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中国が人民元の対ドル為替レートの2%切り上げに踏み切った。9%成長を続ける過熱経済が懸念され、日米などから早期の人民元改革を迫られた中での決断だ。人民元はドル、円、ユーロに次ぐ「第4の通貨」になるのか。事実上の固定相場制を改めた人民元が及ぼす影響は大きく、衝撃を与えている。
人民元切り上げから一夜明けた22日午前、上海にある中国外貨取引センターで初日の取引が始まった。
中国人民銀行は前日、人民元の為替レートを1ドル=8・2765元から1ドル=8・1100元に切り上げ、これを基準値に上下0・3%で変動させると発表した。
22日午前中はほとんど値動きがなく、同日午後、基準値よりやや元安の1ドル=8・1111元で取引を終えた。取引終了間際に人民銀行はドル買い・元売りの為替介入を実施し、元の上昇を抑え込んだ。
静かな滑り出しにみえたが、「過度な為替変動は回避する」という中国当局の強い意向を浮き彫りにした形だ。同時に、人民元切り上げの仕組みには不透明な点も多く、新制度の運用を見定めたいという市場関係者の思惑もうかがわせた初日の“駆け引き”だった。
日米などから再三、早期の人民元改革を迫られていた中国の温家宝首相は、6月下旬に天津で開かれたアジア欧州会議(ASEM)財務相会議で、人民元改革の3原則を打ち出していた。
3原則とは、中国自らが決断する「主体性」、為替の乱高下を防ぐ「制御可能性」、徐々に改革を行う「漸進性」である。
米中貿易摩擦の過熱などから、市場で急浮上していた「8月切り上げ説」を前倒しするように決断した中国当局。市場の意表をつくタイミング、そして改革の内容は3原則に合致する。
市場関係者が注目しているのが、改革内容を明記した人民銀行の「公告」のあいまいな表現だ。
「通貨バスケットを参考に調整される管理変動相場制」「より弾力性に富む人民元為替レート」――。
通貨バスケットとは、複数通貨を加重平均した指標を参考に為替相場を調整する方式だが、どの通貨をバスケット対象にしているかは公表していない。
また、公告は「1日の変動幅を前日終値から上下0・3%にする」という文章の冒頭に「現段階では」と、わざわざ断りを明記した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長は、元切り上げを「改革の第一歩」と歓迎したが、中国の“次の一手”は、「公告に示唆されている」(金融筋)という声が早くも出ている。
固定相場を脱却したものの、為替制度の内容をあいまいなままにして、中国の「制御可能性」を高めるとともに、「漸進性」に従って、少しずつ改革を進める。「フリーハンドを得た中国」(北京の邦銀関係者)という、中国当局には理想的な姿とも言える。
当初から10%程度の切り上げの必要性を指摘していた欧米などでは、「2%の切り上げでは小幅すぎる」として、再切り上げを求める動きが出ている。
近い将来、変動幅が拡大し、最終的に変動相場制に完全に移行することになるのかどうかは分からない。
だが、急成長を続ける中国が存在感を増し、人民元がいずれ、ドル、円、ユーロと並ぶ「4番目の国際通貨」となる可能性はある。
そんな予感も感じさせながら、人民元切り上げの衝撃が世界に広がっている。(北京 東一真)
(2005年7月25日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/88/jinmingen001.htm