そして現実の金を賭けて行われる金融市場では当然、「適切なデータを使って分析」されているはずです。
「財政逼迫に直面した政府には不均衡を調整するために採りうる戦略が四通りあり、併用することも可能である。第一はデフォルト(債務不履行)、第二は紙幣の増刷(国債の日銀引き受け=マネタイゼーション)、第三は増税、第四は歳出削減である。財政危機論者は、日本政府は最初の二つの手段のどちらかを採用せざるをえなくなると信じた。」
「しかし、専門家が唱える悲観的な予想にもかかわらず、金融市場はデフォルトやマネタイゼーションの可能性をまったく視野に入れなかった。もしデフォルトやマネタイゼーションの可能性が高まれば、長期国債の保有者は、償還停止あるいはインフレという大きなリスクに直面することを思い出してほしい。(・・・・)ところが今年4-6月の10年物国債の平均1.2%にとどまっている。」
つまり「財政危機論者」は“適切なデータ”を、取らなかったか、無視したか、理解できなかった、とD.ワインシュタイン教授は云っておられるのです。市場は影響を受けていないと。
昨年の参議院議員選挙で候補者であった竹中平蔵氏が選挙カーの上で自分を批判し続けた人に対して、「どのツラさげて」、と云いました。私は確かにラジオで聞いたのです。どのツラさげて(良くなっていく)今の状況を説明するのか、そんな内容だったでしょうか。「どのツラさげて」があまりに強烈で、他の言葉を覚えていません。その瞬間、竹中さんの“学者”は吹っ飛びました。三週間ほど前の日曜日のテレビでも、批判され続けた頃の心境を問われて、「間違ったことをよく平気でいう人がいるもんだと思っていました」と、平然と答えていました。麻生さんにせよ竹中さんにせよ、小泉さんほど優しくないですよ。その「どのツラ」のツラを下げた人は、「財政危機論者」で括れる人たちと思います。何人かの顔はすぐ浮かびますね。
D.ワインシュタイン教授は、
「差し迫っていると言われる年金危機だが、実際にはほとんど終わったと言うべきだ」
と記しています。但し、
「年金制度改革の結果、将来世代の受ける年金給付は大幅に減るのである。(・・・・)今後は最高齢層を除くすべての日本人が高い税金と少ない年金給付に苦しめられることになる。」
それ故、
「日本の財政政策を巡る筆者の最大の懸念は、政府がむやみに増税を行って効率の悪い政策に予算を注ぎ込むことである。小泉純一郎首相は賢明にも消費税の増税を否定している。(・・・・)小さい政府を目指す竹中平蔵総務相の方針は正しい。小さい政府が実現すれば債務も資産も縮小し(註:借方貸方の相殺。バランスシートの軽量化)、増税の必要性も薄れる。難しい課題ではあるが、年金改革、郵政改革、不良債権処理もすべて難事業だった。日本の国民は経済改革のよき指導者を持てたことを幸運だと考えるべきだろう。」
やはりこれからの人は、それなりの苦労が要るでしょう。年金は天から降ってくるものでありません。それも「複式簿記」思考ですぐ理解できます。誰が負担するのか、ということをメインテーマにせぬ限り、実を結ぶ議論はできないのです。勿論、日本国民はよく分かっています。いくら甘いことを言っても天から降ってはこない。だから共産党も社民党も伸びないのです。
昨日の日本経済新聞によれば、
2005.11.28
政府資産、庁舎や未利用地も売却・諮問会議の基本方針案

経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が29日にまとめる政府の資産圧縮の基本方針案が明らかになった。これまで圧縮の対象を貸付金など金融資産に限ってきたが、庁舎や未利用地など国有財産も加えて売却し、政府資産を10年かけて名目国内総生産(GDP)比で半減させる。総額130兆―190兆円の資産を圧縮する考え。

諮問会議は29日に資産・債務改革の基本方針を決める。14日の同会議では「金融資産」の半減を目標に掲げたが、対象が限られているとの声を考慮、国有財産や物品などにも広げることで最終調整している。2005―15年度にGDP比で半減するよう定める。 (07:00)
資産圧縮とは資産の売却でしょう。資産を消すことは同時に負債を消すことになります。借方だけが消えることはないのです。右左が消えることによってバランスシートは“軽く”なります。より理解しやすいものになるでしょう。貸借対照表の右だけを見て左を見ない人、左だけを見て右の見えない人、経済だけでなく政治評論にも社会評論にもいます。あらゆる事象にその相手科目が存在する、そのことを知って、私は世の中が何となく分かるようになったと自惚れています。
資産を減らすことはその「管理費用」の削減になるでしょう。無駄な政府経費の削減、つまり小さな政府です。
私にはD.ワインシュタイン教授の今回の見解が、どの程度正しいものか分かりません。しかし、物事を「正味資産・正味負債」で見る、というセンスは、あらゆる場面で(個人生活の中でも特に)身につけるべきと思うのです。

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