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(回答先: 中国の為替政策、相場操縦とみなすのは難しい=IMF高官 [ロイター] 投稿者 あっしら 日時 2005 年 10 月 05 日 14:14:51)
10月5日(ブルームバーグ):数年間に及ぶ疎外と内省の末、国際通貨基金(IMF)は自分のスタイルを見いだしつつあるようだ。
これは米財務省との応酬の結果かもしれない。ここで言いたいのは、大幅な財政支出と巨額の減税には何のトレードオフ(二律背反性)もないというブッシュ政権の信条についてではない。中国の為替政策に関することだ。米財務省当局者らは、中国は為替を操作しているとの自分たちの主張にIMFからの支持を取り付けたい意向だ。米国は為替相場を操作する国との定義を中国に正式に与えていないのに、奇妙な話だ。IMFのラト専務理事は米国が仕向ける汚い仕事には加担しようとしない。あっぱれだ。
ラト専務理事は今週、米紙ワシントン・ポストに対し、人為的に通貨を低水準に維持し続けることを規制するIMFの規則に、中国が抵触した「証拠は見られない」と語った。これは、ティム・アダムズ米財務次官の数日前のコメントに対応したものだ。同次官は為替市場の監視という職務に関して、IMFは「居眠りをしている」と非難した。中国を名指ししなかったものの、人民元相場を低位に抑制し、不公正に優位に立っていると米議員たちが指摘している国について言及したものだと察するのは容易だ。
誠実な仲介者
IMFが冷遇された時期は数年にわたる。発端は乱暴だった1997年のアジア金融危機への対応で、次いで2001年のアルゼンチンの1000億ドル規模のデフォルト(債務不履行)に先立って行った無駄な努力。その後、世界経済は落ち着き、発展途上国は資本市場での借り入れを拡大、IMFは存在意義を大きく問われた。
IMFが再び自らを主張するなら今だ。ブッシュ政権最初の財務長官ポール・オニール氏が好んで世界の金融システムの「誠実な仲介者」と呼ぶ存在の必要性が高まったことは少ない。オニール前長官は2002年12月、政府の減税は財政赤字を拡大させかねないとの考えから消極的な姿勢を示し、ブッシュ政権を去った。オニール前長官はブッシュ大統領の政策に反対する勇気を持っていた。それ以降、オニール前長官の後任、スノー財務長官の下で、米財務省の影響力は国内的にも国際的にも衰えてきている。同省は健全な政策よりも、経済的教義にとらわれている。
米国のアジア政策は中国を途上国と呼びながら、同国の通貨を高めに誘導することで、豊かな米国の既に競争力を失った産業を保護するというものだ。まるで米国の指導者は自国の経済不均衡がとてつもない規模まで拡大しており、アジア諸国に対して市場開放を求め、為替相場は市場に任せるべきだなどと教えを垂れるような立場にはないことに気づいていないかのようだ。
IMFの復権
IMFの復権は有益だろう。ラト専務理事は、依然として不透明感が漂うとみているアジア地域で、すでにその素地を築きつつある。IMFがより米国からの独立性を高めていることが分かれば、誠実な仲介者としてのアジアでの力は強まるだろう。政治家が火の粉をかぶらないように、問題を他者に転嫁しようと躍起になっている状況では、IMFが世界に向けてメッセージを発する必要がある。
世界中の責任転嫁の動きはどうしても目立ってしまう。過去最大の経常・財政赤字を抱える米国は中国を指差し、中国が通貨を切り上げさえすれば、再びすべてがうまくいくという。弱い需要と財政状況の悪化に見舞われている欧州は、アジアの中銀に責任ありとする。アジアの中銀による大規模なドル買いが、ユーロ圏12カ国から必要な外資を奪っていると指摘する。欧州はまた、ブッシュ政権は米経済がすべてうまくいっているふりをしていると非難する。
アジアはすべて欧米に責任があるとし、アジアに米国の生活習慣を維持するための資金提供を強いるシステムを形成していると非難。アジア人は、大量の資金を米国債に投資しなければならないのは、米国政治の失敗だと指摘する。そしてIMFは、アジア諸国の外貨準備の増加が同地域でのIMFの影響力低下につながると非難するかもしれない。こうしたことは、結果的に危険な否定のパターンにつながる。放置すれば、不均衡は拡大し、危険度は増すだけだ。政府を監視して問題点を指摘し、IMFが重要な役割を果たすのはまさにそこだ。
残念だが、主要7カ国(G7)は大して役に立たない。誠実な仲介者のみがその職務を担当できるのであり、良くも悪しくもわれわれにはIMFしかない。明るいニュースは、1990年代後半とは異なり、IMFはもはや単なる米国の子分ではないということだ。ラト専務理事が、中国の為替政策に関して米国とたもとを分かつ姿勢を直ちに明確にしたことからもそれがうかがえる。IMFは結局、中国に対し通貨元により高い柔軟性を求めるとの姿勢をとり続けている。
IMFへは多くの批判が可能だろうが、とりわけ世界最大の経済大国に対し不均衡是正の働き掛けが鈍い点だ。最近の動きは、IMFがそうした問題に本腰を上げつつある証拠だと期待しようではないか。(ウィリアム・ペセック・ジュニア)
(ウィリアム・ペセック・ジュニア氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:IMF Rebuffs U.S. Treasury on China -- Bravo!: William Pesek Jr. (抜粋) {NXTW NSN INUQV0076GHT 更新日時 : 2005/10/05 15:14 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html