★阿修羅♪ > 国家破産41 > 636.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
(回答先: 人民元の衝撃(中) 再切り上げ 期待と不安 [読売新聞] 投稿者 あっしら 日時 2005 年 7 月 25 日 14:36:21)
貿易不均衡是正 即効力は期待薄
◆第一歩
「たとえ赤ん坊の歩みのようでも、とにかく歓迎すべき第一歩だ」。対中強硬派の代表格とされるチャールズ・シューマー上院議員(民主党)は21日、中国が人民元切り上げを決めた直後、緊急会見し、高らかに“勝利宣言”した。
中国製品の輸出攻勢にさらされている繊維業界など米産業界は、「人民元の不当な為替操作による中国に、国内市場を奪われた」と訴え続け、保護主義ムードが高まっている。
来秋に中間選挙を控えた米議会では、議員たちが選挙対策を意識して、中国製品への報復関税法案を相次いで提案し、対中圧力を強めていた。
それだけに、アメリカ側からすれば、圧力に屈したような中国の決断は待ちに待ったものだった。
◆酔えない“勝利”
議会と同様に対中圧力を強めていたブッシュ米大統領やスノー財務長官らも人民元切り上げを歓迎し、とりあえず安堵(あんど)している。
米財務省は今年5月、中国に対し、10月までに人民元の切り上げまたは為替変動幅を拡大する改革を行わなければ、「為替操作国」に認定し、正式な2国間協議に入ると警告した。
中国の決断がずれ込み、米政府内ではいらだちが目立ち始めていたが、10月までの猶予期間を大幅に残しての人民元の切り上げは、大統領らの面目も施したに違いない。
しかし、米政府、議会、産業界の心中は複雑だ。“勝利”に酔ってはいられない雰囲気と言える。
中国がようやく決断したものの、人民元の切り上げ幅が2%と、「望んでいたよりずっと小幅だった」(シューマー議員)からだ。
昨年1年間の米貿易赤字は過去最大の6177億ドル(約69兆円)で、このうち対中赤字は1620億ドル(約18兆円)と4分の1以上を占める。今年の対中赤字は、昨年を30%以上も上回るハイペースで膨らみ続けている。
◆焼け石に水
米政府は、米中貿易不均衡を是正するため、中国政府に最低10%の人民元切り上げを水面下で求めていたとされる。
2%の切り上げでは「焼け石に水」(米繊維業界)で、不均衡是正の即効力は期待薄だ。
全米製造業者協会(NAM)のジョン・イングラー理事長は、「中国は米政府が期限としてきた10月までに、貿易不均衡の是正につながる十分な追加切り上げをすべきだ」と主張する。
そもそも米貿易赤字の解決に、人民元切り上げが果たす効果は極めて限定的との見方もある。
その代表的な論客が、米連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長で、「中国からの輸入が減っても代わりの地域が出てくるだけで、米国内の雇用増には結びつかない」と冷静に分析している。
◆続く対中要求
人民元の追加切り上げの動きが滞ったり、貿易面で切り上げ効果が見えてこないと、米産業界の不満が再燃し、再び対中強硬論が高まるのは必至だろう。
これまで人民元改革の陰に隠れていた問題も表面化してきた。
対中制裁法案を提案したフィル・イングリッシュ下院議員(共和党)は、人民元切り上げにもかかわらず、「予定通り今月中の法案採決を目指す」と強硬で、「中国の知的財産権の侵害や市場の参入制限も容認できない」と言い切る。
経済大国になりつつある中国への要求は続くはずだ。かつての日米貿易摩擦に取って代わった米中摩擦の行方は予断を許さない。(ワシントン 広瀬英治)
米中貿易・人民元を巡るアメリカの動き
4月29日・中国を知的財産権侵害の「優先監視国」に指定
5月10日・米議会上下両院で人民元改革求める法案提出
17日・中国に「10月までに人民元改革を」と警告
19日・財務長官が人民元改革を促す中国特使を任命
23日・中国繊維3品目に緊急輸入制限を発動
27日・対中繊維輸入制限の対象を4品目追加
6月16日・繊維問題で米中2国間協議を開始
30日・下院が中国海洋石油のユノカル買収差し止め可決
7月11日・商務長官、通商代表が訪中し、貿易協議
14日・下院で対中経済制裁法案の提出相次ぐ
21日・人民元切り上げで、政府などが歓迎を表明
22日・大統領が知的財産権保護の「執行調整官」新設
(2005年7月25日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/88/jinmingen003.htm