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Re: 透明な悲しみ
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投稿者 NJ 日時 2005 年 6 月 23 日 02:14:14: QZEFwNzGXHdaQ
 

(回答先: 透明な悲しみ 投稿者 都会暮らし 日時 2005 年 6 月 17 日 20:56:37)

あなたには、キーボードを打つための、5本の指があるけれど、彼らには無い
あなたには、写真を見るための、目があるけれど、彼らには無い。
あなたには、いたわるべき娘があるけれど、彼らにはもう無い。
これらは、ちょうど今も起こっている事実。
あなたには、逃げ込む哀しみがあるけれど、彼らは何処に逃げたらいいか。
にげようにも、足が無い。隠れようにも、家がない。

しかも、アメリカ軍が彼らに落とした爆弾の、お金は、我々が払った。
私が払った税金で、私はイラクの人を殺しているのです。
だから、目をそむける権利は、少なくとも私にはありません。

(あなたのおっしゃるのは、我々おとな、
と違い、小さい彼女は戦争荷担に何の責任もない、ということですか?)

死んだ彼らには、声さえありません。
アメリカ軍は病院を破壊し、彼らは居たことさえ隠されてしまいました。
彼らの代わりに声を上げ、彼らの悲しみをこそ、誰かが代わって語らなければなりません。
電気も来ない砂漠の病院の、麻酔薬も尽きた手術室で、
生き残った彼らの、無くなった腕を、つながなければなりません。
これらの『写真』が悲しいのなら、その悲しみの社会的構造を理解する年齢に達した後には、それらの写真に接した一人一人に、その後どう行動するかの責任は生じるのです。

経済(巨大な儲け話)で押してくる一群に抗するには、こちらも、マスとしての圧力を、しかも、彼らを押し返すだけの力を、持たねばなりません。そのため一致点を強調するのは、必要な事ではないかとは、思っています。戦争をしないことの儲けより、戦争の儲けの方が大きい。軍需産業が国家を買収して戦争してもらおうとするとき、平和を望む人々の抵抗が、利権なく国家を動かせるかという困難を、闘うんですから。

あれを見て辛くない人がいるでしょうか?(戦争をする方の人間は、もしかしたらホントに辛くないのかもしれませんが。)あれを見て、何も言わず、何もしなければ、自分が人間じゃなくなってしまいそうです。行動する以外の、個人的な感情を開放をする機会は、ネットや、いろいろな場で、持とうと思えば、持てます。意外に、個人的な感情と思っていたのが、他の方にもつながるものだったと言う事を、知ったりしますが。
実際に、抗議デモに参加される方のいろいろな面白い参加のなされ方を見ましたし、個人が抑圧される事はありませんでした。

引用された「彼女」のお話は、心身症ですね。たとえば、上司にとっちめられたら、胃が痛い、というやつです。受けた感情を整理・言語理解できないため、身体症状として出してしまうこと、とされます。客体化して理解できるようになると、合理的判断を出せるようになり、自分の受けた感情についても客観的に見られるようになります。その結果、脳がストレスと感じることについて、間違って身体に命令を出してしまうことがなくなり、身体症状は消えるといわれています。愛娘さんの体験に照らせば、主人公の惨い死は、隣の友達がけがをして病院でなくなるのとは全く違い、戦争の被爆者として死んだこと。自分の日常からは考えられないような沢山の家が燃えたのは、火事じゃなくて爆弾による空襲だということ、日本がアメリカと戦争して、負けかかっている時のことだということ、そのような背景を理解していかねば、確かにただのショッキング話でしかありません。そのような事をすっとばして、直接『感性』に訴えるのは、幼い子供の特権でもあるのですが、それだけで終わると、あなたの言う個人の救済にはつながらない。そのときには無理でも、徐々に理解できるように、時間をかけて教えていってあげて下さいな。あなたには、そうしてあげられるはずです。自己と外界の区別が明確でないのも小児の特徴ですし、幾ら恐い話でも、徐々にそれらの事は、自分の外の世界で何十年か前に起こった事なのだ、という感覚を持てるようになると思います。それが不明瞭な状態をさして、「個人が引き受ける」と言っているような気がします。客観的な理解は、段々できるようになるでしょうから、大丈夫。すでに起こってしまったことも、ただ、辛かった、で終わってしまったのでは、納得できないでしょう。その答えが都会さんにとっては『透明な悲しみ』なんでしょうが、心理を弄くりまわしてよい結果がえられるとは、私には思えません。自分の外で起こった事から自分が得た苦しみなら、その“外にあるもの”とは何だったのか、自分の外にあるものなのだから、本を読んだり、更に体験したりして学ばなければ、知りえないはずです。自分だけを観察して分ることじゃない。心理を弄ぶうちは、自分に厳しくしているつもりでも、知らず知らず苦痛の少ない方に、動いていきます(一般化していいか分りませんが、わたしはそうでした)。その結果が、『透明な悲しみ』なんじゃ、ないですか?
それに、自分が何かに怒っているとき、あ、悲しいから怒っているんだ、と思う事って、よくありませんか?人を見ててもよく分ることだし、しょっちゅうあるんだから、怒りが悲しみの別の表現だなんて、よくあることです。心理の問題より、分断された個人が共通する体験をもとに、他者と関れることが大事なような。彼女が苦しんだことを認めないのではありませんが、そこから何を、ほんとうに理解するか、がその人を前に向かわせるのではないしょうか。体験を体験で終わらせず、自分の心理に閉じこもるよりは知識を求めて、体験を対象化する手助けを。見てくれている人が傍にいてくれるとその子が感じられれば、時間がたてば、立ち向かっていけるように、だんだんなられると思いますよ。そのとき、あなたのお子さんなら、ハートのない理解の仕方はしないでしょう。
自分の子供を守れなかったと、あなたは自分を責めているのですか?それで、分っているけど、このような、素直じゃない物言いをされるのですか?一つの価値観が絶対視されると、それに押しつぶされる者がいても誰もそれを省みない、あたかも、全体主義に染まったようだ、ということでしょうか。娘さんの様子に耐えられなかったということでしょうか?我が子の思いを、誰も代弁してくれないことに怒る自分を鎮めたいのですか?この子に不必要な痛みを与えてしまったと、どこかで罪の意識に駆られているのですか?このような投稿をすることで自分と子供をケアしようとしているのでしょうか。
いたずらに苦痛を与えたと、思わないで下さい。だって、あなたが隠しても、いつかは、娘さんは知るでしょう?事実なんですもん。強い印象を持たれたんでしょうが、思いが強ければそれだけ、子供さんが前へ進む力になると思います。ていうか、前に進む力にしてあげて下さい。その、力を娘さんは秘めていると、思うんですが。今は解らなくても、お子さんも、時間をかけて、理解してゆかれるはずです。お父さんも、今の憤慨に立ち止まらず、先を見てください。大丈夫ですよ。また、全体の利益より、一人の苦しさを助けたいと思った先生に、あなたが、心理的に近い思いを抱いただろうことは、予想できますが、誰に向けたらいいか分らない怒り(?)を、その先生のように学校側に向けるのも、ピント外れなような。

