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(回答先: まあ、あっしらさんの評価は妥当かもしれませんね(汗) 投稿者 考察者K 日時 2005 年 7 月 16 日 23:02:49)
>あっしらさんの主張は「家計の可処分所得(消費に回せる能力)」は急激には高まら
>ないので通貨増刷は即ハイパーインフレとはなり得ないという単純なモノだと気付き
>ました。
通貨の増刷が家計の可処分所得の増加につながるとは限らないので、通貨の増刷が(ハイパー)インフレを引き起こすとは言えないという考え方です。
ある条件の国民経済では、通貨の増刷が(ハイパー)インフレに直結します。
この問題は、デフレから脱却したいと願いながら政策を実施してきた日本経済がなぜそれを達成できないのかを考える重要なポイントでもあるので繰り返し説明してきました。
>Kは「通貨の適正流通量」というようなモノが「イメージ」として誰でも持っている
>と思います。これは幻想でもあるでしょうが、100円の物品は100円で買う価値がある
>わけです。これは100円で売っても良いという判断があると言うことです。
短期についてはそのようにも言えるでしょうが、年単位の期間であれば、「100円の物品は100円で買う価値がある」とか「これは100円で売っても良いという判断」ではなく、冷徹に計算しているわけではなく直観的な判断だとは思いますが、ある物品は可処分所得の千分の一なら買う価値があるとか(支出カテゴリーの百分の一ならという考え方もあるでしょう)、これは荒利益率を30%とって売りたいとか1個あたり18円は儲けたいという判断のほうが優勢でしょう(供給側はコストが既値です)。
経済成長期のように毎年給与水準が上昇するのなら1年前まで100円のものが105円になっても買うことをためらわないし、コストが上昇しなくとも(逆にコストがさがっても)105円で売れるのなら105円で値上げして売りたいというのが供給側の考え方です。
価格の妥当性は、絶対値で判断されることは短期でしかなく、可処分所得やコストとの関係で変動する相対的なものだと思っています。(ある時期のある商品の価格妥当性は、そのような変動過程の切断面を意味する)
>金本位体制の概念は今でも漠然としてですが、残っていると仮定すれば、日本の国に
>許された発行残高はGDPなどや国際競争力などを総合的に評価した上で「世界が認
>めた範囲内で行われる」という暗黙の了解事項というようなモノがあり、その上で1
>ドル120円とかの交換為替レートが成り立つのだと思っています。
>あっしらさんは「既に増刷している」とされていますが
>http://www.indb.co.jp/graph_new/html/KINYU101.htm
>を見てみれば、日銀券の平均発行残高は安定した常識の範囲内での緩やかな右肩上が
>りだと思われます。
お示しの日銀券発行残高推移が安定した常識の範囲内での緩やかな右肩上がりだと判断されるのなら、紙幣増刷による赤字財政補填及び政府債務履行の継続が貨幣価値の大きな劣化をもたらすという心配をする必要はないと申し上げます。
93年の約30兆円から03年には約70兆円と2.5倍近く発行残高が増加していますが、ご存知のようにその間の名目GDPは横ばいなのです。
過去を見れば、
発行残高 実質GDP 名目GDP
=========================================================================
60〜70年 4.5倍 2.6倍 4.6倍
80〜90年 2.1倍 1.5倍 1.8倍
と、貨幣表現の経済規模である名目GDPと日銀券発行残高はほぼ同じペースで拡大しています。
80年代のズレは、いわゆるバブル活動のために貸し出し増加のある部分が現金の増加として現出した結果だと推測しています。
93年から03年にかけて日銀券の発行残高が2.5倍になっているのなら、名目GDPが2倍を超えているのが“常識の範囲内”の変化だと判断します。
(給与の銀行振り込みの拡大やクレジットカード支払いの増加を考慮すれば、60年から90年までの間よりも、名目GDPに対する日銀券の増加率は低くなるのが妥当だとも言えます)
>もしか、すれば、裏があるのかもしれないですが、あるならば「政府も危険なので隠
>蔽している」事になるでしょう。事実「赤字国債の残高は危険域に達するまでは、あ
>きらかに隠蔽されていたと思われる側面があります」
みっともないし失政という非難の矢面に立つのはイヤだから、日銀券発行残高の“異常”な増加を金融システムの安定及びデフレ脱却策として説明しているのだと思っています。
国債残高は、債務履行継続性の問題ではなく税収の使途=課税(公的負担)政策(政府は税収で利払いや償還をしているというかたちをなんとしてもとる)に大きな影響を与えることが危険なのですから、既に危険域に達しています。
税収の半分近くが債務履行のために使われるというのは異常事態です。
>心理面から判断すれば、GDPや国際競争力に見合わない「日銀券(通貨)」を所持
>していると判断する人の数、外国の数によって「イメージとしてのインフレ予想」か
>らインフレが実体化する。とKは考えています。
>つまり、発行残高と物品の交換において、100円硬化に100円の価値が無い(明日使用
>するときには80円くらいの物しか買えないという予測)と思うようになる訳です。
>そこは「気分次第ですし」「個人的妄想」かもしれませんが、そのような人が一定数
>になれば「売り渋り」的な在庫調整から「家庭の可処分所得」に関係なくインフレに
>なる可能性はあります。
冷静に考えてください。
「買い渋り」が問題になっていて、売りたくてしかたがない供給主体が、顕在化していない将来のインフレ予測で「売り渋り」をすると思われますか?
