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(回答先: 【無能を全世界に露呈した、国土安全保障省の破産】 州兵、海外派遣で負担増 【産経新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 9 月 09 日 12:17:18)
被災した超大国)失政重ねた「人災」 ニューオーリンズ
大型ハリケーン「カトリーナ」による被害は、犠牲者が数千人から1万人ともいわれ、米史上最大級となった。来襲から10日たった8日も遺体の捜索は難航。ニューオーリンズ市街地の大半は海抜以下なのに、堤防の決壊で約48万5千人の大都市が水没することへの備えはなく、被災者の救援も大幅に出遅れた。連邦政府と州、市当局の見込みの甘さと判断ミスが重なった「人災」でもある。30州に逃れた約42万人の避難生活も長期化は必至。激甚な被害を招いた経緯を検証する。
●水没想定、備えなし
ハリケーンがメキシコ湾からルイジアナ州ニューオーリンズに向かっていた28日午前9時半、ネーギン市長は同市始まって以来の避難命令を出した。「深刻な事態だ。かつて経験したことのないことになる」。テキサス州の牧場で休暇中だったブッシュ大統領も前日、ルイジアナ州に非常事態を宣言していたが、市民の反応は鈍かった。
命令を受け、郊外への道路は避難する車が数珠つなぎになった。だが、人口の7割近くを黒人が占める同市には、車を持たない市民が11万人以上いる。黒人比率の全米平均は米メディアによると約1割。同市で被害が集中した市中心部の人口の約7割が貧困層に属する。「自動車社会」なので、日本のような公共交通機関も充実していない。当局は相乗りを呼びかけたが、バスなどは用意していなかった。
災害対応を担う連邦緊急事態管理庁(FEMA)の肝いりで実施された昨年の図上演習では、貧困層や高齢者など10万人以上が取り残される可能性が指摘されていた。
脱出できない人のために市はフットボール場のスーパードームを開放。「3日間、1万5千人」の想定で備蓄していた食料と水を配給したが、とうてい足りない。2万人を超える人たちが殺到し、隣のテキサス州などに移送されるまで、避難生活は6日間に及んだ。トイレはあふれ、停電と通信途絶で精神的に参る人が続出して「無法状態になった」(避難者の一人)という。
29日早朝に上陸したハリケーンは市を避けて風力は弱まったが、堤防が決壊。「この瞬間、我々はお手上げになった」(市幹部)。残っていた市民は8万〜10万人。水没を想定した市の退避計画はなかった。
「高いところに逃げてもらい、あとは連邦や州政府に空から救援してもらう。それが計画だった」と市長は振り返る。
地元紙は02年に企画で「中程度のハリケーンによる洪水でも数千人が死亡する可能性がある。『いつ起きるか』だ」「堤防が決壊するかもしれない」と警告。米国赤十字の専門家は、予想の死者数を2万5千人以上と指摘していた。
FEMAのブラウン長官も、今年1月にインド洋津波の被災地を訪問した後、同様の惨事が米国内で起きうる地域を検討。真っ先にニューオーリンズがあがったが、対策となると「誰もが黙ったままだった」(高官)という。
防災工事を担う陸軍工兵部隊は今年、ハリケーン防災事業に2700万ドル(約30億円)の予算を政府に要求したが、認められたのは570万ドル(約6億円)だけだった。堤防を高め、排水を効率的にする改良事業は見送られた。イラク派兵の負担や、同時多発テロ後に失速した米経済を刺激するために膨らんだ財政赤字を背景に予算が削減された、と米紙は指摘している。(ニューオーリンズ=江木慎吾)
◇ ◇
28日午前 大量避難が始まる。
夜 スーパードームに1万人を超す市民が避難(その後、屋根が2カ所吹き飛ばされる)。
29日午前11時ごろ 工業運河が2カ所で決壊し、付近は1〜3メートルの深さで水没。数千人が屋根の上に避難した。夜は停電で市内は闇。
30日午前1時半以降 ポンチャートレーン湖が増水し、17番通り運河の堤防が決壊して一気に浸水。ロンドン通り運河の堤防も長さ約90メートルにわたって決壊し、市内22カ所の主な排水ポンプは機能停止に。海抜以下を中心に北部はほぼ全域が浸水した。堤防は6日に修復され、ポンプの一部も稼働を再開したが、排水完了まで数週間かかる見通し。冠水面積は7日までに市街地の8割から6割に減少。電気の復旧まで8週間かかるという。(ニューズウィークなどから)
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