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(回答先: ウェブサイト「ベネズエラ刻々」の紹介 投稿者 熊野孤道 日時 2005 年 8 月 30 日 08:07:28)
ベネズエラの問題は中南米史全体を踏まえて見る必要があると思います
19世紀以降の、米国および欧州の大資本による中南米全体の経済植民地化、新帝国主義の歴史を踏まえて見なければ、やはり今のベネズエラは理解できないと思います。ことはベネズエラ一国の問題ではなく、まして「チャベスという人物・個人が良い大統領か、悪い大統領か」などといった矮小な話(その方が遠く離れたところに住む平均的な人にはわかりやすいのかもしれませんが)ではありません。
それが南北米大陸全体の支配構造に関わるものだからこそ、米国はチャベスやカストロ、そしてそれにややもすれば同調する傾向を持つ国々を恫喝し懐柔し、一国の指導者の殺害をも含めたあらゆる手段で経済植民地化を維持しようとするでしょう。
この点に関してはぜひ『真相の深層』誌に連載されている、エクアドルの団体「尊厳・主権・反戦平和の法廷」による『ラテンアメリカに敵対する米帝国とCIA』のシリーズ(全3部:第1部は同誌2005年夏号に掲載、第2部は同年秋号、第3部は冬号に掲載予定:訳は童子丸開による)をお読みいただきたいと思います。20世紀の中南米史全体を踏まえた秀逸な論文です。
昨年(2004年)2月末に起こったハイチのアリスチド追放劇を思い出してください。あの国を食い物にしている米国の大小の資本が雇うゴロツキどもと米軍特殊部隊やフランス特務機関によって、ハイチの大部分の国民にとって飢餓線上にある最低賃金を雀の涙ほどに引き揚げようとしたとたんに、国がカオス状態に追い込まれて合法的に選ばれた大統領が追放され、その後はスペインを含む「多国籍軍」による直接統治が行われています。追放されたアリスチドには様々な「罪状」が貼り付けられました。
そして世界中の大新聞はその「罪状」を報道するだけで、米国資本によるこの弱小国の隷属化の状況とその歴史を伝えようとはしません。それを伝えるとこの追放劇の真相が明らかにされるからです。誰のための「情報機関」なのか、もう何も言う必要は無いと思います。
報道の内容で言えば、日本では赤旗等の左翼系の情報誌はその情報源が中南米の左翼系の団体によるものが多いでしょうから、やはり米国による新植民地支配を糾弾する流れになると思います。上に挙げたエクアドルの「尊厳・主権・反戦平和の法廷」も当然そうです。そして事実関係としては、中南米の現代史を踏まえてみた場合、またその多くを大報道機関が意図的に無視しているだけに、より正確なものだと思います。
ただ私としてはそれらの情報に対してやや食い足りない点として、オプス・デイや統一教会などの宗教団体の謀略、冷戦時代の「東西」のパワーゲームとそれに伴う利権構造(これは「東」も「西」も、さらにユダヤ・イスラエルを含む)などを含めた人間無視と破壊の構造の全体像に対する突っ込みが弱いように思えます。
もちろんこれは膨大な量の情報であり、一人は二人の人間の努力ではどうにもならないものですが、私も微力ながら現代史の解明に尽くしていければ良いと考えています。