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水の公平性 世界銀行が吸い尽くす水資源
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投稿者 こんな現実はやだ 日時 2005 年 9 月 19 日 00:37:13: 8.4ByFMdzKgMw
 

(回答先: 水道民営化市場の独占企業で、ヴェオリア社(フランス)が抜けていました 投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 9 月 18 日 08:10:44)

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水の公平性水の公平性水の公平性水の公平性ヘマンサ・ウィサネージスリランカ“水は商品ではなく、社会的かつ文化的利益として取り扱われるべきである。”(国連経済文化社会権利委員会)地球上の生命はすべて、水によって支えられている。人間は、一日平均、最低50 リットルの水が必要で、それを飲料水、調理、洗濯、公衆衛生、それから食糧生産などに使う。しかし水資源の利用は、国や地域ごとにかなりの不公平が生じている。アメリカ合衆国では、一人あたり一日平均 250〜300 リットルの水を使用している。一方、ソマリアでは、一日9リットルの水で生活しなければならない人々がいる。また、世界各国で、水不足だけでなく、水質汚染が問題になっている。水質汚染の原因として、大規模水力発電事業、工業排水、都市排水、森林伐採、農薬、廃棄物、鉱業などが挙げられる。気象の変化や砂漠化などによる地球規模での生態系の変化もまた、私達の水資源に影響を与える原因となっている。水の民営化は、今、世界中で大きな問題になっている。水はすべての人が持つ、基本的権利であり、公共の利益のために水を管理することは必要でも、私達の命を左右するこの大切な資源を私有化するべきではない。国際金融機関と水関連の多国籍企業は協調して、水の民営化を条件に貧しい国々への融資を行う、という方策をとっている。また、複数の貿易協定は、水利部門の規制緩和と民間投資への開放を要求することで、民営化を促している。世界中で貧困に苦しむ人々こそ、水の供給と、公衆衛生の整備を必要としている。しかしこれまでの経験から、国家が民営化を進めると、貧困層の人々へのこれらのサービスはより一層遠ざけられてしまうことは明らかである。貧困層の人々には、水道施設から水を引く資金もなく、汚染の危険性のある水を飲まざるをえない状況にある。世界中の FoE グループが、国や地域ごとに、それぞれに異なった自然環境、政治状況に直面しながらも、様々な手段で“水の公平性”のために戦っている。多くの FoE グループが水の民営化に反対する活動に積極的に関わっており、貧しい人々の困窮に直接応じることができるような、集団・共同的な運営システムに基づく新しいモデルを提案している。中には、水の使用量の削減や再利用に取り組んでいるグループや、また、河川や湖沼地域を、自然に近い状態に再生することに力を注いでいるグループもある。FoE の活動は、天然資源の持続可能で公平な分配を目指しており、水の公平性は、世界中のあらゆる人々に与えられるべきであると確信している。世界銀行が吸い尽くす水資源世界銀行が吸い尽くす水資源世界銀行が吸い尽くす水資源世界銀行が吸い尽くす水資源マレーシア世界銀行などの国際金融機関は、世界中での水の民営化推進に主要な役割を担っている。これらの機関は、多国籍巨大企業や、先進国によって推進される貿易協定と連携し、水市場の開放をうかがっている。アメリカ、日本、ドイツ、スウェーデン、オランダといった先進国では、水は、公共部門によって供給されている。ところが世界銀行は、マレーシアを含む多くの債務国に対し、公共部門の管理運営能力が欠けているという理由から、水道施設の民営化を命じている。これは事実上、これらの債務国で、民間企業による水道供給の管理運営費用を、水道利用者が負担しなければならないということを意味している。結果、人々が払う水道使用料は値上がりし、また、水関連の巨大多国籍企業が、このような貧困国での水の管理運営を支配することになる危険性を生み出してしまう。2000 年 3 月、世界銀行と国連(UN)は、ハーグで第二回世界水フォーラムを開催したが、実は、このフォーラムは水や食料関連の多国籍企業に支配されたものだった。世界銀行は、水資源に関する複数の機関設立にも関与し、その結果、世界水会議(the World Water Council)、21 世紀にむけた世界水委員会(theWorld Commission on Water for the 21stCentury)、世界水パートナーシップ(Global Water Partnership 10 ページ参照)等が設立された。これらの機関によって、水関連の有力企業、多国間銀行、国連機関、NGO の間での協議を行う目的でフォーラムが開催された。世界銀行は、“商品としての水資源”という概念は、未だ一般には認知されておらず、政治的にも受け入れられないものであると自覚しているため、このような戦略的なパートナーシップを通じて、企業が自らの経済的欲求を公共の利益を目的としているかのようにごまかそうとしているのである。マレーシアのような貧困国にとって、インフラ整備に必要な資金の唯一かつ最も重要な借入先は、世界銀行やその他の多国間あるいは地域的な資金提供機関であり、これら金融機関が貧困国の政府に対して、民営化計画に従うようにと強力に圧迫している。融資借り入れの条件として、“公共部門改革”――政府所有公共企業の民営化――を要求している。モザンビーク、ベニン、ニジェール、ルワンダ、ホンジュラス、イエメン、タンザニア、カメルーン、ケニアのように、最も貧しい国々の中には、国際通貨基金(IMF)と世界銀行からの圧力で、否応無く、水道事業を民営化しなければならなかったところもある。皮肉にも、これらの国のほとんどが、IMFの新しい、「貧困削減及び成長促進」プログラムから借り入れする条件として、水道事業を民営化している。民営化は、貧困を削減するどころか、最も貧しい家庭を窮地に追い込み、衛生的な水さえ飲むことができなくなる。例えば、2001 年 5 月ガーナに対し、世界銀行と IMF の融資条件によって、95%の水道料金の引上げが課せられた。これは、バケツ一杯の水の平均的な値段が、突然2 倍になったことを意味する。世界銀行は、民営化の目的は“大切な資源の無駄を省くこと”と主張するが、実際には、水の無駄をさらに助長することにもなっている。1996年、ジョン・ブリスコー氏(現在、世界銀行のシニアウォーターアドバイザー)率いる世界銀行チームは、ドイツの公共部門の漏水レベルは 1〜5%で、数値が低すぎると言って批判した。ブリスコー氏は、漏水を止める工事に必要な費用が、水の販売利益を上回る場合、水は漏れたままにしておかなければならないと報告している。世界銀行は、“水は商品として扱われるべきだ”と主張しているが、これは、言い換えれば、お金が十分あれば、好きなだけ水を無駄使いしてよいということになる。しかし、貧困に苦しむ人々にとって水は、生きていく上で必要であるにもかかわらず、今や、日々苦労しなければ得ることができないものになっている。(写真キャプション)年 月、インターナショナルは、世界銀行頭取ジェームズ・ウルフェンソンに対し、“世界銀行の湧水”と名づけられた、大きなボトル入りの大量の水道水に、億1万米ドルの請求書を添えて送りつけた。この額は、世界銀行の年間経営予算1 億万米ドルの%にあたり、ベクテルの合弁企業がコチャバンバの貧しい人に課した水道料金とほぼ同額であった。
