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(回答先: 在日米軍再編:「年内決着」を確認 防衛首脳会談で ─ 「毎日新聞」 投稿者 天木ファン 日時 2005 年 6 月 05 日 07:53:43)
在日米軍再編:
沖縄の負担軽減では日米に温度差
在日米軍再編問題の年内最終決着に向け、協議の加速を確認した4日の日米防衛首脳会談。しかし、北朝鮮情勢の緊迫化や中国の台頭に備え「抑止力の強化」を主張する米側に対し、一層の「沖縄の負担軽減」を求める日本側との温度差が鮮明になった。これまでの事務レベルの協議では普天間飛行場(沖縄県)の海兵隊へリ部隊を嘉手納基地(同)へ移設することなど再編案の骨格が固まっており、最終的には小泉純一郎首相とブッシュ大統領のトップレベルでの政治決断が「負担軽減」の行方を左右する。【シンガポール古本陽荘、ワシントン及川正也】
◇嘉手納・岩国基地の周辺住民にとっては負担増
「沖縄を中心とする負担の軽減の問題が大事だ」。大野功統防衛庁長官はラムズフェルド国防長官との会談で、沖縄の基地負担が在日米軍再編にあたっての重要課題であることを訴えた。
しかし、ラムズフェルド長官は「米軍による抑止力の維持も重要だ」と指摘し、米側が対北朝鮮・中国の抑止力を強化する拠点に在日米軍を位置づけていることを強調。さらに国内総生産(GDP)の3.2%を国防費に投入している米側の軍事負担の大きさに言及し、双方の認識の違いが明確になった。
03年秋に米側が具体案を提示して始まった日米協議は、日本側が基地の再編に消極姿勢を取ったことに米側が強く反発し、いったんは暗礁に乗り上げた。昨秋、(1)共通戦略目標(2)役割・任務の分担(3)基地問題−−の3段階で進める仕切り直しを図った経緯がある。
米国が世界規模で進める米軍の変革・再編(トランスフォーメーション)は技術革新による軍の軽量化・効率化を進めるもので、日本政府内には沖縄に駐留する海兵隊が削減されることへの期待感もあった。しかし、仕切り直し後の戦略協議で米側は対北朝鮮・中国の抑止力を強める姿勢を鮮明にし、日本側も北朝鮮の核開発や拉致問題で米国の圧力を必要としているため、日米の共通戦略目標は抑止力重視の内容になった。
そこで日本側は朝鮮半島有事や日本有事を想定した役割・任務分担の協議で、自衛隊が米軍任務の一部を分担する代わりに基地負担の軽減を進めることを狙った。だが、米側は海兵隊などの兵力削減には難色を示しており、このままでは自衛隊と米軍の一体化ばかりが進んで負担軽減は置き去りにされる恐れもある。
これまでの協議では特に「世界一危険な基地」と言われる普天間飛行場と、夜間発着訓練(NLP)の騒音問題を抱える厚木基地(神奈川県)に対象を絞り、普天間から嘉手納へのヘリ部隊移転や厚木から岩国基地(山口県)への空母艦載機移転などが固まった。
日本政府はこれらを「目に見える負担軽減策」としてアピールしたい考えだが、在日米軍全体の削減にはつながらず、受け入れる嘉手納・岩国基地の周辺住民にとっては負担増となる。特に県内移設に反対する沖縄の理解をいかに得るか。今後、厳しい条件下での交渉を迫られることになり、最後は小泉純一郎首相の政治決断に委ねられる。
◇「中国警戒論」あらわの米側
ラムズフェルド国防長官「中国を脅かす国などないのに、なぜ中国はこれほど軍事費を投じるのか」…
崔天凱・中国外務省アジア局長「中国がどの国からも脅かされていないと、本気で考えているのか」…
日米防衛首脳会談に先立って開催されたアジア安保会議。先陣を切ってスピーチした同長官が、軍事費を毎年10%前後伸ばし続け「軍近代化」を進める中国への警戒論をあらわにすれば、中国側がすかさず切り返し、会議は米中が冒頭から火花を散らす展開となった。
米国の対中警戒論の背景にあるのは「米国に唯一挑戦しようとしているのが中国」(米外交筋)との見方だ。米国は近い将来、中国が最大のライバルになり、アジアの軍事バランスや中台問題に深刻な影響を与えることを警戒している。
米国防総省は近く中国軍事力の年次報告を発表するが、同長官はそれを先取りする形で、中国の中長距離弾道ミサイル増強に触れた。その上で「中国の軍事費は公にされている額よりも多い。世界第3位、アジアでは最大の軍事予算と推定される」と強調、公然と軍拡路線に警鐘を鳴らした。対中警戒論をアジア全体の懸念として共有させる狙いがあったともいえる。
北朝鮮の核問題に対する中国の取り組みが不十分だとの不満も対中警戒論を増幅させている。同長官は3日、記者団に「北朝鮮政策の見直しを進めている」と語ったが、見直しは対中政策にも及ぶ可能性がある。米軍が在韓米軍にF117ステルス攻撃機15機を派遣したのも北朝鮮と同時に中国向けの抑止力誇示という見方も出ている。
中国への備えは、在日米軍再編にも連動する。米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)移転について、日米軍事筋は「再編を進めている在韓米陸軍司令部の統合も視野に入れている」と指摘。国防総省関係者は「東アジアでの抑止力強化を意味するもの」と説明する。
米軍はアジア太平洋全体での再編を進めており、装備のハイテク化により即応性を持たせることで、部隊を沖縄の外に後退させることは可能という。
だが同時に「後退による中長期的な軍事影響力の低下」(同省筋)も考慮しており、沖縄の基地負担の軽減は対中抑止力とのバランスをどう取るかが決め手になりそうだ。
■日米安保と米軍再編をめぐる主な動き
96年 4月 沖縄県の米軍普天間飛行場返還で日米合意
同月 日米安保共同宣言
12月 沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告を日米が了承
99年12月 普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古沖移設を閣議決定
02年12月 日米安全保障協議委員会(2プラス2)で日米防衛体制見直しで合意
03年 2月 日米外務次官級戦略対話で在日米軍兵力構成協議開始で合意
03年11月 ブッシュ米大統領が海外駐留米軍再編の声明を発表
04年 6月 在韓米軍1万2500人削減を公表
05年 2月 2プラス2で共通戦略目標合意
6月 日米防衛首脳会談
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20050605k0000m010110000c.html