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(回答先: 寺田学氏「平和主義貫徹こそが、日本の生きる道であり、日本の行く末を握る根幹である」 投稿者 下戸彩 日時 2005 年 9 月 19 日 20:40:37)
http://www.manabu.jp/current_event/050322.html
■郵政民営化に反対 2005/03/22
衆議院で予算が通過した今、
報道では郵政民営化が今後の最大の焦点と言われている。
本来は郵政民営化より年金問題、介護、景気対策、雇用が重要項目と考えるが、
総務委員会の委員でもあるので、持論を話してみたい。
先に結論を述べるが、私は郵政民営化に反対する。
野党だからとか、労働組合の支援を目当てとしているから等の理由ではない。
民営化しなくても問題は解決できるし、
逆に、民営化したほうが問題が増えると思うからだ。
以下、少々堅苦しい記述ではあるが詳しく述べてみる。
(平易な説明は折をみて後日)
そもそも、何故に郵政民営化の話が出ているのか。
ひいては、郵政に何の問題点があるのか、
まずは簡単に列挙したい。
・郵政が必要以上に多額の金融資産を保有している。
・特殊法人に郵政の資金が流れている(財投債の購入などで)。
・郵便局のサービスが悪い(これは一概には言えないが)。
以上の問題点には同意出来る。
たが、その問題点を解決する手段としての「民営化」に反対するのだ。
以下、「郵政民営化による問題点」と、
「郵政民営化以外の対案」を簡単にお話したい。
まず、「郵政民営化による問題点」を数点。
・巨大すぎる金融機関
現在、郵政(郵便、簡易保険、郵便貯金)は400兆弱の金融資産を保有する。
この額は既存のメガバンク(みずほ銀行などの)の数倍にあたる。
まず、郵政を民営化するならば、郵政は今後、民間企業への資金貸付等の
一般金融機関と同類の業務を行えるようになる。
民営化するなら当然のことだろう。
だが、そこに問題が発生する。
今まで国のご加護のもと、健全な財政体質のもと、安定的な経営を進めた郵政が、
このまま金融市場に参入するのはインパクトが大きく、
資産規模も変わらぬまま、民間金融と同じ土俵にあがることは、
民業圧迫の危険性を大いにはらむのだ。
金融関係者が言う、この規模のまま郵政を民営化することは
「クジラを池に放すようなものだ。」と。
民営化推進の輩は言う「ならば郵政を分社化すればいいではないか」
確かに規模は小さくなるかもしれない。
だが、個々の事業の採算を勘案すれば、
結果、分社化はユニバーサルサービスを崩壊させる以上、
弊害も多い(詳細後述)。
・国債の引受け役としての存在
現在、国家財政は逼迫している。
一般会計において毎年度35兆円程度の国債を発行しており、
累積では500兆円強にも及ぶ。
この莫大な国債を誰かが購入しなければ日本の財政が破綻することは事実。
もちろん、国債の発行量を減らす事は当然の責務で、財政再建は急務であるが、
少子高齢化が進み、社会保障費が今後も増加する事を考えれば、
劇的に国債発行量が低下するとは考えにくい。
誰かが国債を引受けなければならないのは、政策論以前の大前提だ。
さて現在、この国債の最大の引受け手は郵政である。
郵政が民営化されれば、当然の如く資金運用は自由である。
言い換えれば、国債は買わなくてもいい。
とすれば、大きな国債管理政策の大幅転換を余儀なくされる。
そして、国債管理に不安要素が漂い、金利の高騰を招く恐れがある。
また、郵政が国債の引き受け量を減らし、
国債という低金利の金融商品が、
今まで以上に民間金融機関の資産運用に利用されるのであれば、
民有機関が抱える利ザヤ幅の減少を回復することは難しくなる。
誤解を恐れずにいえば、
このような財政状態において、国債の引受けこそ郵政の役割と言えよう。
その役割を放棄させるような政策誘導を行う事は賢明ではない。
(民営化しつつも、国債を買うよう誘導するとの話もあるが、
それは本当の民営化とは言わないだろう)
・特殊法人の温存
郵政に集まった資金が、特殊法人(住宅金融公庫等)に流れる事が、
特殊法人の無駄遣いを温存していると言われる。
そんな批判があったからこそ、
資金の入り口である郵政を改革しようとの論理が郵政民営化にあった。
なるほど、とは思うが、果たして入り口を改革したことで、
出口は改革されるのか不安である。
多くの官僚からの天下りが根を張っている特殊法人において、
たとえ郵政が民営化されようとも、特殊法人に対して何らかの力が働き、
依然、特殊法人改革が進まないことも考えられる。
財投機関債が未だ充分に健全活用されていないのであれば、
金融市場による特殊法人の淘汰は進まない。
いずれにせよ、郵政民営化によって、特殊法人を改革するのは、
現状の官僚支配の中では期待は出来ないだろう。
特殊法人の改革をするのであれば、財投改革を進めると共に、
政治的に不要不急の特殊法人を廃止していくことが適切といえる。
・ユニバーサルサービスの担保