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利益への渇望利益への渇望利益への渇望利益への渇望巨大民間企業は、世界の水の供給者としてふさわしいか?米国/英国驚くべきことに、世界の水消費量が 20 年ごとに 2 倍になっている(これは世界人口増加率の2倍以上の速度である)にもかかわらず、未だに地球上の10億人が衛生的な水を飲むことすらできない。つまり、世界は水の危機に瀕しているということである。水関連の多国籍企業は、水道供給網の拡大や、水質改善への新たな投資を生むことによって、世界の水のニーズに応えることが出来ると断言している。しかし、ここ数年、先進国でも開発途上国でも、民間企業による水事業への投資が増加するにつれて、企業による不正や無責任な管理が目立ち始め問題になっている。さらにその結果、水道料金は値上がりし、たとえ上下水道が完備されているとしても、料金を支払えない貧困層は結局締め出されることになる。水市場を厳しく規制して、人々のニーズに答えるというようなことは、ほとんどない。水関連の民間企業は、影響力のある圧力団体を通して政府・国際機関に圧力をかけ、水市場を開放し、国際規約までそれに応じて変えてきたのである。国際金融機関――世界銀行と国際通貨基金(IMF)を含む――は、債務国へ、融資や債務調整の条件として、公共水道事業の民営化を突きつけ、民間企業が国際的に事業を拡大する支援をしてきた。世界貿易機関(WTO)もまた、ここ数年、サービス貿易に関する一般協定(GATS)において、水事業を自由化する方向で交渉を始めている。一方、水関連の企業は、投資協定を利用して、民営化失敗の場合、政府にその補償をさせようとしている。このような投資者権利規定は、米州自由貿易地域(FTAA)のような新しい貿易協定にも盛り込まれるようになった。サービスと投資に関する一連の交渉が、これら債務国での民営化の道を固めてきており、各国の水の民営化や規制緩和が強いられることとなってきた。水の民営化を圧倒的に支配しているのは、フランスの2つの多国籍企業である。一つはスエズ(Suez)社(以前の Suez Lyonnaise Des Eaux 社)で、2001 年の水事業による売上は 90 億米ドルだった。もう一つはヴィベンディ・ユニバーサル(Vivendi Universal)社で、同年の水事業売上は 1220 億ドルにのぼった。両社とも、グローバル・フォーチュン 500 に記載されている、巨大企業トップ 100 位内に名を連ねている。この 2 社だけで、世界 100 カ国以上にある水事業会社を所有しているか、もしくは支配権を持っており、1 億人以上に水を供給している。他にはドイツの巨大企業 RWE 社とそのイギリス子会社テムズ・ウォーター(TamesWater)社、そしてアメリカのベクテル(Bechtel)社が挙げられる(ベクテル社は現在、南アメリカで民営化計画を推進中)。もう一つの主要なプレーヤーであったエンロン(Enron)社は、市場から消滅した。(写真キャプション)年 月の、南アフリカ・ヨハネスブルグ地球サミット開催中に行われた水資源に関する抗議運動。賄賂、高値、汚染賄賂、高値、汚染賄賂、高値、汚染賄賂、高値、汚染水関連の主要企業は、水市場において、ますます広がる市場アクセスと支配権を与えられている。しかし同時に、様々な場面で問題を引き起こしている。贈賄、収賄はこの業界に蔓延している。ここ10年間、フランス行政官は、スエズ社とヴィベンディ社の幹部職員の腐敗に関する主張を調査している。フランスで 3 件、水事業を行う企業の幹部職員が、水事業の契約を得るための贈賄により有罪を宣告された。公共の利益でなく、短期的な株主へのリターンを最大化することに注力する民間企業の能力は、問い正されるべきである。水事業を行う企業によって設定される水道料金の高騰も、論議をかもし出している。水道民営化以前、水道のない貧困層はタンクやワゴンで運ばれてくる水を買っていたが、その値段は大抵高く、量もわずかだった。しかし、今や、民営化によって主水道に直接つながった人々は、それよりもさらに高い水道料金を支払わなければならなくなったのである。ボリビアのコチャバンバでは、水道料金は、貧困家庭の総収入の 25%にまで達した(15〜16ページ参照)。スエズ社は、1993年以来アルゼンチンのブエノスアイレスで、1,000 万人に水道を供給する事業主であるが、これは、世界でも最大級の営業許可権を与えられていることになる。この水道事業に関する初めての独立した研究によると、民営化以降、水道料金は 20%以上も上昇したという。また、多くの貧困家庭は、水道料金を支払うことができない状態であることも報告している。他の水道供給事業者、例えば非公式の Aguateros などは、サンタ・クルスやパラグアイの複数の地域で行っているように、地域住民の本当のニーズに応じた、きめ細かなサービスを提供できる能力がある。それにもかかわらず、民営化の契約では、そういった事業者は排除されてしまうのである。水関連の主要な多国籍企業は、深刻な環境破壊を引き起こした上、適切な水供給や衛生的な水供給は出来ていない。スエズ社、ヴィベンディ社、テムズ・ウォーター社(RWE 系列)、ウェセックス・ウォーター社(エンロン系列)などこれらすべての企業が、1999 年、2000 年、そして 2001 年と、英国環境局が 3 年連続で挙げた、環境汚染企業上位5社にランクインされている。スエズ社が主要な水事業主となって管理運営している、ブエノスアイレスでは、下水の 95%をリオ・デル・プラタ川に廃棄し、環境を破壊している。この環境破壊修復には、公的資金を用いざるをえないことになっている。水関連の多国籍企業は、世界の水資源を自由に管理する権限を与えられている。国際金融機関は、このような企業の国際的な拡大の推進を継続しており、また国際的な貿易協定の働きで、これらの企業は、水関連部門に対しさらに大きな影響力を持つことが可能になった。しかし、これら主要な水関連企業は、公共のニーズに応えるというより、私的利潤獲得を何よりも優先している。国際金融・貿易機関は、水の民営化が人々や地球環境に悪影響を及ぼさないことを保証することに失敗している。貧困に苦しむ人々と自然環境を保護できるような水資源政策の画期的な変革が必要である。(写真キャプション)南アフリカ ヨハネスブルグの落書き「自由な水と電気を」
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多国籍企業、その巨大化する権力現在地球上で、10 億人以上の人々が、安全で安価な飲料水を手に入れる事が出来ず、24 億人の人々が適切な公衆衛生設備の無い生活を強いられている。水資源は不十分なのである。世界で 31 カ国が水不足に直面しており、さらに 17カ国が 2025 年までに同じ問題にぶつかると見られている。この水資源の高まる不足と増大する需要を目の当たりにして、人々は、21 世紀には水は石油と同様の重要な役割を持つようになると信じるようになった。実際に水市場は化石燃料市場のように経済的価値が高く政治色の濃いものになりつつある。石油と同様に、水もまた巨大ビジネスである。世界の上下水道事業の市場価値は年間8,000 億米ドル程度と見積もられている。現在、水関連の巨大企業は、貿易障壁を取り除くよう、世界貿易機構(WTO)にロビイし、収益を大幅に増大させようと目論んでいる。(写真キャプション)世界各国で行われている、世界貿易機構()による水道民営化を食い止めるよう、オランダのベルトラム・ツァゲマはオランダ政府職員に 1 万通を超える抗議カードを手渡した。WTO の“サービス貿易に関する一般協定”(GATS) の枠組みの中で、EU は、欧州の水関連多国籍企業の市場アクセスを確保するべく、熱心に圧力をかけている。企業圧力団体の欧州サービスフォーラム(European Services Forum)や、フランスの巨大企業スエズ社(前SuezLyonnaise Des Eaux社)、ヴィベンディ・ユニバーサル社、ドイツの RWE 社とイギリス子会社のテムズ・ウォーター社からの圧力を受け、EU は、貿易ルールがこれら企業の要求に応じて調整されるよう求めている。GATS 交渉の枠組みでは、EU のターゲットは 109 カ国。その多くは後発途上国であり、そこでの大口・小口需要向け水事業の、集水、取水、浄水、配水部門の市場開放を求めている。各国政府は 2003 年 3 月までに、水資源の商品化に約束することを求められている。EUは、これら途上国に対して、閉鎖的な二国間協議に基づいて水市場の開放を迫っているとして、非難されている。