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(回答先: 村上ファンド、TBSもすでに約3割買占めか 『情報紙ストレイ・ドッグ』 投稿者 World Watcher 日時 2005 年 10 月 13 日 09:07:39)
2005年9月11日に行われた総選挙での小泉自民党の圧勝を一番喜んだのは、アメリカ・ブッシュ大統領でしょう。
ブッシュ大統領は早速「小泉首相の圧倒的な勝利」に祝意を表する声明を発表し、「小泉首相は大胆な指導者であり、よい友人だ。両国間の緊密なパートナーシップが継続するよう期待する」と述べています。
郵政民営化をはじめとする小泉政権の掲げる構造改革は、アメリカが一貫して日本に要求してきたものです。小泉政権は、外交政策だけでなく、内政においてもアメリカの言いなりなのです。
それを端的に示しているのが、アメリカ政府が毎年10月に日本政府に突きつけてくる『日本政府への米国政府の年次改革要望書』です。日本の産業の分野ごとに、アメリカ政府の日本政府に対する規制緩和や構造改革などの要求事項がびっしりと書き並べられた文書で、これを読めば数年後の日本を正確に予測できると言われている代物です。
この『要望書』は、バックナンバーを含めて在日アメリカ大使館のホームページで公表されており、アメリカ政府は『要望書』の内容がどれだけ実現したのかを「成果」として毎年連邦議会で報告しています。
露骨な内政干渉とも言える内容を、アメリカは日本に公文書で堂々と要求しています。問題は、日本の国益を易々と明け渡している日本政府、政治家や官僚たちです。『拒否できない日本』は驚くべきその実態を暴露しています。
1994年以降毎年出されてきた『要望書』の中で、アメリカ側が日本に要求してきたもののうち、既に法改正や制度改正が行われた主なものは、「持ち株会社解禁」「NTT分離・分割」、「金融監督庁設置」、「時価会計」、「大規模小売店舗法の廃止」、「確定拠出年金制度」、「法科大学院」などで、いずれもアメリカ企業の日本市場への参入条件を有利にするためのものです。
著者の関岡氏は、銀行マンを経て建築家への道を志す過程で、建築基準法の改正問題をきっかけに、アメリカの日本改造計画を知ることになるのです。
「建築基準法の改正は、実は阪神・淡路大震災が起きるはるか以前から決まっていたことなのである」。
「阪神・淡路大震災からさかのぼること六年前の一九八九年五月、アメリカは悪名高い通商法スーパー三〇一条を日本に対して発動した。このときスーパーコンピューター、人工衛星とならんで標的にされた三品目のひとつが木材、つまり建築材料だったのだ」。
「木材についてアメリカは、日本の建築基準法や製品規格などがアメリカ製木材の輸入を妨害していると非難した。このとき日本政府は、建築基準法は度重なる災害の教訓から日本の稿密な国土の状況に即して定められているのだから緩和する意思はないと抵抗したが、アメリカは一方的な制裁をほのめかせて圧力をかけ続けた」。
こうした圧力に屈して、ついに日本政府は、在米日本大使館の村田大使の名前でアメリカ通商代表部のカーラ・ヒルズ代表宛に「木材製品に関連して日本政府が講じる措置」という書簡を出して、「建築基準は原則として性能規定とすることが好ましい」とアメリカの要求を受け容れたのです。
建築家を志していた関岡氏は、次のように述懐しています。
「私はこれを知ったとき大変驚いた。『仕様規定』から『性能規定』への変更を主眼とする建築基準法の改正は、建築審議会が答申書で法改正を提言する七年も前に、日米両国の政府間ですでに合意されていたのだ」。
「もしマス・メディアに公表されないまま、こうした政府間合意がなされ、あらかじめ決められたシナリオにそって審議会の答申がつくられ、阪神・淡路大震災のどさくさに紛れて法改正までしてしまったことが事実とすれば、これは驚くべきことではないか。審議会の検討作業や国会での審議はいっさい茶番ということになりかねない。あきらかにこれはアメリカからの内政干渉だ。しかもそれが日本の審議会制度などを利用して構造的に行われていることになる」。
