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(回答先: <東京債券市場>日銀審議委員の講演での発言受け続落 また始まった財務省日銀の金利高増税路線で景気は腰折れ 投稿者 TORA 日時 2005 年 9 月 29 日 15:01:34)
2005年 09月 29日 木曜日 17:23 JST
[大阪 29日 ロイター] 福井日銀総裁は、大阪で経済4団体共催の懇談会に出席し、年末にかけて消費者物価指数がプラスに転じていく可能性が高いとしたうえで、プラス転化後も基調的に上昇率が高まっていく方向にある、と述べた。また、量的緩和解除については、2006年度にかけて、その可能性が高まってくるとの見方を示した。
<CPI上昇率は基調的に高まる方向>
福井総裁は、コアCPIの先行きについて、「米価格の下落や電気・電話料金引き下げといった特殊要因の影響が順次はげ落ちていく段階にあり、年末にかけてプラスに転じていく可能性が高いと判断している」と述べた。また、プラスに転じた後についても、「潜在成長率を若干上回る成長が続くとみており、その下では需給ギャップは着実に縮小する。賃金面からも物価上昇圧力が高まる方向にあることなどを踏まえると、基調として、消費者物価の前年比上昇率は高まっていく方向にあると判断している」と述べた。
<物価上がりにくい状況なら、緩和解除後も緩和的な金融環境維持>
福井総裁は、「物価安定の下で持続的な成長を実現するため、今、極めて異例の措置として量的緩和政策を継続している」と説明した。また、この政策は、潤沢な流動性を金融市場に供給する「量」と、これを消費者物価指数の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続する「約束」の2つの柱から構成されていると解説。ただ、金融システム不安が大きく後退した現状では、「量的緩和政策の持つ意味は、次第にゼロ金利政策そのものに近付いてきている」とした。
当面の金融政策運営については、「消費者物価指数の前年比がなおマイナスで推移しているもとで、約束に沿って量的緩和政策を堅持していく方針」をあらためて表明した。
日銀は、2003年10月に量的緩和解除の3条件を提示した。この条件について、福井総裁は、第1と第2の条件は、「必要条件であり、これが満たされるまでは続けるという堅固な約束。と同時に、必要条件ではあるが十分条件ではなく、これ満たされたら機械的に量的緩和の枠組みを解除するというものではない点も重要であり、当然のことだがそのことも明示した」と説明。量的緩和政策の解除に当っては、「これらの考え方に沿って経済・物価情勢を総点検し、消費者物価指数の前年比が安定的にゼロ%以上になったといえるかどうか、言い換えれば、約束で示した条件が全体として満たされたかどうかを確認していくことになる」と語った。
量的緩和政策解除の時期については、「もとより今後の経済・物価情勢次第だ。予断を持って臨むべき性格のものではない」としながらも、「先ほど述べたような標準的な経済・物価見通しを前提にすると、2006年度にかけて、その可能性が次第に高まっていくと考えている」との見方を示した。
量的緩和解除の際には、「日々の金融調節における操作目標を日銀当座預金残高から短期の市場金利に戻すことになる」と言明。そのうえで、「量的緩和政策が実態としてゼロ金利に近付いていることを考えると、政策枠組みの変更はそれ自体で、金融政策が不連続に変化することを意味するものではない。量的緩和政策から通常の金利政策に戻るという意味では、姿形はそこで大きく変わるが、実態的には金融政策は連続線上のものとして、新しい枠組みにシフトできる」との認識を示した。
さらに、その姿金融政策の姿については、「先行きの経済・物価情勢により左右されるが、経済がバランスのとれた持続的な成長過程をたどる中にあって、物価が反応しにくい状況が続いていくのであれば、引き続き緩和的な金融環境が維持されていく、そうした政策を行っていくことが可能になる」と語った。
<景気は緩やかながら息の長い回復>
福井総裁は、今回の景気回復について、「テンポは緩やかでなかなか実感を伴いにくいが、持続性は高い。当面、国内要因から後退局面に戻ってくる可能性は小さいように思う」と分析し、「企業収益の好調さが次第に家計所得の面に波及し、それが個人消費の増加を通じて企業部門へフィードバックしてくるという前向きの相互作用がしっかりと働いている」と評価した。
踊り場を脱した後の景気の先行きについても、「緩やかながら、息の長い景気回復を続けていく」との見通しを示した。
ただ、リスク要因として、「高騰を続ける原油価格やそのもとでの米国など海外経済の動きには今後さらに注意が必要だと思う」と指摘した。
原油価格上昇に関しては、「非産油国の実質購買力の低下を通じて、世界経済の減速につながる」とのリスクを指摘。その一方で、「世界経済は、これまでのところその割に順調な拡大を続けていることも事実。原油価格が高騰して、世界経済の減速というリスクは表面化していない」とした。その理由として、1)今回の高騰は、高成長を続けるエマージング諸国などの需要増が主たる原因であり、供給面の制約から生じている訳ではないこと、2)もともと原油価格上昇は、非産油国の交易条件の悪化を通じて産油国に所得移転を生じさせ、これらの国で購買力増加につながることを挙げ、「70年代の石油ショックとは事情が違う」と指摘した。
さらに重要なこととして、「原油高が全般的な消費者物価の上昇やインフレ心理の台頭につながっていない。日本だけでなく、広くおしなべて、金融政策面で急速な引き締めが行われていない」という点も挙げた。
総裁は、「物価が安定し、緩和的な金融政策が維持されるもとで、長期金利は世界的に低位安定している。この低金利環境が世界経済の成長の基礎となっており、例えば米国経済では、低いモーゲージ金利が住宅価格の上昇につながり、これが家計部門の支出を支える姿になっている。それが少し行き過ぎていないかと心配されるほど、その姿が現出している」と語った。
ただ、総裁は、「今後原油価格がさらに上がったり、高止まりした場合に、インフレ心理の台頭や急速な金融引き締め、ひいては世界経済の減速につながることはないかを、引き続き、注意深く見ていく必要がある」とした。
<長期金利不安定要因は財政赤字と人々のインフレ懸念>
長期金利の安定を求める出席者からの声に対し、総裁は、「短期金利から長期金利にいたるまで、できる限り、経済・物価の情勢に沿った、誰が見ても自然な形成という形がいつも実現していることが望ましい」と述べた。
そのうえで、長期金利の安定に関し、「日本の財政は大幅な赤字であり、かつ大量の国債発行残高を抱えている。これは、長期金利を今後長きにわたって安定させていく場合に、非常に大きな障害になりかねない種を持っていることは、国民が強く認識しておいて欲しい。この部分は金融政策では制御しきれない」とし、「財政政策について、常に規律がしっかりしている。今後は、規律が強められていくことが市場において認識され続けていくことが重要な条件」と指摘した。
長期金利を不安定化させる要因として、人々のインフレ懸念も挙げた。総裁は、「できる限り滑らかな、なだらかな、安定的な、不連続線にならないような金融政策をやっていくが、その場合、常に先行きのリスクを先取りしながら、きちんと金融政策で対応し、インフレ懸念を持たないように先手を打ちながらやっていく」と語った。
不動産価格が一部バブル的になっているとの指摘に対しては、「過去の経験、かつ今、異例に長期にわたり深度の深い緩和政策を続けており、将来にわたるリスクとして強く認識している。過去の経験は2度と繰り返さないように、きちんと押さえているつもりであり、今後も一層注意を払う」と述べた。
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