多くの自治体にとって、水がますます不足していることを考えると、GATS の中に集水管理を含めると言う提案に対し、不安が募っている。市場開放を約束することは、民間のサービス提供者が湖沼や河川、地下水から取水する量を規制するという各国政府の権利を放棄することになる。その結果として引き起こされる水資源への圧力の増大は、持続的な環境破壊を招くことになる。FoEヨーロッパをはじめ多くの団体が、EUに対し、GATSの交渉をまず中断し、交渉を再開する前に経済、社会、環境の影響評価をするように要求している。そして、GATS からは、取水と集水に関するあらゆるサービスが明確に除外されなければならない。より詳細な情報は:FoE Europe:www.foeeurope.org/trade/publications.htmGATSWatch:www.gatswatch.orgFoE Australia:www.foe.org.au世界の水事情世界の水事情世界の水事情世界の水事情¢ 私達が利用できる淡水の量は、地球上に存在するすべての水の 0.5%以下にすぎない。残りは海水、もしくは極地の氷である。淡水は、降雨によってのみ再生可能で、年間4〜5 万立方キロメートルが生産される。¢ 世界で31の国と10億人の人々は、衛生的な水を手に入れる事が出来ない。¢ 毎年 500 万人の人々(ほとんどが子供たち)が、不衛生な水を飲むことが原因で死亡している。¢ 汚染された水を飲むことにより、8 秒に一人の割合で子供たちが死亡している。¢ 現在の水産業の総利益は、石油産業の総利益の半分近くにも達する。しかし民間企業が所有している水資源は、今のところ世界の水の5%に過ぎない。¢ 過去一世紀で、地球上のすべての湿地帯の半数以上が開発事業や土地利用の変化によって失われた。湿地帯は、浄化フィルターや洪水の緩衝地帯として機能するため、自然生態系の健全性や人間の健康や安全にとって重要な意味を持つ。¢ 米国の水資源の 3 分の 1 を占める地下水は、回復するスピードの 8 倍の速さで消滅している。¢ インドでは、家計収入の 25%を水道料金として支払っている世帯が存在する。¢ コンピューターチップ用のウェハーの生産には、毎日 1,800 万リットルの水が使用されている。世界全体では、この産業だけで毎年 1.5 兆リットルの水を使用し、3,000 億リットルの水を廃棄している。¢ 1996 年には、ボトル入りの飲料水が世界で 570 億リットル販売され、今後2006 年までに 1430 億リットルに増加すると予想されている。アメリカ国民は 1999 年に 50 億米ドルに相当する、170 億リットルのボトル入り飲料水を消費した。情報源:Maude Barlow, “Blue Gold”; Gil Yaron, “The Final Frontier” Public Services International www.world-psi.orgFortune magazine; World Water Vision Pacific Institute www.pacinst.orgwww.hf.caltech.edu/shichiworld/tour/waterscarcity.html (写真キャプション)中国・三峡ダム
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1 11 世界水フォーラム世界水フォーラム世界水フォーラム世界水フォーラム水をすべて人類の課題に|(※オランダの)世界水フォーラムは、水に関する国際政治に影響力を持つシンクタンク―世界水会議(World Water Council)の 3 年おきに開催する会議である。水政策に関しての政府間の議論を調整する国連もしくは他の国際機関が存在しないため、このフォーラムは水問題に関する公式な国際会議となった。その結果、水フォーラムの成果は、国際・国内・地方レベルでの水管理政策に対して、非常に大きな影響力を持つようになった。今日の、世界的な水政策の発展の多くの材料は、1998 年の世界水会議による“世界水ビジョン:水をすべて人類の課題に” (World Water Vision: MakingWater Everybody’s Business)という報告書に見ることができる。現在の世界銀行の副総裁であり、世界水会議の前議長であるイシュマイル・セラゲルディンによると、この報告書の結果は“我々の世界の水の将来の変革に貢献する”事を目的としたものであるという。もしこの“変革”が、水の民営化や規制緩和の進展度合いによって測られるのであれば、世界水会議のビジョンは、希望していた考え以上のものになったといえるだろう。世界水会議と、その姉妹機関であり黒幕を自認する世界水パートナーシップ(Global Water Partnership)は、初期のころ、企業や新自由主義者によってしっかりと操られていた。世界水ビジョンをまとめた世界水委員会(World WaterCommission)には、以下のような有名企業家、新自由主義者たちが名を連ねていた:スエズ社の会長ジェローム・モノー、「持続可能な開発のための経済人会議」(BCSD)の創設者であるモーリス・ストロング、前世界銀行総裁のロバート・S・マクナマラ、米州開発銀行総裁のエンリケ・イグレシアス、更に世界銀行・国連地球環境ファシリティ(GEF)の CEO モハメド・T・エルアシュリーらである。近年は、両組織ともに、問題への取り組みに対しての信頼性を持たせるために企業色を取り除くべく、政府閣僚や国連機関の代表者を委員に据えている。しかしながら、依然としてスエズ社の副社長のルネ・コロムは世界水会議の副会長を兼任し、テムズ・ウォーター社のエミリオ・ガブリエリは世界水パートナーシップの事務局長を務めている。初回と第2回の二つの世界水フォーラム(1997、1999 年)での議論は、世界中で山積みとなっている水の危機を解決するのに有効な、債務削減、水資源保護、地域社会の能力向上、土地改革や企業規制などには、焦点をあわせていなかった。その代わり、水利部門の完全な自由化や規制緩和、また多国籍企業を地元企業や公共団体と同等に扱い、民営化をすべきとの声が繰り返された。このフォーラム開催中、“世界水フェアー”と呼ばれるショールームでは、ネスレ社やスエズ 社、ユニリバー社、ハイネケン社ら主要企業が、事業の持続可能性や水の有効活用の促進への取り組み努力について、紹介をする機会を与えられていた。しかしながらその横では、これら大企業の CEO たちが会議の中で、“水は基本的人権ではなく、商品と認識されるべきだ”と主張していたのだ。フォーラム開催中にいくつもの疑問が投げかけられた。官民パートナーシップの分科会では、フィリピン公共部門組合メンバーが聴衆の中で起立し、スエズ社とのパートナーシップが実施された後のマニラの水道水サンプルを掲げた。小さなボトルに入った黄褐色の水は、マニラの巨大プロジェクトの成功をたった今発表したばかりのスエズ社のマーケティング部長にとって、非常に恥ずかしい思いだったに違いない。2002年末に、スエズ社はフィリピンとの25年契約を破棄し、代わりにフィリピンの公共水道事業者が水道システムを引き継ぐ、と発表した。また他にも、スペインのバスク地方イトイスダムの建設中止を求めている LosSolidarios con Itoizのメンバーが、フォーラムのメイン会議場内で横断幕を垂れ下げ、聴衆席からの抗議のコーラス、またステージ上では“水の商業化反対”、“イトイスダム建設中止”等を“裸の真実”アクションによって訴え、開会セレモニーを妨害した。第3 回世界水フォーラムは 2003 年3 月に京都で行われる。水政策の議論において、世界水会議が政治的影響力を握っていることから、史上最大の水の国際会議になると予想される。企業ロビイによって官民のパートナーシップモデルへの強固な支持を掲げた 2002 年のヨハネスブルグ地球サミットでの成果を、今回のフォーラムでは閣僚級において公式に承認をすることになるだろう。また今回、世界水アクションという、極めて印象的な言葉遣いによる、しかし、根底には民間企業の水市場へのアクセス拡大を主張している声明文が採択されるであろう。より詳細な情報は:Corporate Europe Observatory:www.corporateeurope.org World Water Forum:www.worldwaterforum.netWorld Water Council:www.worldwatercouncil.org Global Water Partnership:www.gwp.sida.se(写真キャプション)年の世界水フォーラムでび抗議行動
