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(回答先: 人民元の衝撃(上) 中国 初日から介入 「穏やか変動」へ決意 [読売新聞] 投稿者 あっしら 日時 2005 年 7 月 25 日 14:35:36)
日本経済、デフレ脱却? 原油・素材価格が高騰?
◆予想の範囲
「人民元改革は8月、早ければ7月中に行われるだろう」
財務省は今月に入り、中国や米国の金融当局から収集した情報の分析を踏まえ、元切り上げの「Xデー」は「最短7月」との予測を官邸に伝えていた。小幅で通貨バスケット制を用いるとの見方も強めていた。おおむね予想に沿った発表を受け、政府は直ちに「世界経済に貢献していく改革だ」(竹中経済財政相)、「中国経済の安定的な発展につながり、日本経済にもプラスだ」(谷垣財務相)と、歓迎の意向を表明した。
中国が通貨制度に柔軟性を持たせれば、市場メカニズムを通じて過熱する国内経済をソフトランディング(軟着陸)に導くことも可能になる。そうなれば、日本の輸出企業や現地進出した企業も引き続き利益を享受でき、日本が景気の“踊り場”から脱却して、日銀が金融の量的緩和策を解除する時期にも一歩近づくことができる。
◆第一波限定的
懸念していた円・ドル相場への影響も小さく済んだ。中国の発表後、21日のニューヨーク市場で一時、1ドル=109円台まで円高・ドル安が進んだが、22日には1ドル=111円台前半まで反落。衝撃の「第一波」は限定的だった。
だが、不安材料もある。すでに世界第2のエネルギー消費大国となっている中国は、人民元が切り上がれば、輸入品を安く買うことができ、購買力が高まる。年9%台の急成長を続ける中国経済が原油や鉄鉱石などの原料、穀物などを買い進め、「需給がひっ迫し、原料価格が高騰する可能性がある」(加ト吉の佐々木三郎専務)と懸念する声も強い。
◆市場
市場は敏感だ。22日のニューヨーク商業取引所の原油先物相場では、「中国の原油需要が増大する」(アナリスト)との観測から、テキサス産軽質油(WTI)の終値が前日比1・52ドル高の1バレル=58・65ドルに上昇した。“人民元パワー”が原油・素材価格の高騰を招けば、日本の景気回復には足かせとなる。
中国の購買力が高まれば、「技術力のある日本企業を買収する動きも強まる」(みずほ総合研究所の鈴木貴元主任研究員)との予想もあり、企業戦略への影響力も強まりそうだ。
一方、中国に大幅切り上げによる「果断な対応」を求めてきた財務省は、「過熱した中国経済を軟着陸させるためには、2%程度の切り上げでは不十分」(幹部)と見ている。わずか2%では、さらなる人民元切り上げを見込んだ急激な外貨の流入を防ぐことができず、通貨供給量(マネーサプライ)の増大を抑えるのは難しいからだ。
市場には「中国経済の実力を考えれば20%の切り上げが必要」(エコノミスト)という指摘もある。
◆進出企業
中国・天津一汽トヨタ自動車の生産ライン。元の切り上げは中国に生産拠点を置く日本企業に様々な影響を与える(東一真撮影)
しかし、大幅な追加切り上げは、中国に進出している日本企業への打撃も大きい。「第二波」以降が二ケタの切り上げという形で襲ってくると、「日本経済、東南アジア経済に相当な影響がある」(奥田碩・日本経団連会長)。多くの企業から、一段の元切り上げを心配する声が出ている。
中国経済の軟着陸には、さらに踏み込んだ切り上げが不可避だが、そうなれば日本企業への打撃は大きい。人民元の切り上げは、デフレ脱却が課題の日本経済にとって功罪両面のジレンマを突きつけた形となっている。(黒川茂樹)
(2005年7月25日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/88/jinmingen002.htm