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台風14号、死者・不明27人に 目立つ高齢者
朝日新聞 9月8日10時43分
http://www.asahi.com/national/update/0908/TKY200509080124.html
台風14号による死者・不明者は、朝日新聞社の調べで27人にのぼった。このうち、22人は土砂災害に巻き込まれたとみられ、多くは65歳以上の高齢者だった。風水害で約230人もの死者を出した昨年の教訓は役立てられたのか。今回の被災地の実情や対策を探ると、迫る災害への「危険度」を住民にどう伝えるかという問題が浮き彫りになっている。
朝日新聞の調べで、死亡が確認されたのは18人、行方がわからないのが9人。このうち、22人は土砂崩れに巻き込まれたものとみられている。年齢がわかる24人のうち、65歳以上は17人で、昨年と同様、高齢者が目立った。
土砂災害の被災者のほとんどが、自宅で被災している。鹿児島県垂水市小谷集落では3人の女性が集まっていた家に土石流が押し寄せた。集落は市中心部から約6キロ離れ、避難所となった公民館でさえ、2キロ以上離れている。集落の女性(88)は、「遠くて車がないと行けない」と言った。
市は要請があれば住民を避難所まで車で運ぶ予定でいた。しかし、防災無線で案内をしておらず、知らない住民がほとんどだったという。
市が避難勧告を出したのは、土石流が起きた後だった。公民館に通じる道路はすでに土砂で寸断されていたという。水迫順一・市長は「高齢者が多い地域ではもっと早く避難指示を出し、もう少し強制力をもって避難所に案内するなど改善策を検討したい」と言った。
昨年の新潟豪雨や台風21号では、避難勧告が出るのが遅かったり、家の中にいて広報車の音が聞こえなかったりしたことが指摘された。国は今年3月末、高齢者らを早めに避難させるための「避難準備情報」や、市町村が避難勧告を出す場合のガイドラインを作った。7月には防災基本計画を見直した。
ただ、実際に情報を出す市町村では、災害弱者をめぐる個人情報の扱いもあって、運用できていない自治体が多い。
今回、死者が出た山口県岩国市、宮崎県椎葉村、山之口町などは避難指示や避難勧告を出していた。しかし、高千穂町が避難勧告を出したのは、土砂崩れがあった後。三股町は避難勧告を出していない。
台風は地震と違って、予測できる災害だ。しかし、住民にとって、どの時点で避難するかの判断が難しい。そのため、災害対策基本法で、首長が避難勧告や、緊急性のある避難指示を出すようになった。
「住民を守る」という視点だけでなく、住民が自ら判断できる情報を出すことも重要だ。自分の住む街で、どれだけの雨が降ると浸水の恐れがあるのか。どの傾斜地が土砂災害の危険が高いのか。ハザードマップ(災害予測図)や防災情報を積極的に住民に示し、住民自らが避難を判断できる環境を整えてこそ、避難勧告が生きてくる。
大雨や洪水などの警報も「危険度」がわかると理解しやすい。かつて、「最も強い警報にあたるスーパー警報を作ったらどうか」という議論もあった。「洪水危険度5」など一目でわかる情報の出し方を検討すべき時期に来ている。