★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK13 > 905.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□「改革力」 外交 もっと語ってほしかった [毎日新聞・社説]
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20050910k0000m070139000c.html
「改革力」 外交 もっと語ってほしかった
米国、アジアとの関係は日本外交の車の両輪だ。どちらか一方が回らなければ車はあらぬ方向に行ってしまう。21世紀の国際社会を生きていくには、米国と良好な関係を保ちながら、それをアジア・太平洋地域でどう生かしていくかが重要だ。
その視点で各党のマニフェスト(政権公約)や党首発言を点検すると、肝心な部分が抜け落ちている。対アジア、中でも台頭著しい中国とどう付き合っていくかについて具体的な説明がなく、首尾一貫した戦略も見えない。
自民党は中国、韓国など近隣諸国と「未来志向型の連携を強化する」と訴える。だが、歴史認識や小泉純一郎首相の靖国神社参拝で悪化した対中関係をどう立て直すかについて言及がない。
中国が最も敏感に反応する外交案件は台湾海峡問題だ。中国は、日米が安全保障協議委員会(2プラス2)で「台湾海峡問題の平和的解決」を初めて共通戦略目標に盛り込んだことに警戒心を強めている。小泉首相が靖国参拝を取りやめれば問題は解消される、というほど日中関係は単純ではない。
しかし、だからといって靖国問題を放置しておいていいというわけにはいかない。関係改善の障害になっている靖国問題にどう対処するのかをまずはっきりさせなければ、「未来志向型の連携」という次のステップに進めるはずもない。だが、小泉首相は選挙戦を通じても参拝を継続するか否かについて「適切に判断する」と言うだけだ。
自民党と連立を組む公明党は、神崎武法代表が「首相は参拝すべきではない」と言っているものの、連立与党重点政策には「アジア外交により力を注ぐ」との抽象的な文言しか見当たらない。
民主党はアジア重視の姿勢を強調し、先の戦争への「反省と謝罪を忘れない」として、「日中関係再構築」と「日韓関係強化」をうたう。戦争犠牲者らのための国立追悼施設建設を約束してもいる。近隣外交でつまずいた小泉外交へのアンチテーゼといえる。だが、小泉首相も先の終戦記念日にアジアへの反省とおわびを示した談話を発表している。民主党はアジア外交を明確な対立軸にし切れていない。
対米関係で、自民党は「ゆるぎない日米同盟」を掲げ、民主党は「関係の進化」をうたう。だが、日米同盟の柱である米軍の世界的再編との関係で日本の防衛力をどう位置づけるのかや、アジア・太平洋地域での日米の役割分担をどうするかについてはどちらも触れていない。
選挙戦では外交問題が埋没してしまった。一義的な原因は、郵政問題だけで白黒を迫った小泉自民党の争点はずし戦略にあるが、明確な対立軸に組み立て切れなかった民主党にも責任がある。
政権継続を図る自民党と政権奪取を目指す民主党には、もっと外交を語ってほしかった。
毎日新聞 2005年9月10日 1時34分
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK13掲示板