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1マレーシアマレーシアマレーシアマレーシア支払うか、断水か|マレーシア2002 年 9 月マレーシアで、最近民営化したばかりのセランゴール州水道局が、水道料金の支払が滞っている世帯や企業施設への給水を止めるという措置とった。この州水道局は、セランゴールの 50 万を上回る水道利用者が滞納している2億3,200万RM (約6,100万米ドル)を回収することを決定した。これは、水を供給する3つの企業が抱えている9億RM (約2億3,000万米ドル)を早急に返済しなくてはならないためである。水道を止められたある主婦は、請求が3カ月で1,700RM (約447米ドル)にもなった、と不満をこぼしている。“水道局には何度となく、請求額が異常に高すぎる、と不満を申し立ててきました。でも、まず支払ってもらわなくては、調査は約束できないとの回答でした。今日、給水を止めに来てやっと、地下パイプが漏れているかもしれないと伝えられました”と報道機関に述べた。FoE マレーシアは、こうした措置は、明らかに消費者を軽視した民営化がもたらす、企業としての社会的責任放棄の現れであると考える。実際、1994 年にセランゴール州で水道局の民営化が始まって以来、天井の見えない上昇が続いている。前回 2001 年 4 月の値上げでは、家庭用水道料金は 35.7%も上昇した。現在、マレーシア国内の水道局すべてを民営化する提案がされている。マレーシア政府は、水道供給問題に対して間違った取り組みを行っている。約600億RM (160億米ドル)を、ダムやパイプラインの建設費として投じ、国民の水源である重要な貯水地域の保護、保全に関しては何もしていない。セランゴールにある 27 の飲料水源のうち 23 は、産業廃棄物や畜産廃棄物、重金属、汚水等で高度に汚染されている。2000 年度の合計水道使用量のうち、36%を占める個人消費者が水資源の無駄遣いを非難されているが、最大の消費者は工業関連、ゴルフコース、ホテル、農業なのである。水は、そもそも経済的商品ではなく、交通や電力、電話通信のように民営化するべきではない。FoE マレーシアは、公平な料金体系、水源保全対策、すべての人への水の供給を保証し、個人消費者や貧困層を守る、効果的な法律や規制のためのキャンペーンを展開している。1ウルグアイ憲法による水の保護を求めて|ウルグアイ1992 年ウルグアイ国民は、社会運動により実施された、公共サービスの民営化に関する国民投票で、はっきりと反対を表明した。極めて明瞭な国民の声が、民営化を推進していた政府、国際金融機関や多国籍企業に突きつけられたことは、ウルグアイの歴史上でも画期的な事件となり、ラテンアメリカ全土における社会運動を活気づける契機となった。しかしこの勝利の 10 年後、政府は、この地域での新自由主義政策の失敗による財政的危機から国家を救う、という名目のもとに、公共サービスを再び売り渡す構えをみせてきた。水が売りに出されており、世界貿易機関(WTO)や米州自由貿易地域(FTAA) でのサービス貿易交渉においてウルグアイ政府が提案した項目の中には、飲料水の供給事業や取水事業が盛り込まれる見込みである。ウルグアイのマルドナド州の水道民営化は、すでに水道料金値上げや技術的失敗という影響をもたらしている。近隣諸国における水道民営化の試みも、悲惨な状況となっている。1995 年アルゼンチンのサンタフェ州では、スエズ社の子会社が上下水道事業を占有し、地元住民は料金上昇や、不透明さを増す規制改正プロセス、地元株主の利益無視という現状を目の当たりにした。水道労働者組合、農民、水を守る住民組合(Neighborhood Association inDefense of Water)、FoE ウルグアイ(REDES)、持続可能なウルグアイ・プログラム(Sustainable Uruguay Programme)らによる社会運動が、水を民営化から守るキャンペーンを開始した。水は、持続的管理が必要な公共の財産であり、また基本的人権でもあるという認識を保証するための憲法改正を訴えた。もしこのキャンペーンで、必要とされる25万人分の署名を集めたら、2004年の国政選挙で憲法改正についての投票が行われる。一方、REDES は、水の循環と流域保全の管理に関する研修を行い、ウルグアイ、ひいては南米大陸全体における、持続的水資源管理のための代替案について戦略会議を組織している。より詳細な情報は: FoE ウルグアイ:www.redes.org.uy (スペイン語)
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1インドネシアインドネシアインドネシアインドネシアボトル詰めで売られる国民の権利|インドネシア()インドネシアでは水は重要な資源である。雨季の洪水や、乾季の干ばつのため、この国の水資源は、頻繁に危機に直面している。水質は人命にも係わる。インドネシアでは飲料水を媒介とした病気が、5 才未満の子供の主な死因となっている。水問題の主な原因は、産業による汚染、過剰消費、貯水域の減少である。政府は、規制や法によって、こうした問題に取り組むことはせず、国の水資源を民営部門にそのまま引き渡して、自らの責任を縮小させている。政府は、これまでずっと国民の共有財産であった水利権を、ダノン社 やコカコーラ社といった民間企業数社に譲渡してしまった。数 100 万リットルのインドネシアの地下水が汲み上げられ、ボトルに詰められ売られている。インドネシアでは、ボトル入り 1 リットルの飲用水の値段は、同量のガソリンより高い。さらに、政府は河川流域の管理も民間企業に引き渡そうとしている。世界銀行は、インドネシアが水道部門を民営化する事を条件に、水資源部門調整融資として、約3億米ドルを援助した。この河川流域の水を頼りに作物を生産していた数百万人の農業経営者は、今や使用する水に、料金を課されている。都市の水道利用者も、以前は公共の水道局からの給水サービスを受けていたが、水道局民営化によって水道料金の上昇に直面している。フランスのスエズ社、イギリスのテムズ・ウォーター社をはじめとする 20 近くもの国内外の投資企業が、水道供給部門への投資に参加すべく列をなしている。世論調査の結果では、民営化によって水道料金が値上がりしたにもかかわらず、ジャカルタの水質は不適切であるということが判明した。世界銀行のプログラムが推進している“排水料金”は、それぞれの水道会社によって徴収されることになっている。この排水料金徴収によって河川の水質汚染は緩和するかもしれないが、逆に、浄化槽を設置する余裕のない貧しい都市住民を阻害することになってしまう。政府は、地域社会に新しい汚水処理施設を設置する代わりに、民間企業に汚水処理設備を改善するための報奨金をインセンティブとして与えている。FoEインドネシア(WALHI)は、他のNGOと協力し、天然資源の管理について、持続可能かつ公平な政策が行えるような法案作りに取り組んでいる。この法案は、地域社会、NGO、自治体が参加するワークショップや会議、パブリック・コンサルテーションにおける話し合いを通して、ボトムアップで作成される。また、我々の共有財産の民営化に反対するため、公聴会や団結行動を通した発言、意見発信も行っている。(写真キャプション)地方行政立法局前にてウォーターデーに行われた、ウエストジャワ地域の水道民営化に反対する抗議運動。1ボリビアボリビアボリビアボリビア水戦争の最前線から―コチャバンバのオズワルド・パレハ氏へのインタビュー“何年も前、水道供給の助成は、ボリビア政府の責任だった。子供の死亡率や疾病率を下げ、市民の健康を保つために、水は重要だと考えられていた。しかし、1980 年代に進んだ新自由主義政策の結果、この国は、徹底的な経済のグローバリゼーションと、公共サービスや交通、エネルギー、教育部門における民営化を経験した。