民営化するのであれば、営利第一で郵政会社を経営する事になる。
政府案では郵政を「郵便」と「郵便貯金」と
「簡易保険」と「窓口サービス会社」の4分社化するという。
貯金と簡易保険は単体でも黒字だが、郵便は赤字である。
民間の発想であれば、赤字であればコストを減らすことになる。
言うなれば、儲からないところは撤退するということだ。
とすれば、現状の郵便局網は維持できない。
必然的に田舎の郵便局は廃止される運命となる。
それでいいのだろうか。郵便は国の責務であると考えるし、
国際条約で一定の価格とサービスを維持することが求められている。
政府は言う「今度の郵便局はコンビニのようになるから、
郵便単体でも黒字で、田舎の郵便局も維持できる」と。
果たしてそうだろうか。現状、田舎にあるコンビニが繁盛しているだろうか。
もちろん、中には繁盛している店舗もあるが、
現状の郵便局網のキメ細やかさでコンビニを営業して黒字化するだろうか。
確実に郵便局は減る結果になるだろう。
他の民間配達業者も営利一番に動くであろうから、田舎の郵便局の代替は難しい。
結論として、国費を使ってでも郵便事業のキメ細やかさは保持するべきだ。
以上、民営化の問題点を挙げてみた。
それでは郵政の問題点を「民営化以外の方法」でどのように解決するべきか、
少し提案してみたい。
・預託上限を引き下げる
郵政が必要以上に金融資産を持っていることが問題であれば、
預け入れられる額の上限を下げればよい。
現在、郵貯の預金上限は1000万円である。
この上限を100万〜200万円程度に引き下げればよい。
また、口座は一つしか持てないことになっているが、
現状では色々な形で結局複数の口座を持っている人が存在する。
厳格な口座調査(名寄せ)が必要だろう。
上限を引き下げて、口座の監視を強めることが、
大きすぎる郵政を適正規模にさせる。
・国債の引受け先としての郵政
先にも述べたとおり、財政再建が進もうとも、
国債の発行は劇的に減少しないだろう。
その中で、国債の消化を安定させることは、日本の財政にとって至上命題である。
そこで、私は引き続き、郵政が国債の引受け先となるべきと考える。
民営化して通常融資業務を開始するのではなく、
郵政は公営のまま、引き続き国債の消化を主軸としたい。
前述のように、預金限度額を引き下げる以上、
国債引受額の総量が減るかもしれないが、
預金限度額を超えた部分で、
郵便局で国債の直接販売(個人宛て)し、減少分をカバーできないだろうか。
・サービスの維持向上
郵便のユニバーサルサービスを残すために、
国の関与は残すべきだろう。簡単に言えば、
民営化ではなく現状の公社のままでいい。
郵便事業の効率化、サービスアップを公社のままで行っていく。
加えて、行政機関が担っている住民票、印鑑証明の交付など、
役所の窓口業務を兼務させるのはどうだろうか。
市町村合併が進み、役場までの距離がますます遠くなる中、
現状の郵便局ネットワークを
引き続き維持活用することは時代の流れに対応する。
・特殊法人改革の徹底
引き続き特殊法人改革を徹底するべきだ。
資金の入り口である郵政を民営化することで改革するよりも、
そもそもの無駄遣いの根源である出口の特殊法人を直接的に改革すべきだ。
現在、財政投融資改革が勧められ、市場による特殊法人の淘汰が計られているが、
それに加えて、政治的に不要な特殊法人を大胆に廃止していくことも必要だ。
郵政問題に関しての持論は以上である。
郵政の問題点、
郵政「民営化」の問題点
民営化以外の対案 の三部構成で記述してみた。
いまだ舌足らずである部分が多いが(特に財政投融資)、
冒頭にも述べたとおり、民営化こそが唯一無二の郵政改革ではないことが、
少しは理解頂けたら幸いだ。
民営化=便利になる。
そんな方程式が国鉄や電電公社の民営化を通じて、
私たち国民に刷り込まれている。
しかし、その方程式がいつでも通用するとは限らない。
そもそも国鉄の時と時代は違うだろうし、
今回の郵政に関しては、
民間で既に同様の業務を行っている会社が多数存在しているのだ。
実は我が家の父も母も郵政民営化には賛成しているようだ。
「だって郵便局は不便だもの」と母は言う。
確かにそうかもしれない。
「今回の改革には小泉さんの意気込みを感じる」と父は言う。
確かに他の改革より総理の意地を感じる。
だが、どうだろう、
便利になることだけを目的に、市場が不安定化したり、
小泉さんの意気込みだけを買って、民業を圧迫したりすることは適切だろうか。
べつに民営化しなくともサービス向上は図れるし、
小泉さんの個人的趣味に付き合う余裕は日本にはもう無い。
問題点を冷静に受け止め、
様々な観点からの影響を予測して、民営化の是非を議論したい。
改革に反対すると、少々古い人間のように思われがちだが、
間違っているものは間違っているのだから、反対したい。
意地や見た目だけで決断できないのだ。
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