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(回答先: シャープは亀山に続く液晶工場の立地を探していて,その候補地は…… 投稿者 やました 日時 2005 年 5 月 20 日 23:54:01)
本命は不在、勝負は2015年に
もう一つの波は、リアプロジェクション(rear projection投影型)という第5ウエーブです。いわゆるプロジェクターで投射するというやつですけれども、実は僕、先ほど理事長がおっしやっていた本(『次世代ディスプレイ 勝者の戦略』http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492761519/qid=1116343823/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/249-2716281-6277944)の中で、リアプロジェクションのテレビをくそみそに書きました。「こんなものは20年早い。輝度は悪いし、画像は暗いし、お話にならない」みたいなことを書いたんですけれども、怒るわ怒るわ(笑)。
ソニーとエプソンとビクターから抗議電話がばんばん入りまして、「泉谷さん、これはないですよ。ちょっと見てください。技術はあっと言う間に変わるんですよ」と言われて、見に行った。すごいですよ。プラズマディスプレイ顔負けの精彩度。おまけに、値段はプラズマの三分のーです。12〜13万円で40インチができちゃうわけですから。それを、なぜ日本の人は知らないか。簡単なことです。これを作れるメーカーは実は2社しかないんです。正確に言うと3社しかない。
様式が違うんですけれども、このプロジェクターの中に高温ポリシリコン液晶を使うんです。1000度ぐらいの高温で処理する液晶を使う。これをコアのデバイスにして、それで投射するんです。ですから、これも液晶技術です。そのデバイスをつくれるのがエプソンとソニーしかない。
エプソンは今、北海道千歳に300億円突っ込んでその大型工場を作っています。ソニーさんはこの間発表になりましたが、熊本に500億円突っ込んで、新しいプロジェクション用のデバイスをつくる。この両者しかいないんです。
ですから、プロジェクションがブレークしてくると万歳三唱するのがセイコーエプソンとソニーとなるんですが、問題はこういうことです。
そのテレビはアメリカで去年一斉に売り出されました。結果、どうなったかと言いますと、去年1年間の売り上げがプラズマを上回りました。そりゃそうですよ、安くて精彩なんですから。しかし、去年の春ごろまではどうしようもなかった。だから、本の中でくそみそに書いたんです。
ところがたった2ヵ月で技術がブレークした。あっと言う間にきれいになっちゃったんです。塩でもふりかけたんですかね(笑)。信じられない。だから、技術はおっかないですよ。全米ではソニー、エプソンの売っているリアプロジェクションがプラズマテレビを上回った。これから逆上陸です。この2月ごろからソニーもエプソンも、国内向け出荷を始めます。
それとはまったく違う様式で作っているのが日本ビクターなんですが、LCOSという技術です。リキッド・クリスタル・オン・シリコン(Liquid Crystal on silicon)と言って、シリコンの半導体技術の上に半導体と液晶を融合しちゃう。とんでない技術です。それをできるのはビクターしかないんです。横須賀にこれから大型工場をつくる準備をしています。
日本ビクターは今までちょっと忘れられていたんですけれども、このLCOS技術を持って、ソニー、エプソンの一角に食い込んでくるはずですから、この3社がリアプロジェクションテレビでがんばりだすと、勢力分布図は一気に変わってしまいます。
で、結論は、何にも本命はいないんです。(笑)誰が本命かわからない。つまり、これは戦国時代です。群雄割拠です。武田信玄がTFT液晶かどうかわかりません。じゃ、誰が織田信長なんだと言いたいんですけれども、わからない。どこかでわかるはずですけれども、まだ百花繚乱、本命は不在です。勝負の決着がつく「関が原」は2015年です。簡単に言えば、売上5兆円程度ではシェアなんか知れたもので、半導体のように15兆円、20兆円となってきたときに初めて勝負は決まります。液晶業界やFED業界の人に言っているのは、関が原は2015年、そこまでに本命技術を立ち上げて量産工場を立ち上げたやつが勝つ。ですから、「2015年の関が原を見るまでは長生きをいたしましょう」ということで終わりたいと思います。(笑)
(後略)