アグアス・デル・チュナリ(Aguas del Tunari)社――米国に本社を置くベクテル社と、イタリアのエディソン社の合弁企業――が、ボリビアに最初に参入したとき、政府は、民営化による水道代の値上がりは 10%を超えない、と約束した。その後、水道代の請求が 300%も跳ね上がったとき、人々は激怒した。研究者、環境保護活動家、都市労働者、農民たちが集まり、「水と命を守る委員会」(Coordinadorade Defensa del Agua y la Vida)を結成した。これが契機となった。人々は自らの権利を守るべく、2000 年の初めから、連日の反対行動を開始した。同時に、地方や都市で、何日も道路をふさぐ暴動が起こった。ついに 2000 年4 月の最後の暴動の時は、10 万人を超える人々がコチャバンバの中心街でデモを行った。デモ参加者の鎮圧に軍隊が投入され、催涙ガスを使用した他、学生リーダを銃で撃ち死亡させた。ボリビア政府は、我々の要求を受け入れ、アグアス・デル・チュナリ社を撤退させ、水道の供給と分配は公共企業に任せる、という我々の要求を受け入れた。この公共企業は、地方行政、商業組合、「水と命を守る委員会」といった、地元市民を代表する組織で構成し、管理運営される。巨額の負債をともない、技術的にも未開発な事業を受け継いだにもかかわらず、“水は公共財であって商品ではない”というスローガンの下、この新しい公共企業はまっ先に、水道が引かれていなかったコチャバンバの貧困地域の配管作業を行い、水道供給を始めた。これは、15 年間にわたる新自由主義政策との闘いにおいて、初めての市民の勝利だった。しかし、政府はまだ、大きな問題を抱えていた。この合弁企業との間に40 年契約を結んでいたのだ。現在、ベクテル社の子会社となったアグアス・デル・チュナリ社が、損害と利益損失のため 2,500 万米ドルの賠償金を要求している (P. 16 参照)。この巨額の賠償金請求は、非人道的としか言いようがない。そもそも、アグアス・デル・チュナリ社は、水道供給改善のための投資など、ほとんど行っていなかった。また、この多国籍企業が要求した 2,500 万米ドルという金額は、ボリビアのような貧しい国にとって、コチャバンバで12万5,000の公共水道が引け、村落地域の医者3,000人分の年棒、また、1万2,000人分の学校教員の年棒にあたるような大金である。しかし、これはただ単に金額の問題ではない。自らの基本的権利を民営化することに抗議した人々を罰するという、ベクテル社のやりかた。我々はこの道徳的制裁を、断固非難する。”FoE インターナショナルインターナショナルインターナショナルインターナショナル Ann Doherty / Anita PortilloAnn Doherty / Anita PortilloAnn Doherty / Anita PortilloAnn Doherty / Anita Portillo(写真キャプション)年 月、ヨハネスブルグの地球サミット開催に合わせ、オランダが組織したデモで語るオズワルド氏。
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1ボリビアボリビアボリビアボリビアコチャバンバでの民営化の失敗ベクテル社の子会社であるアグアス・デル・チュナリ社は、コチャバンバの抗議運動で、最終的に国外追放となったにもかかわらず、その後再び、歓迎されないネコのようにこそこそと戻って来た。コチャバンバを去ってほぼ2年後の 2002 年 4月、ベクテル/アグアス・デル・チュナリ社は、二国間投資協定を盾にボリビアを相手取って、水道の民営化事業で見込んでいた利益の損害として、2,500万米ドルもの損害賠償金を求める訴訟を起こした。ベクテル社は、アメリカの主要な多国籍企業にも関わらず、その訴訟はボリビアとオランダ間の投資協定として起こされた。ボリビアとアメリカは投資協定がなかったため、ベクテル社は、この投資協定を有効にするためだけの理由から、この合弁企業をオランダで登録したとみられている。この訴訟は、国際投資紛争解決センター (ICSID)のもとで運営されている法廷で審理されている。ICSID は、世界銀行内に置かれているが、そもそも世界銀行がボリビアの水道民営化を強く勧めていたのであり、また、ベクテル社とボリビア政府が、法廷の議長の人事に関して合意に至らなかった際、世界銀行頭取のジェームス・ウォルフェンソンが、自らそのポストを引き受けたのだ。この訴訟の審理は、ほぼ完全な非公開で行われるとされている。2002 年 8 月に、41 カ国から 300 以上の市民団体が、ICSID と法廷に、審理への市民の参加を求める国際市民請願書を提出した。自らの水道水の供給方法を決定するという市民の権利への、投資協定の深刻かつ有害な影響に対し、この訴訟は重大な警告を発するべきである。このボリビア―オランダ間の協定は、多国間投資協定 (MAI)に非常によく似ている。そして現時点で MAI は無効であるが、それに代わる、似たような協定が、検討されている米州自由貿易地域 (FTAA/ALCA)など多数の地域内や二国間貿易協定の一部として提案されている。2003 年 9 月、メキシコのカンクンで世界貿易機関(WTO)は、投資ルールに関する独自の世界的な交渉を始めるかどうかを検討する予定である。一方、二国間投資協定は、水の民営化が企業の思惑通りに進まず、企業側が不服な場合に用いられている。最近の別の例では、アルゼンチンが水の民営化計画の失敗により、米エンロン社の子会社、アズリックス社に起訴されている。より詳細な情報は:International Petition:www.democracyctr.org/bechtel/international_petition.htmFriends of the Earth US:www.foe.org(写真キャプション)オランダ(上)とボリビア(下)で行われた、コチャバンバ水道民営化反対のデモ。1ペルーペルーペルーペルー水を銅に変える|ペルーペルー南部の山々は、農民が苦労して農作物を育てている緑のオアシス以外は、ほぼ砂と岩でできている。ここは、世界で最も乾燥している地方の一つで、ミネラ・ケラベコ社による、銅の採掘が計画されている。毎秒700リットルの水を使い、河川の流れを変え、保護されていない川底に廃棄物を処理し、極めて酸性度の高い採掘湖を作ろうとしている。ミネラ・ケラベコ社は、アングロ・アメリカン(80%)と世界銀行の国際金融公社(IFC)による、合弁企業である。その採掘企業とペルー政府は、採鉱による悪影響はほとんど無いと主張している。しかし、専門的な環境分析では、これとは反対の結果が示されており、環境影響の殆どはこの地域の水資源に関連したものになることが明らかになった。既に生じている水紛争と、銅の値下がりに伴い、国際金融公社は、2002 年末にその計画を保留にしている。地元住民は、地下水の使用を最も懸念している。その採掘のために取水しようとしている水源地の一つ、チロタは、鳥と蝶で溢れる美しい湿地である。そこで草を食む、アルパカやリャマは、周辺の多くの地域社会にとって、生計上の収入源となっている。チロタの地下水使用は、この地域の水位を下げ、土地の微気象を変えてしまう。地元の農民たちは、もしミネラ・ケラベコ社がチロタから水を引くと、自分達の土地は使い物にならなくなると言っており、多くの人は採掘企業が提示した安い値段で土地を売ることを拒否すると宣言している。採鉱予定地から5キロ程離れたタラでは、小規模なコミュニティーが、険しい丘を美しく実り豊かな農耕地帯に変えることに成功した。農地を有機農園に転換するという彼らの夢も、一旦この採掘が始まれば有毒な塵が農地を覆ってしまうため、壊されてしまうだろう。さらに、近くを流れるアサナ川を、タラを流れる小さな川床に迂回させる計画もあり、そうなれば、この豊かな土地は氾濫してしまうだろう。このような厳しい環境下で、何世紀も暮らしてきた地元住民は、水資源の需要と供給の、微妙なバランスを築いてきた。この、銅の利益を追求しようとするミネラ・ケラベコ社の提案は、この自然界のバランスを破壊し、地域社会の結束をも崩壊させるだろう。この採掘は、耕作用地拡大と近隣都市への飲用水供給の改善のために待ち望まれていた、パストグランデの灌漑プロジェクトをも妨げることになるだろう。地域住民、NGO、政府職員、そして企業代表は、これらの問題を徹底的に議論して解決することにしており、住民はこの交渉により、採掘による潜在的な危険性が、根本から無くなることを期待している。FoE インターナショナル(FoEI)は、ケラベコ鉱山のような危険かつ有害な事業は、世界銀行グループから資金援助を受けるべきでは無いと考えている。世界銀行からの資金は、持続可能な開発に貢献するためのものであり、それが鉱山採掘により生み出されることはありえない。より詳細な情報は:FoE ペルー(Labor):www.labor.org.pe(スペイン語)FoE インターナショナル:www.foei.org/worldbank/cases.htmlProject Underground:www.moles.org(写真キャプション)アサナ川の河川域、露天掘りの採掘場建設が予定されている。(上) ケラベコ鉱山による水資源の使用に反対し、デモを行う地元の人々(下)。
