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(回答先: 佐藤優『国家の罠』、選外の『本当の理由』は!? [東京アウトローズ] 投稿者 white 日時 2005 年 9 月 28 日 17:21:34)
□『国家の罠』に評価真っ二つ [読売新聞]
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20050922bk09.htm
『国家の罠』に評価真っ二つ
第4回新潮ドキュメント賞の選評には、絶賛の評が並んだ。「不屈の精神に感動した」(藤原正彦)、「抜群に面白い手記」(柳田邦男)、「満点の5をつけた」(柳美里)。受賞作の中川一徳著『メディアの支配者』(講談社)への賛辞ではない。次点に終わった佐藤優著『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)への選評で、「新潮45」の10月号に掲載されている。
佐藤氏は“ムネオ疑惑”に絡み、背任などの容疑で逮捕された外務省の元分析官。拘置所に512日拘置され、1審で懲役2年6月、執行猶予4年の判決(控訴中)を受けている。本書では逮捕までの経過、捜査の内幕を克明につづり、「これは国策捜査だ」という。知られざる外交の裏舞台も実名で描き、柳田氏は「出版の意義は大きい」と評価している。
にもかかわらず、落ちた。8月29日の記者会見や選評によると、5人の委員のうち1人が「もし『国家の罠』が受賞したら、委員に名をつらねたくない」などと強硬に反対、異例の0点をつけたためという。選考委員の櫻井よしこ氏は、選評で「日露関係の基本から現状まで、肝心の事実関係をとりまちがえてきたのは何故か」と疑問を呈し、バッサリ切っている。
だが、どこがどう具体的に間違っているのか、肝心な点は明らかにしていない。選考会で事実の誤りが認定されたわけでもない。この作品を最優秀とした藤原氏は「純然たる誤りなのか価値観の相違なのか今もってよく分からない」としている。なんとも、すっきりしない結論である。
賞を運営するのも、〈「鈴木宗男事件」の真実を明らかにする〉とのコピーを本の帯につける「国家の罠」の出版元も新潮社である。間違いがあったのか、なかったのかは、著者のみならず、版元の名誉にもかかわる。新潮社は調査のうえ、結果を明らかにすべきではないか。
「詰まるところ、政治的立場の相違、事実認識の相違に過ぎないのではないか」(柳氏)との意見もあり、白黒をつけるのは難しいかもしれない。そうであるとしても、どの点が事実誤認と指摘されたかは公表すべきだろう。曖昧(あいまい)にしたままでは、事実に迫るドキュメントの賞の名前が泣く。
『国家の罠』は講談社ノンフィクション賞でも選からもれ、『メディアの支配者』が2冠を達成した。
佐藤優氏は「見たこと聞いたことをできるだけ正確に書いた。事実誤認と言われても、具体的な指摘がなければ、何とも言いようがない」と困惑している。(鵜飼哲夫)
(2005年9月22日読売新聞)