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(回答先: 台風14号、死者・不明27人に 目立つ高齢者(朝日新聞)---災害を予見する「天気予報」は無視されてるね、風のウシュメー 投稿者 竹中半兵衛 日時 2005 年 9 月 08 日 11:55:43)
『大雨台風』増えるか
台風14号は西日本を中心に記録的な大雨をもたらした。多い場所では、一気に東京の降水量一年分の雨が降る想定外の事態だ。地球の温暖化による気象変動で、豪雨につながる台風が増えるとの見方も出ている。「大雨台風」への警戒は十分なのか。
「降ってくる雨と地面で跳ね返る雨が混じって、白くもやがかかり、まったく視界がない。今まで雨を怖いと思ったことはないけど初めて怖いと感じた」
降り始めの四日から二日余りの総雨量が、東京の一年間の総雨量に匹敵する一三二一ミリを記録した宮崎県南郷村。同村で理容店を営む大平みどりさん(50)は豪雨の様子をこう語る。
「でっかい流木がごろごろ流れてきて、近所のコンクリート製の橋の欄干が壊れてしまった」。近所の特別養護老人ホームの裏山も土砂崩れを起こした。「ヘルパーさんたちが、『山が動いたのは初めて見た』と驚いていた。道路はそこら中で寸断され、彼女たちは三日間ぐらい自宅に帰っていない」
村内でバス代わりの交通機関となっているタクシー会社の女性社員(50)も「家の前の国道が、まるで川だった。風と雨音がすさまじくて一歩も外に出られなかった」と話す。
南郷村役場によれば、この台風で百四十三世帯二百八十四人が自主的に避難。現在も一部地区で電話が不通の地区があり、村外に抜ける主要道路も土砂崩れで通行できないため、一時、陸の孤島と化したという。
前出の大平さんは「新聞も届かず、うちの村が今回一番雨が降ったということはテレビで知った。『大雨日本一』では、気分は複雑」と話す。
宮崎県えびの市でも降り始めからの雨量が一二七〇ミリを超えた。「風も強く、外に出ると四方八方から強いシャワーを浴びせられている感じだった」と市内のガソリンスタンドの女性アルバイト店員(20)。ホームセンターの店長(35)は「六日まで臨時閉店していたが、きょうになって事務所に来てみたら、雨漏りしていた。配水管が雨で壊れたらしい」と頭を抱える。
■早明浦ダムは貯水0→100に
一方、四国の水がめ高知県の早明浦(さめうら)ダムは、上流域で四日から六日にかけて五二〇ミリの雨が降り、貯水率0%から100%へ回復。二十五メートルプール約四十一万杯分に当たる約一億七千万立方メートルの水がたまった。同ダムを管理する水資源機構早明浦ダム・高知分水管理所の担当者は「貯水率0%から一気に100%となったのは初めて。ただ、ダムには洪水調節という機能もあり、今回のように怒濤(どとう)のごとく降るのは問題でもある」と話す。
気象庁によれば、雨の強さと降り方を表す最も強い表現は「猛烈な雨」。一時間の雨量が八〇ミリを超える場合をいい、人の受けるイメージは「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる」。屋外の様子としては「水しぶきで一面が白っぽくなり視界が悪くなる」という。
南郷村の今回の最大一時間雨量は六日の七一ミリで、「猛烈な雨」に次ぐ「非常に激しい雨」の区分だが、大平さんたちの感じ方は、むしろ「猛烈な雨」に当たりそうだ。
気象庁のまとめでは、今回は十一県の五十七カ所で一日の降雨量の最高記録を更新した(過去タイ記録も含む)。一日雨量の日本記録は一九七六年に徳島県木頭村(当時)で計測された一一一四ミリ。六日の南郷村の一日雨量は六二八ミリだが、これが二日余り続いた。
■14号の雨量は「自然範囲内」
気象庁天気相談所は「先日の東京の集中豪雨のように、時間降水量が一〇〇ミリを超えるケースも、全国どこでも起こりうる。短時間で豪雨が起きれば浸水災害の危険が高く、長時間大雨が続く場合はそれに加えて土砂災害が起きる」と指摘する。
台風14号は、九州に近づいた際の時速が一〇キロ前後と自転車並みにのろのろと進んだ。このため、一カ所に大量の雨が降り、被害の拡大を招いた。さらに、例年より高い緯度まで日本海の海水温が上昇し、大気中の水蒸気が増え、14号の「大型で強い」勢力が衰えにくくなった。
地球温暖化による気象変動との関係について、東大気候システム研究センターの木本昌秀教授(気候力学)は「今回は“自然のばらつき”の範囲内で、温暖化とは関係ない。(日本列島の上空を吹く)偏西風が比較的、北にあり、台風が影響をほとんど受けなかったため速度が遅くなった」と説明する。
ただ、長期的視野に立つと、地球温暖化が台風による豪雨被害を拡大する可能性はあるようだ。
「温暖化が加速すると、大気中の水蒸気が増え、台風の強さが同じでも雨の被害は増える。その点を認識せずに、今回の台風14号は特別で、しばらくは来ないだろうと思ってはいけない。米国の超大型ハリケーンに関しても、同じことが言える」と木本教授。今後は温暖化の影響で、台風が来ると集中豪雨になる傾向が強まるとみる。
■気温上がると台風減る説も
一方、まさに温暖化の影響で「将来的には台風の数そのものが減ってゆく」という説もある。コンピューターによるデータ解析から得られる推定だが、ごく簡単に言ってしまえば、温暖化によって水蒸気が増えるため、大気の安定度が増す。つまり、大気が上下に混ざる動きが起きにくくなるという理屈だ。
ただし、木本教授は「五十年から百年後には、現在よりも減るという意味なので楽観視してはいけない」とくぎを刺す。
大阪、名古屋、東京、さらには北海道も、台風14号のような豪雨を伴う台風におそわれる可能性があるといい、「人ごとと思ってはいけない。東京にも海面より低い地域があり、豪雨の台風で堤防が決壊したらどうするのか。真剣に対策を立ててほしい」と呼び掛ける。
安全な町づくりに詳しい防災コンサルタント、渡辺実さんによると、一時間当たり一〇〇ミリの雨量にも耐えられる高知市などは例外として、日本各地の下水道管の対応能力はせいぜい四〇ミリにすぎない。
「今から、網の目のように張り巡らした下水管を敷設し直すのは困難だ。東京都のように河川のバイパスを地下に造っても、台風14号にからんで杉並、中野区に被害が出た。雨をすべて川に流す方式は限界だろう。今後は、雨水を地下に染み込ませる浸透性の路面を普及させたり、山際に住宅を建てさせない施策などが必要になる」
いわば、豪雨による水害対策のために、道路を砂利道に戻すぐらいの気概が、行政にも住民にもあるのかが試されるという。
渡辺さんは「安全性を隅に追いやると、その結果が台風の時に出る。最優先課題を“街の利便性”から、積極的な“街のメンテナンス”に切り替えるべきだ」と訴える。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050908/mng_____tokuho__000.shtml