人の痛みを分かれと言いながら、人を傷つけて平気なのは欺瞞だ、と言っておられるんでしょうが、その写真を掲げる事で、目が覚める人が多いことも、あなたの子供さんと同様、おろそかにできません。小さい子供に見せる時には、その写真の背後の意味を語ってやる大人が、子供と世界の仲立ちとして、必要ではないか。たとえば、体験者の語り聞かせなど。戦争体験者が自分の言葉で幼い子供らに語って聞かせるのを、小さい子ほど、ストレートに悲しんだり、びっくりしたり、引き込まれて、覚えてくれるでしょう。そういう導き手がその場にいてくれたら、娘さんも不幸な出会い方はせずに済んだのではないか。ですから、今回の事だけをもって、平均的多数に利益となる論理のために、そこからはみ出したものが踏みにじられる構造を平和教育が内在すると結論することも、的を得た判断であるように思えません。
写真は強い力を持っていますから、それを受け止めるだけの何かを、こちらも持っていなければならないのでしょう。直接的な視覚から入っても、共振するだけでなく、幾ばくかは理解しなけばならない。そのためには、ある程度の批判的精神と、知識が要るでしょう。それには大人の介助がいるでしょう。逆に、あまり(精神的に)小さいお子様に、無理強いすることもない、という、ごく一般的な理解も、してみてください。

パレスチナーイスラエル問題における暴力の連鎖、という言われ方でも、度々問題になっていますが、アレは、連鎖ではない。殺された側が、殺した側に報復する事を、連鎖と一括りにすることで、問題のすり替えを行なっていると言う主張に、わたしは人間性を見ます。イスラエルに言うのと同等にパレスティナ人に反撃を止めよというのが解決法だという主張に、正義は宿らない、と思います。パレスティナは被害者です。彼らに怒るのをやめよというのは、人間であろうとするのを止めよというのと同じくらいひどいことです。そのように追い詰められている人々に、怒るなと、私はよう言いません。原因がどちら側にあるかは、はっきりしていて、イスラエルが占領・殺人を止めればパレスチナの自爆もなくなるはずのものです。
このような、理不尽な抹殺からの抗議、怒りの声を、連鎖だ、断たねばならない、と否定する評価を第三者が下すのは、いかがなものか。
こうもいえる。圧倒的に強大な軍事力で相手を侵略し、占領・虐殺・収奪を行なう暴力を前にして、これと、これに殺される側の一群の抗議としての暴力とを同一視する理不尽の大きさは、良かれと思って行なわれた授業で個人が受けた、しかも、生命にかかわらない理不尽さの比ではない。
正当な怒りは、むしろ持ち続けなければならない。しんどくても。モチベイションとしての怒りは必要ではないか。祈るほかにも、やれる事をしましょうよ。そして、殺される彼らが怒りの声を上げている間に、その声に答えなければならない、と思う。声が聞こえなくなったとき、彼らが一人残らず消された後だった、ということになって良いものか。彼らの姿は、明日の我が身。彼らの声をちゃんと聞き取りましょうよ。そうでなければ、相手は図に乗って、こちらはそれこそ、虫けらのように扱われてしまう。祈る人を、彼らは、殺しますよ。戦争をする側とは、そのようなものだと、私は感じています。

血が流れるから、残酷なんでしょうか。また、文章ならどうなんでしょうか。見た目の残酷さの基準なんて、人によって違うようにも思われます。
人間が人間として扱われなかった結果が、異様な程、これらの写真を残酷にしていると思います。
______
もうチョット整理して、取り違えを直してから出そうと思ってたんですが、えらい上でもめてる様子をみて、心拍数150ぐらいになってますから、これ以上、頭がまわりません。取り急ぎ。

あくまで、自分の分る範囲ですので、お子さんのことを、わたしがとらえられているか、自信はありません。

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