本書の中では、建築基準法の改正にとどまらず、ありとあらゆる分野に関してアメリカが日本を構造改革しようとしてきたこと、そして今後もそれが続けられようとしていることが詳細に暴露されています。
総選挙の最大の争点となった郵政民営化についても、1996年からアメリカ政府は一貫して日本政府に要求してきました。96年には、「郵政省のような政府機関が、民間保険会社と直接競合する保険業務に関わることを禁止」することを要請。99年には、 「民間保険会社が提供している商品と競合する簡易保険(簡保)を含む政府及び準公共保険制度を拡大する考えをすべて中止し、現存の制度を削減または廃止すべきかどうかを検討することを強く求める」と述べたのです。
昨年には、「米国政府は日本政府に以下の方策を取るように強く求める」として、「郵便保険と郵便貯金事業に、民間企業と同様の法律、規制、納税条件、責任準備金条件、基準及び規制監督を適用すること」、「新規の郵便保険と郵便貯金が、その市場支配力を行使して競争を歪曲することが無いよう保証するため、独占禁止法の厳格な施行を含む適切な措置を実施する」ことなどを求めています。
郵貯・簡保に眠る350兆円近い莫大な資金を吐き出させ、これを外資が食い荒らすための布石を着々と要求してきているのです。
小泉内閣の3年間の間に、邦銀の90%、製造業の70%、そして東京のホテルのほとんどが米国資本傘下となったと言われています。
小泉内閣発足の際、経済財政政策・金融担当特命大臣として民間から大抜擢された竹中平蔵氏は、ブッシュ政権第1期の大統領経済諮問委員会委員長のロバート・ハバード氏とハーバード大留学中からの親友で、アメリカ財務省ジョン・テーラー財務次官とも親しいのです。
さらに竹中氏は、1980年代に邦銀が世界ランキング1位から10位を独占したとき、邦銀つぶし戦略を国際経済研究所のフレッド・バークステン所長と共に研究し、ゴールドマン・サックス等の多くのアメリカ系大手証券会社の経営幹部とのパイプも太いわけです。
「日本の財務省はアメリカの財務1課だ」と揶揄されますが、小泉政権はアメリカ政府の言うがままに日本社会の構造改革をなそうとしているのです。
今回の総選挙では、片山さつき氏をはじめ財務省の官僚が3名も新人として立候補し、いずれも当選しました。
小泉首相は、郵政族や道路族の族議員を批判しながら、自らは旧大蔵省の族議員、金融族です。そしてこの金融族こそが、外交的には最も対米従属派であり、旧橋本派に象徴される郵政族や道路族は、田中角栄以来のアジア外交重視のスタンスをとってきたわけです。
今や外務省内でも、チャイナ・スクールやロシア・スクール、ジャーマン・スクールは一掃され、アメリカ・スクールのみになったといわれます。日本の財務省がアメリカの財務1課となったと同様に、外務省はアメリカ国務省の1部局になっているのです。
小泉首相は、世界最大の軍事力と経済力を持つアメリカの言いなりになっていれば、いざとなったらアメリカは日本を守ってくれる、庇護してくれると考えているのかもしれませんが、とんでもない幻想です。
巨大ハリケーン・カトリーナから自国の州に住む国民すら守らないブッシュ政権が、「51番目の州」=日本を守ることなどあり得ないのです。
アメリカの要求を拒否できず、アメリカのいいように日本が改造されていくのを指をくわえて黙って見ているだけでいいのでしょうか?
関岡氏が「あとがき」で述べている警告を、真剣に受け止めなければならないと思います。
「いまの日本はどこかが異常である。自分たちの国をどうするか、自分の頭で自律的に考えようとする意欲を衰えさせる病がどこかで深く潜行している」。
http://www.ihope.jp/denial.htm