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(回答先: 役に立つかしら?? 投稿者 膝枕 日時 2005 年 10 月 08 日 19:36:46)
http://www.crn.or.jp/LIBRARY/EVENT/EVENT04/TAIDAN04.HTM
澤口 前頭連合野が発達した理由は2つあると思われます。1つは、進化的に見たときにもちろん自分の遺伝子を残すため。2つ目は、前頭連合野を働かせることによってその集団そのものをよくしていくためらしいのです。前頭連合野は自分のためだけに使うものではないんですね。自分の能力を伸ばして社会で活躍することに加えて、社会のために何かをするように進化したらしいんです。
これはまだ定説ではないのでわからないのですが、そう考える根拠は、自分の子どもが20歳ぐらいの生殖年齢になっても伸びる能力がヒトにはあるからです。結晶性知性という能力で、社会的な問題解決能力なんですね。その能力は40歳以降でも伸びるんです。政治家や企業の経営者などが伸ばす能力ですが、これも前頭連合野の働きだということがわかっています。
すべてが前頭連合野になってしまうのですが、そういう能力が我々にあるのは、ある程度の年齢になってから社会に貢献するために自分の能力を使うという性質が、遺伝的あるいは進化的にプログラムされているからだと思うんですね。つまり、まともに生きていくと、どうも社会のために何かをするようになっているらしいのです。それがまともに育った脳なんですよ。
我々は子どものころから人類のことは考えませんよね。20歳ぐらいまでは抽象的にしか考えません。結婚すると自分の子どもを育てることで手いっぱいです。そして自分の子どもが生殖年齢に達したら、普通の生き物は寿命が来て死ぬんですよ。生きていると、自分の子どものための食べ物などいろいろなリソースを奪ってしまうことになりますから、子どもに迷惑をかけないために死ぬんです。
その意味では、人間も大体、40歳か、50歳が本来の寿命なのに、ときには100歳まで生きる。それは、自分の子どもも含めた社会のために自分の能力を使って社会をよくするように我々がプログラミングされているということのようです。
私はこれまで生物学的に見て、何で大人や老人は社会のためにつくすのかと、すごく不思議だったんです。それで、もともと人間には高齢になればなるほど伸びる能力があるのではないか、しかもそれは社会のために使う能力なのではないかと思い至ったのです。
大人であっても、つまりある程度の年齢であっても増える脳の領域が、現在2つ確認されているんです。1つは海馬ですね。あとの1つが前頭連合野なんです。これは高齢のサルの前頭連合野で神経細胞が増えるということが確認されたんです。前頭連合野は結晶性知性という大人になってから伸びる能力を担っていますし、海馬というのは、いろいろな体験的な知識を蓄えるために必要な場所なので、年を重ねることで身につく能力としては話に合っているのです。