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1フランス巨大ダムをつぶす|セバスチャン・ゴディノーフランス2003 年の国連国際淡水年に、FoE フランスは、巨大ダム建設の反対運動を起こすことにしている。しかし何故、今はもう巨大ダムが建設されていないフランスで、このような運動をするのであろうか。その答えは、世界での巨大ダムの建設に重大な責任のある3大役者が、フランスに存在するからである。(写真キャプション)中国 三峡ダム(上)、トルコ ユスフェリダム(右)、中国 三峡ダム(下)フランスのアルストム社は、世界最大の、大型ダム建設業者である。この企業は現在、マレーシアのバクンダム、トルコのユスフェリダム、インドのマヘシュワーダム、そして中国の三峡ダムの建設に関わっている。長江の三峡ダムは、完成すれば世界最大の水力発電用ダムになる。その貯水池は、600km 以上に及び、190 万人の人々が立ち退かなければならない。この三峡ダム事業への関与を正当化するため、アルストム社は、“この計画を始めたのは我々アルストムではなく、中国政府だ” そして、“我々の提供する製品は、環境と住民にとって安全である” と強調している。大規模ダムのような危険な計画は、通常、フランスの輸出信用機関 COFACE に後盾されている。これは、2002 年のヨハネスブルク地球サミットでフランス政府が約束した宣言と、まるで矛盾しており、環境基準が極めて低く社会的水準などまったく無いプロジェクトへの援助に、公的資金が投入されている。COFACE は、三峡ダムやユースフェリ、ラオスのナム・セウンダムなど、多くのダム建設に関わっている。もう一つの公共機関、フランス開発機構(AFD)もダム建設に関わっている。フランス開発機構の環境及び社会的基準は、COFACE と同じくらいに低いものである。AFD は、ラオスのナム・セウンダムに融資している。FoEは、アルストム社、フランス政府、AFD、COFACE等の機関に、世界ダム委員会による勧告書を採択するよう請願する予定である。このダム委員会は、政府、企業、研究者、市民団体から構成された、独立した国際組織で、ダムの影響をうける地域住民の基本的権利や環境に配慮した、最良の実施ガイドラインを、ダム産業のために作成した。より詳細な情報は:www.amisdelaterre.org 世界ダム委員会:www.dams.org International Rivers Network:www.irn.org1スリランカスリランカスリランカスリランカ雨は誰の物?|スリランカスリランカ国王、パラークラマバーフ(1164 年—1197 年)は、水の本当の価値を知っていた。彼は、農業や飲用水、衛生施設、造園のために、貯水・分配・管理をする非常に高度な灌漑方式に基づいて、国家文明を築き上げた。この灌漑方式に基づいた水力システムは、この国が諸外国の統治者に占領され、茶やゴム、ココナッツ、コーヒーなどの栽培が導入された後、次第に廃れていった。また、それに伴う森林伐採は、地下水や、雨水の流出、河川の流動に悪影響を及ぼした。農民達は、雨水に頼る農業に移行し、伝統的な水の管理方法は使われなくなった。今日、気候変動による気象変化のため、スリランカの乾燥地帯では農作物を育てられるだけの、十分な降雨は得られない。人間による誤った管理や河川流域の衰退、水質汚染によって、スリランカが直面する水不足はますます深刻化している。スリランカの降雨の大半は、10 月から 1 月までの短い雨季、モンスーン期にまとめて降り、そのほぼ半分は利用されずに海へと流れてしまう。FoE スリランカは、伝統的な灌漑・水資源管理・貯水システムを復活させ、水質汚染対策をとればこの問題を解決することができると信じている。しかし現在、スリランカ政府は、国際機関や多国間開発銀行の関心に応えるべく、水道への課金制度の実施に最も関心を持っている。アジア開発銀行の支援により作成された、政府の新しい水政策は、水資源の所有権を国民から政府に移行するというものである。これにより、水利権を所有している大企業の権利が保護されるのに対し、小規模な利用者には、より高い料金が課されることになる。諸外国での例を見ると、水道への課金制度導入が、スリランカの水の将来に最適といえるのか、疑問が残る。FoE スリランカ(ELF)は、新しい水政策の実施について、メディアを通して国民に伝えた。それにより国民の反対意見が増えたため、政府はその政策の見直しを行った。しかしながら新しい政策にもまだまだ問題点が残されており、FoE は国民への公開会議を開き、水利権や潜在的な国際機関の干渉、水質汚染への不十分な配慮、水道課金の原理、新しい政策によって見込まれる水の民営化などについて、議論を行った。政府は、これらの課題を考慮すると約束し、政策の根本的な見直しを始めた。
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中東中東中東中東政治的な傷跡を癒す水|中東水は、多国間で分かち合うものである。それは複雑な背景をもつ政治的国境に接する国々にとっても、同じことである。イスラエル、パレスチナ、ヨルダンでは、水資源が不足している上、その持続可能な管理政策も不十分で、国境周辺に暮らす人々の渇きは癒されることがない。最も顕著な問題の 1 つは、イスラエルでは蛇口をひねればいつでも水が出るのに対して、パレスチナやヨルダンでは、飲み水の不足に悩まされていることだ。国境沿いの地域では、物理的には互いに近接しているため、このような不公平な状況に対して、住民の怒りや苛立ちを招いている。FoE 中東は、水資源の持続可能な管理には、地域全体を視野に入れた見方と、あらゆる民族と地域を公平に考慮することが不可欠であると考えている。FoE 中東による“グッド・ウォーター・ネイバーズ”(Good Water Neighbours)プロジェクトの目的は、水を分け合う方法について、パレスチナ、イスラエル、ヨルダンの国境に隣接する 11 の地域全体にわたって関心を高めることである。プロジェクト参加地域では、切迫した水不足の解消に取り組む一方で、水資源の節約や再利用、汚水処理についての教育が行われている。例えば、国境のパレスチナ側にあるワディ・フキンという農村では、農業用水と家庭用水が共に不足している。これを受け、“グッド・ウォーター・ネイバーズ”プロジェクトは、ワディ・フキンと、国境をはさんだ向かい側のツール・ハダサから汚水を集め、灌漑用水として再利用できるような排水処理施設建設の可能性を調査している。パレスチナの多くの都市や村では、家庭の貯水タンクが弾丸で撃ちぬかれ、損傷を受けたり、破壊されたりしている。“グッド・ウォーター・ネイバーズ”プロジェクトでは、寄付金を集め、西岸地区にあるパレスチナの工場から替わりの貯水タンクを供給する活動も行っている。この活動は、多くの失業者を抱える地元住民に、職をもたらすことにもなるだろう。