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(回答先: ESOP&OBM 仕様の会社はどうやって造るのでしょう。 投稿者 yu-min-yu 日時 2006 年 1 月 29 日 09:40:14)
yu-min-yuさん、こんにちは。
ESOP&OBMに興味を覚えていただき嬉しく思います。
>☆このような会社を作るには、どのような段取りが必要なのか。さらに上場までの段取りなど(日程なども含めて具体的に)(経済問題は阿修羅で少し斜めよみの専門外の立場にも理解可能な)分かりやすい表現で、ごく短くご説明頂けませんでしょうか。
私自身も研究の途上にありますので、大そうなことは申し上げられませんし、また掻い摘んで説明することも難しいのですが、ご不明な点は質問していただきたく考えています。
>B・個人が一つの事を成し遂げて、それを広く展開していこうとする方法(個人は協力して一つの完成を創造しながら、社会的実現へと展開していく)
私は基本的にBの立場で、ESOP&OBMの導入方法や実現方法を含めて探究し、自ら検証してゆきたいと考えています。現状では事業分野は決めていますが、法的な面を含めてもう少しリサーチが必要だと感じています。
既に雑談板でのワヤクチャさんとの交信をご覧いただいているものと考え、それを前提に話を進めていきたいと思います。そこで、一つだけ私の予測を申し上げれば、おそらくESOP&OBM仕様の会社(組織)を理念的に支えていくのはAssociate socialism(協同社会主義)であり、それが目指すものは最終的にはプルードン流のFederalism(連合)になるのではないでしょうか。またそれは、個別的には株式資本主義を容認し、全体的には連合体によって諸問題の解決とassociation(協同体)間の調整を図っていこうとするもので、人類の叡智を結集して挑戦すべき究極的なテーマでないかと考えています。
協同体は全員が生産活動に従事するAssociatesで構成されます。Associateとは労働者であり、生産手段を所有(ストックの意味合いの強い私有の意味ではない)していますので経営者でもあるのです。ESOPは労働者が単なる賃金労働者ではないように労働者の地位を明確に示すものですし、また経営参加(権)を担保するものでもあります。
先ず、ESOP[Employee Stock Ownership Plan](従業員株式保有計画)ですが、この方が日本では法的環境(会社法)の点でも導入のための障壁が大きいと思っています。日本では従業員持株比率(8%?以内)が低くおさえられていますが、米国では株主と経営の峻別と云った問題を除けば州によって比較的に柔軟性な対応(30%を超える持株比率)が見られるようです。
しかし、何よりも日本と米国とでは株保有に因む権利意識の違いといったものが大きく関係し、特に日本では従業員持株比率が低いこともあり、安定株主としても貢献していないようです。確かに米国におけるように株保有にたいするリターンを最優先することは従業員にとっての企業経営の本質(存続)を危うくし兼ねません。それよりも日本では株保有による会社(生産装置)という生産手段の共有化の意義の浸透を図ることで十分ではないかと想っています。それが社員の意識にどう反映されるかは、持株比率の低さに関係なく従業員の代表者が如何に経営参加(経営計画の策定)にまで食い込んでいけるかに掛かっているでしょう。
>このESOP(従業員株式保有計画)という制度は、株価の上昇を追求するものであるという意味で、利潤追求型経済から出るものではないかもしれませんが、利潤の中身が、少数の「勝者」、また、錬金術師に帰属するものではなく、当該企業の従業員という、国民の大多数に還元される、という点において、大いに魅力のある制度ではないかと思います。(heartさん)
ESOP(従業員株式保有計画)は協働体の形成から連合体の形成へと発展していく過程では、協同体的エゴ(個別的利潤の追求)を有する段階があることは否定できません。しかし、それは我々当事者が対処し乗り越えていくテーマの一つだと心得るべきだと考えています。
次に、OBM[Open-Book Management](財務データ開示による経営)の日本企業における導入については、それほど難しいものではなく、その一部は戦後の日本的経営でも見られます。日本的経営の特徴とも謂われる集団での意思決定では会計データの共有化は必須条件ですし、日本には少なくとも課長クラスまでにはデータが開示されている多くの事例があります。それを、さらに一般社員にまで開示することはコンピュータによる会計管理が進歩している中でファシリティーの面では全く困難なことではなくなって来ています。後は販売過程や生産過程において自分達(労働者)の活動がどんなポジションにあるかを自覚するためにも、コスト(財務)との関連性が明示されることが必要です。経営者側から経費節約と号令されても、経費の圧縮の意義と数値的な説明がされないうちは、そんな空言は誰も本気にしないでしょう。社員は兵隊ではないのですから、計画について説明をせずに唯命令に従わせようとするのは、社員の知的営為を無視した所作なのです。
私は日本企業での導入の可能性は大いにあると考えていますが、企業経営にたいする日本人一般の関心の低さが障壁にはなっていると感じています。すなわち雇われたいと欲していても、経営しようと考える人がどれ程いるのか大いに疑問がありますし、日本では長らく善き勤め人になるための教育はなされ来ましたが、事業家になるためのカリキュラムは組み込まれていません。先進的で社員を大人と認め理解がある経営者ならばOBMの導入を検討するかも知れませんが、日本では労働組合による提起(提案)を待つ外はないと思っています。その意味では労働組合は経営者以上に経営のプロでなくてはならないでしょう。
今回は概論的なもので多分yu-min-yuさんの要求を充たすものには至らず、申し訳ありません。『(経済問題は阿修羅で少し斜めよみの専門外の立場にも理解可能な)分かりやすい表現で、ごく短くご説明頂けませんでしょうか。』(yu-min-yuさん)と仰られても、時間的・能力的になかなか難しいものです。そこで、yu-min-yuさんのご質問と、さらには関係諸氏のご助言を待ちたいと思っています。(houさん、よろしく。)
また、会いましょう。