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(回答先: 天木直人・メディアを創る ( 7/16) 戦争を想像する 投稿者 天木ファン 日時 2005 年 7 月 16 日 17:56:56)
『MD法案』参院委で可決 20日に成立へ
ミサイル防衛(MD)システムの運用手続きを定める自衛隊法改正案が二十日に成立する見通しとなった。二〇〇七年三月からの配備開始を前に運用の法的枠組みを整えた格好にはなるが、政府も「近未来兵器」の実像は完全に把握していないのが実情。国会答弁では「欠陥」が散見し、MDで国民が守れるのか、あらためて疑問が強まった。 (社会部・半田滋、政治部・梶雅一)
▲わずか24基
国会審議を通じて明らかになったのは、地上から発射する地対空ミサイル(PAC3)の配備数の問題だ。
PAC3は、航空自衛隊が全国に展開する六個高射群のうち、三個高射群に配備される。各高射群は四個高射隊で編成され、各高射隊は五基の発射機を持っている。
大野功統防衛庁長官は「うち二基にPAC3を搭載する」と答弁したから、搭載される発射機は二十四基ということになる。部隊配備されている発射機は百二十基なので、二割がPAC3化されるにすぎない。
「防衛計画の大綱」別表では、あたかも半数の部隊が迎撃能力を持つように表記しているが、発射機に換算するとはるかに低い割合だったことになる。
わずかな地域しか守れないなら、欠陥システムではないのか。大野長官は「政経中枢のある狙われやすい地域を守る」とPAC3を拠点防御兵器と位置づける一方で、「移動するため、防護する都市を固定しているわけではない」とも述べ、全国を防衛できるかのような矛盾する説明をしている。
弾道ミサイルは北朝鮮から発射されれば着弾までわずか十分。「最適な位置」に移動する時間の余裕があるくらいなら、迎撃手続きを簡素化する自衛隊法改正は不要だったことになる。
すべての発射機をPAC3にしないのは、MDシステムの導入費用が一兆円もする超高額兵器であるためだ。
二〇〇三年五月の日米首脳会談で小泉純一郎首相が意欲を示し、その年の閣議で導入が決定した。政治判断によって導入された対米追従のシンボルともいえる武器類で、「費用対効果」の発想は最初からなかった。
▲失う歯止め
国会審議では、このほかにも法案のほころびが続々と判明した。
大野長官は十四日の参院外交防衛委員会で、日米で共同研究中の次世代MDシステムについて「場合によっては第三国への供与があり得る」と答弁し、日本製のMD関連部品が米国経由で他国に輸出される可能性を認めた。
政府は昨年末の官房長官談話で、武器輸出三原則を緩和し、米国向けのMDの関連部品に限って解禁した。
この際、米国とのMD以外の武器の開発や、米国以外の国へのテロ・海賊対策の武器の輸出については、「個別の案件ごとに検討の上、結論を得る」とした。
つまりMD関連部品の第三国移転は、武器輸出三原則で認められないはずなのに、大野長官自らがその可能性を認めてしまったことになる。
また、MD運用のための米国との情報共有も問題をはらむ。
日米両政府は六月、MD運用のための「上級委員会」を発足し、情報収集での協力を深めることで一致したが、日本がどれだけの情報を提供するかの線引きは不明確だ。
米国が日本の提供する情報を、攻撃や迎撃に役立てれば、憲法が禁じる武力行使や集団的自衛権の行使に抵触する恐れもある。
大野長官は情報提供の範囲について「これからきちっとアメリカと協議したい」と答弁するにとどまっている。
参院外交防衛委員会は十四日、ミサイル防衛(MD)システムの運用手続きを定める自衛隊法改正案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。与野党が十五日の参院本会議開催を見送ることで合意したことから、同法案は二十日の本会議で可決、成立する見通しだ。
法改正は、発射から短時間で着弾する弾道ミサイルを迎撃するため、迎撃命令までの手続きを簡略化するのが狙い。改正案は、手続きが複雑な防衛出動命令を発令せずに、新設する「弾道ミサイル等に対する破壊措置」という概念で迎撃を可能にし、ミサイル攻撃の切迫度に応じて迎撃手続きを二通りに類型している。
他国が燃料注入などミサイルを発射する明確な兆候がある場合は、防衛庁長官が首相に部隊展開を上申し、閣議を経て迎撃を命じる。
明確な兆候がないものの、実験など警戒を要する動きを他国が見せた場合は、あらかじめ作成する「緊急対処要領」に基づいて対処し、実際にミサイルが発射されれば、現場指揮官の判断で迎撃する。
政府は二〇〇七年三月からMDシステムの配備を開始する。
自衛隊法改正法案は、陸海空自衛隊と統合幕僚会議を改編し、新設する「統合幕僚長」が、陸海空自衛隊の運用に関して防衛庁長官を一元的に補佐する体制に改める機構改革も盛り込んでいる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050715/mng_____kakushin000.shtml