より詳細な情報は:FoE中東:www.foeme.org (写真キャプション)イスラエルとパレスチナの国境地域で活動する“グッド・ウォーター・ネイバーズ”プロジェクトのスタッフたち1パラグアイパラグアイパラグアイパラグアイ地域社会の参加、始まる|パラグアイラプラタ川流域には、今や地球上で数少ない、自然のまま流れる大河の一つ、パラグアイ川と、世界最大の河川の一つ、パラナ川が流れている。これらの河川が形成する氾濫原や湖沼は、この地方に豊かな自然の恵みをもたらすと共に、肥沃な土壌を保ち、水資源の管理に必要不可欠なものである。ここには多種多様な生物が生息する小さな河川や小川、湖沼が数多く残され、世界的にも重要な湿地帯が散在している。このような内陸部の水資源は、食糧生産や持続的な開発にとって不可欠のものである。多くの伝統的な社会において、家族のために飲用水を確保する役目は女性が担っているので、女性は、水の質と量に直接的に影響を受けることになる。しかし、飲料水の水源であるラプラタ川は、森林伐採、農薬の使用、周辺都市や産業による汚染、巨大開発事業によって、危機に瀕している。現在のような状態が続けば、数100万人もの人々の生活水準は、著しく悪化し、地域社会全体の貧困の度合いが増すことになるだろう。FoEパラグアイ(Sobrevivencia)は、人口の密集するロス・アルトス地方で、水のキャンペーン活動を集中的に行っている。この地方は、その周辺地域一帯に水を供給すると共に、アスンシオン市で消費される食糧の多くも生産している。私達は、社会的にも環境生態学的にも持続可能な水資源の管理を行うには、活発で有意義な地域社会の参加が必要条件であると考えている。その上で、必要に応じて、農村における伝統的な水利技術や文化的慣習の回復や促進、あるいは、環境にやさしい新しい技術の導入を補助している。主だったものでは、FoEウルグアイは、二つの持続可能な生産農場と協力し、300ヘクタールにわたる保護地区――原生の亜熱帯多湿森林を含むイビラティー森林と、ポラ川源流に広がる草原――を指定した。周辺都市部と農村地域への水の供給は、この森林の保全に完全に依存している。これと並行して、FoEウルグアイは、地域社会や地方自治体と協働し、その地域全体に適用できる、持続可能な流域管理システムを開発、実施している。そして、地方においては、リオス・ビボス連合の内陸水資源プログラムのコーディネートを行っている。これは、内陸水資源の持続可能性について、ラテンアメリカ全土に共通のビジョンを普及させるための活動である。写真キャプション (左)森林伐採と大規模農業に代表される、持続不可能な土地利用が、アルト・パラナ川流域で見られるような、内陸部の水資源の悪化をもたらす主原因である。(中央)ロス・アルトス地方、小川で衣類を洗う農家の女性達。(右)パラグアイのロス・アルトス地方は豊かな水に恵まれている。パラグアイは、地域住民や地方行政と共に、この貴重な水源を守ろうとしている。
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カナダ水のソフト・パスの探求|ディビッド・ブルックスカナダ1970 年代の半ば、FoE は、エネルギーの未来を分析する新しいアプローチ法を提案した。この“ソフト・パス・エネルギー分析”は、当時FoEアメリカで活動していたエイモリー・ロビンスを中心に、考案されたものである。今日、ソフト・パス分析の効果は世界中で実感されており、最大のエネルギー源は、FoE の予測通りの方向に見出されている。つまり、エネルギーを新たに供給するのではなく、需要側での効率を高めるという方向性である。このソフト・パス分析を、水資源に応用する時がきた。ソフト・パス・エネルギー分析が、分散型で民主的、かつ原子力に頼らないエネルギー資源の実現可能性を啓示したように、水資源のソフト・パスもまた、分散型、民主的そしてダムに頼らない水資源利用の可能性を提案できるだろう。ソフト・パスは、水資源利用の効率化のみにとどまらない。ソフト・パス法は、効率的な水の使用方法だけでなく、まず水を使用する必要性そのものを問う。例えば、単に節水トイレを考案するのではなく、そもそもなぜトイレに水が必要なのかということを問題にする。また、効率的な灌漑方法だけに執着せず、雨水を利用する技術や補助的な灌漑だけで、食物の栽培を可能にする方法を考える。典型的な経済性重視型の手法とは対照的に、ソフト・パスの手法分析では、さまざまな水資源の利用方法そのものに疑問を投げかける。世界中で水不足がますます深刻化する今、芝生の散水や洗車は、理にかなっているだろうか?仮にそうだとしても、そのような水が、飲料水と同じ水質でなければならないか?乾燥地帯の国々で、食物の栽培のために、その地域の水資源を大量に使用することは、理にかなっているだろうか?仮にそうだとしても、作物を作り輸出する、つまり間接的に水を輸出していることが、賢明なことだろうか?ソフト・パス分析の真髄は 3 つの原則に集約することができる。1 つは、天然資源の需要と供給の格差を、出来る限り需要側で解消し、水資源の需要を満たす革新的な方法を考え出すこと。2つ目は、水量だけでなく水質も維持・保全すること。良質の水は様々な目的に利用できるが、低質の水はあまり多くの目的には使えない。しかし、都合の良いことに、飲料用の良質な水は、実は少量しか必要ではなく、灌漑用の低質の水が大量に必要となる。3つ目は、従来の典型的な計画実践法を逆行させること。現在を起点にして未来の計画を立てるのではなく、理想の未来を起点にし、そこに到達するために実行可能で望ましい方法(ソフト・パス)を見つけるため、現在にさかのぼる形で取り組まねばならない。エネルギーのソフト・パスで成功したように、FoE は、率先して水資源のソフト・パス探求に取り組む必要がある。さらに、どれほど効率的に水が利用できるようになっても、水資源の管理が、公平な水資源の利用と民主的な水政策の決定を実現するように力説しなければならない。より詳細な情報は:FoE カナダ:www.foecanada.org/safewater/timetoact.htmロッキーマウンテン研究所:www.rockymountaininstitute.org 「水のソフト・パス」、ゲイリー・ウォルフ、ピーター・H・グリック:www.pacinst.org/book/worlds_water_2002_chapter1.pdf 「明日の世界」FoE 英国:www.foe.co.uk/campaigns/sustainable_development/publicationsベルギーベルギーベルギーベルギー天からの恵み|マリエ・デナヤーベルギーFoE ベルギーは、水資源管理についてビジョンを持っている。それは地域政策の流れともヨーロッパ全体の政策の流れとも逆行するものである。私達が描いているのは、より多くの地域住民が参加する、より分散的で、公平で、持続可能な水資源の利用法である。私達は、ヨーロッパの人々に、限られた地下水資源の過剰消費を止めるため、次の二つの方法を提案している。1つは、雨水を飲料水として利用すること、そしてもう1つはコンポスト・トイレの使用である。雨水を飲む雨水を飲む雨水を飲む雨水を飲むヨーロッパでは、習慣的な水の使い方を見直す(例えばシャワーの時間を短くする)、あるいは新技術を利用する(例えば水効率のよい洗濯機など)ことによって、水の使用量を減らそうとしている。しかし、雨の多いヨーロッパの気候が、家庭用水の重要な水源となる可能性があることを忘れてはならない。たとえ雨が大気中で汚染されたとしても、一般家庭で濾過することができる。天然の淡水なので、雨水を使えば浄化剤や硬質軟化剤の使用を減らすことができ、環境汚染の減少につながる。さらに、雨水が広く飲料水として利用されるようになれば、高価で無駄なボトル入り飲料水の必要性もなくなるだろ。雨水はすべての人にとっての解決方法ではない。とりわけ、日差しの強い乾燥した気候の土地に住む人にとっては。辺ぴな村落地帯などの例では、人口密度の高い都市と違って、分散型の利用の方がより現実的である。排泄物は堆肥排泄物は堆肥排泄物は堆肥排泄物は堆肥ヨーロッパでは、1日の水道使用量のうち3分の1が、水洗トイレに使われている。しかも水洗に使う水の品質は飲料水と同じ、という不必要で無駄なことをしている。FoE ベルギーは、水の代わりに、炭化物が豊富な乾燥木くずを使ったコンポスト・トイレを推奨している。排泄物から出来上がった堆肥は、野菜畑や草地にまくことができる。ベルギーのヴァローニャ地方では、現在約 200 世帯が、実際にこのトイレ・コンポスト合体システムを利用している。FoE ベルギーにとって、雨水やコンポスト・トイレの利用は、経済のグローバル化や水の民営化に対する抗議運動の一端である。私達は、コンポスト・トイレを世間に広く紹介し、実際に利用していくことも、立派な政治活動であると信じている。
