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(回答先: 国旗国家法案後、よくも悪くも君が代のイメージが変わった 投稿者 たかす 日時 2005 年 7 月 03 日 13:03:36)
筒井康隆 玄笑地帯より抜粋 p11〜p14
(前略)
「裏声で歌へ君が代」という小説のタイトルを見た時はなるほどなあと思ったものだ。
「君が代」という曲は男性にとっては裏声でなければ歌えぬ部分を持っている。
「チヨニヤチヨニ」の「ヤ」、「サザレイシノ」の「イ」と「ノ」、「コケノムスマデ」の「ノ」と「ム」の後半である。
レから始まる曲だがこれらはいずれも一オクターブ上のレ、声が低いと出ない高音だ。
長調の曲でありながら裏声が混じるとなんとなくマイナーな感じになる。
悲壮感、などと言う人もいて、そう言えば聞こえがいいが、実際にはいともなさけない感じになる。
殊に大の男が大勢で裏声を混じえ、この曲を歌っているのを聞くと「わたしたち皆、日本人。侘しいですね。なさけないですね。こんなに大勢集まって、いやらしいですね。嫌われるのも無理ないですね。でも、しかたがないですね。日本人に生まれてしまったんですからね。淋しいけど、せいぜいみんな、べたべたとくっつきあって、なま暖かく、仲良くねちねちやりましょうね。ああ悲しい悲しい」と言っているように聞こえるのである。
ははあ、あの感じをタイトルにしたのだなと思いながら読みはじめた。
いったんそうに違いないと思いこむとそれ以外あり得ないと断じてしまうのが血液型B型の欠点。
裏声のことがどこで出てくるのか、今出てくるか次に出てくるかと期待しながら読み進めていったがなかなか出てこない。
最後まで読んだがついに最後まで出てこない。
小説そのものは面白かったがこれは書評ではないからその面白ささについては省略する。
しかしながらその面白さもこちらが勝手にこうであろうと予想したものが出てこないとどうしても物足りない。
それどころかもっと悪いことには、自分の予想した面白さにこだわるあまりその小説の本来の面白さ、こちらの予想した以外の面白さをある程度以上理解できなくなってしまうのである。
考えてみれば、そのために、せっかく読んでおきながら本来の面白さを見逃した小説が如何に多いことであろう。
小説に限らず映画や芝居だってそうである。
しかし読み終わった直後というものは、あいにくそうは思わない。
おっかしいなあ。すると著者丸谷才一はあの何ともいえずなさけないタイトルを意図したのではなかったのかなあ。
タイトルの解釈違いかなあ。 おっかしいなあ。
と、まあ、この辺が些末事にこだわる血液型B型。
良いところでもあるし欠点でもある。
今度会った時丸谷さんに教えてもらうことにしよう。
そして些末事に対するこだわりということについては、来月書くことにしよう。