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(回答先: 人民元の切り上げ、米貿易赤字には大きな影響与えず=人民銀行総裁 [ロイター] 投稿者 あっしら 日時 2005 年 7 月 24 日 03:15:22)
7月22日(ブルームバーグ):21日の人民元切り上げを受け、スノー米財務長官ら米財務省の担当者は自分たちの功績を称え合っているかもしれないが、祝杯のシャンパングラスは片付けた方がよさそうだ。中国に人民元切り上げを促したのは米国ではなく、中国の急速な経済成長だからだ。
2.1%というほんのわずかな人民元切り上げは、米国の政治家を黙らせるために仕立てたものに違いない。ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は、「前向きな一歩を刻んだが、経済には大きな影響は与えない」と語る。
これは中国が実行できる最低限の措置で、その背後にある動機はあくまでも政治的なものだったように見える。貿易で有利な立場にある中国にいら立ち、制裁も辞さない構えの米当局者をけん制するための時間稼ぎを中国は目指したようだ。
ここで留意すべきことが2つある。1つは、中国政府は大きな影響を狙ったものではないことだ。2つ目は、第2四半期(4−6月)の中国の経済成長率が9.5%に加速したと発表した日のちょうど翌日に、人民元の切り上げに踏み切ったことが、本当に偶然だとは極めて言い難い点だ。
パニック?
人民元切り上げは、中国がインフレを制御できずにパニックに陥っている兆候を示しているわけではない。個人消費や設備投資の増加を示すデータが発表された直後だけに、不安がよぎったのだ。キャピタル・エコノミクスのジュリアン・ジェサップ氏らのエコノミストは、中国が最新の国内総生産(GDP)統計を受け、為替相場制度改革が可能なほど景気は堅調だと納得したに違いないとみている。これはもっともな見方だが、中国はむしろ、景気の過熱を懸念して切り上げに動いた可能性が高い。
今回の切り上げによって中国の政策運営面では、隣国や投資家が期待しているような経済のソフトランディング(軟着陸)実現に向けた柔軟性が生まれることになる。
ミクロの課題
中国のマクロ経済は絶好調に見えるが、ミクロ経済は銀行の不良債権問題などで困難な状況にある。中国経済がいくら急成長しようとも、景気の足元は脆弱(ぜいじゃく)だ。制御可能かどうかということが問題の核心だ。中国経済は中央政府による計画経済で運営されているが、北京にいる中央政府当局者は経済規模が大きくなりすぎて手に負えなくなったと認識しつつある。経済発展に伴い、中国経済は中央政府がコントロールできるマクロ経済と、省や市などが運営する地域経済という二重構造を持つようになった。
マクロ経済は、融資規制によって抑制されつつあるが、地域経済の急成長への対応は驚くほど困難であることが分かってきた。中国の中央政府が管理する金融システムや未熟な債券市場のせいで、金利政策は景気抑制にはほとんど役に立たない。
中国が直面する課題は近代経済でも前例のないほど大きなものだ。中国の影響力は、1兆6000万ドルの経済規模をはるかに上回る。中国がつまずくと、多くの一次産品の国際需要も動揺する。日本の景気回復も台無しになりかねないし、世界市場は混乱に陥る可能性もある。
中国は非常に困難な仕事を抱えている。景気拡大を抑制するための中央集権的なメカニズムを見いだすとともに、中国経済を安全な着地点に導くことが必要だ。
最新のGDP統計を十分に理解した中国当局者は恐らく、人民元切り上げを試す時期が来たと感じたのだろう。昨日に続いてさらなる切り上げが実施されれば、中国の輸出競争力は低下し、輸出も伸び悩むだろう。中国に殺到していた投機資金の一部はほかのアジア諸国に向かう可能性もある。
要するに、中国の人民元切り上げは、国内経済の高まるリスクを反映した動きであり、景気過熱を回避するために中国が全力で取り組み始めたことの表れだ。中国の人民元切り上げは自分たちの功績だと米当局者が言うのは勝手だが、本当に手柄を立てたのは確かなデータのほうだ。(ウィリアム・ペセック・ジュニア)
(ウィリアム・ペセック・ジュニア氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Stop Partying John Snow -- GDP Forced China: William Pesek Jr.(抜粋) {NXTW NSN IJZW640UQVI9 更新日時 : 2005/07/22 14:14 JST http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=axVNXMqDf9x0&refer=jp_japan