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ノルウェーノルウェーノルウェーノルウェー小さな水滴も、多すぎれば洪水に|ノルウェー水力発電に関するノルウェーでの経験は、開発事業における地域社会の比較的高い主体性と参加が保たれても、持続可能社会の創造を保証するものではないことを物語っている。現在、ノルウェーの電力消費のほぼ 100%が水力発電によるものである。1900 年頃から現在までの急激な工業化により、ノルウェーの 1 人あたりの電力消費量は世界で最も高いレベルである。多くの開発途上国と比べると、ノルウェーの水力発電開発事業はかなり小規模なものであり、地域社会もそれらの開発事業によって、かなりふさわしい経済的な利益を受け取っている。たいていのダムが山間部の標高の高い場所に建設されるので、強制移住をさせられる住民は極めて少ない。たとえ移住させられる場合でも、地域住民側に生じる損失は、大部分補償される。しかし、これら個々の事業が全体として及ぼす総合的な影響を考えると、ノルウェーの自然環境が高い代償を払っていることは明らかである。ノルウェーの湖沼や河川の自然な流れに依存していた動植物の生息地は、かなりの部分が再生不可能な影響を受けている。水力発電開発事業の前と後との比較調査が行われていないため、私達はどの種が絶滅してしまったのか、はっきりと把握することができない。人間が、生存のために環境を変化させることは必然である。しかし、基本的な暮らしを確保することと、ノルウェーが過去10 年間に行ってきたように、過剰に贅沢をする生活をすることでは、大きな違いがある。水力発電事業の開発業者達は、開発の際に環境保護運動と対立すると、地域社会の主体性が重要であるとの議論を利用してきたが、かなり分権化されたノルウェーの地方自治体の制度もこの議論を後押ししてきた。しかし、ノルウェーの経済的に実行可能なすべての水力発電開発事業のうち 63%が既に開発された状況においても、小さな川をダムにしたからといって大きな悪影響はないといった議論が、20 世紀の変わり目の頃は現在より支持を得ていた。FoE ノルウェーは、その地域の環境生態系全体を保護しながら地域社会の権利を確保する唯一可能な方法は、地域の資源や知識を活用して進める開発事業を、地域住民自らが採択できるようにすることだと考える。この方法を推し進めれば、石油やガスの開発はもちろん、大規模風力開発や大型水力開発の可能性は殆どなくなるだろう。しかし、繊細な自然環境は、風力タービンあるいは小さな水力発電所であっても、多くが一箇所に集中すれば悪影響を受ける可能性がある。このような理由から、繊細な環境の地域で持続的なエネルギー資源の開発を行う際に、全体的・総合的な影響を考慮し、開発の限度を設けることのできる何らかの機関が必要であると考える。オーストラリアオーストラリアオーストラリアオーストラリア湿地を回復する|テッド・フロイドオーストラリア今から約 200 年前、ホワイト・クリークはさらさらと流れる小さな小川だった。アナンデールの郊外住宅地がホワイト・クリークの周りで広がり始めるにつれ、小川は地下に押しやられ、コンクリートパイプの中を流れるようになった。ホワイト・クリークの水は汚れ、悪臭を放つようになり、その地域は自然の動植物のいない土地となった。1994 年 FoE シドニーは、都市の中を流れる小川や河川の、自然な水の循環を回復するためのキャンペーンを始めた。現在の所、ホワイト・クリーク沿岸の湿地の建設は、このキャンペーンの中で、最も成功を収めた事例となっている。かつては荒れ果てて、雑草に覆われていたこの小川沿いの土地の一部が、今では生き生きとした淡水の湿地となり、そこにはカエル、魚、鳥類であふれかえり、オタマジャクシをすくう網を持った子供もよく見られるようになった。淡水の主な水源は降雨が流れ出たもので、これは人間の水の需要を満たすために広く利用されており、また健全な生態系における水の循環に欠かせない部分である。それにもかかわらず、都市計画の当局は、長い間、流出する雨水を主要な排水問題として扱っており、雨水を溝や排水管、パイプ、水路などに流し込んでいた。しかし、無数の問題が湿地回復運動の前に立ちはだかった――形式的で、遅々としてはかどらないお役所仕事、初めのうちはその計画をまじめに取り合わなかった地元自治体の議会、昆虫や爬虫類がたくさんいる湿地よりも、今まで通りのフラワーガーデンの方がいいと言う一部の住民達もいた。ホワイト・クリークとその湿地の回復は、汚染を減らすために役立つ上、洪水を減らし、水生生物の多様性を豊かにするだろう。このプロジェクトの一環として、地元議会は、地域の学校が野外研究のために湿地を利用することを奨励した教育プログラムを展開した。2002 年の 9 月には、“ホワイト・クリーク湿地環境教育”プロジェクトは、都市における野生生物の生態系を回復し再生させたとして賞を受賞した。
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スイススイススイススイスさようなら人工の川、ようこそビーバー!|スイススイスの 6,000km の長さに及ぶ水のシステムは、その中で生きている多くの動植物の生存に不可欠である。しかし、国内の 95%もの河川が、人工の水路を流れるようにコントロールされている。もしもスイスの河川が、地形に沿って自然に蛇行しながら自由に流れることができたら、周辺の生物多様性はかなり豊かになり、緑の空間も増えて人々にも益をもたらすだろう。FoE バーゼルランド(Pro Natura)は、スイス北西部で、バーゼル市周辺の地域にビーバーに戻ってきてもらおうという、“ハロー・ビーバー”キャンペーンを立ち上げた。ビーバーは、スイス東部とフランスのライン川沿いではまだ見られるが、バーゼル市周辺ではダムや水門といった障害があり、現在の川岸もビーバーの生息には適していない。政治家と民間企業、そしてこのキャンペーンに興味を持った市民の協働による“ハロー・ビーバー”キャンペーンは、障害を取り除き、川岸を元の自然な形に戻し、河川や小川がより自然に流れることができるようにするといった活動を行っている。ビーバーにとっての理想的な生息条件は、水深 50 センチ位の流れが穏やかな川で、巣づくりに適した自然な川岸で、また冬の間の食料にするため、川岸には主にヤナギなどの柔らかな樹木が植生していることである。ビーバーは自分達の食料のために樹木をかじり倒し、また、巣やダム用の資材を組み立てるなどして、自分達の生育地を変化させる。他の動物と違って、ビーバーは常に自分達の生育地を必要に合ったものに変化させているのだ。FoE スイスのこのキャンペーンは、自然環境の再生と、河川や小川と川岸の関係を促進するためにビーバーを利用している。しかし、キャンペーンの成功とは、その他の多くの動植物もかつて絶滅してしまった場所へ回帰し、より自然で多様性をもつ水資源システムを取り戻すことも意味するのである。より詳細な情報は: “ハロー ビーバー キャンペーン”:www.hallobiber.ch(ドイツ語)FoE スイス:www.pronatura.ch 翻訳:FoE Japan〒171-0031 東京都豊島区目白3-17-24 2FTel .03-3951-1081 / Fax. 03-3951-1084 E-mail. info@foejapan.orgWeb http://www.foejapan.org


http://www.foei.org/publications/pdfs/water_japanese.pdf

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