そのような業者は、おいてけぼりをクラって業績悪化に見舞われるだけの話です。
現状では、通貨の増刷がインフレを引き起こすという読みは先見の明ではなく錯誤です。
(通貨の増刷がインフレを引き起こすことは永遠にないといっているわけではありません。供給力の劣化と年金及び社会保障受給者の増大が併進すれば、通貨の増刷がインフレにつながります。それはそれほど遠い先のことではないかも知れませんが、現段階ではいつそうなるかは言えませんし、必ずそうなるとも言えません)
>これが、外国からの輸入食料品においてなら「かなり深刻な事態も予想できます」
>買い手(家庭の可処分所得の限界)に絶対の自信を持つことは「売り手の心理」の考
>察の見落としをしている可能性があります。
輸入食料品に需要が急激に高まる一方で、家計の可処分所得が増加しないのなら、産業が製造する商品への需要は急激に減少することになるので、産業界の「売り手の心理」は何とかして売らなくてはというものになります。
なお、生鮮食品は、工業製品と違って「売り渋り」があまりできない性格の商品ですから、米などの売り渋りはあるとしても工業製品ほどの広がりはないはずです。
トイレットペーパーでも政府が介入したくらいですから、生存にとって不可欠の食糧の売り渋りは強制力で解消される可能性が高いでしょう。
>トイレットペーパー事件ですが、Kの聞いた話ですと「石油ショック」とは相関関係
>がない「デマ(噂)」から買い需要が供給を凌駕したと聞いています。心理的なイン
>フレの実例で適当ではないかと思っています。
奈良あたりの主婦たちがトイレットペーパーがなくなると言い合ったことが発端の騒動を見て業者が売り渋りに動いたために起きたものです。
この騒動自体は短期の出来事です。(店頭にトイレットペーパーがちゃんと出回るようになれば、備蓄のせいでしばらくは売れ行きが鈍るという事態に直面しました)
石油ショックは年率28%ものインフレにつながりましたが、それは前回も書いたようにトイレットペーパー騒動は次元が異なる理由で進んだ経済変動です。
(個別の品不足や価格変動と国民経済レベルの物価水準変動をごっちゃにしてみるのは誤りです)
>>【「実際の通貨流通量も物品の総量は関係なく」インフレになるというのは超能力
>>の世界です。】
>それは、売り手と買い手の間に何の打算も予測も無く、正常に取り引きされている場
>合にのみ言えることでしょう。
1億2千万人規模の国民経済で同一使用価値商品の供給主体も数多くあり輸入先も多岐にわたっている日本なら、経済論理からずれたある範囲の「売り手と買い手の間の打算」は埋没(誤差の範囲)していまいます。
現在でも「売り手と買い手の間の打算」の総和として経済は動いており、国民経済的経済論理(傾向)に反した打算は手痛いしっぺ返しを受けています。
誰(どこ)が儲けるか損するかといった問題は当たるも八卦当たらぬも八卦かも知れませんが、物価水準がどのように推移するかという問題は、可処分所得の変化と供給量の変化の関数関係に収斂します。ですから、貨幣側の問題であれば、可処分所得の総和(国民経済における総消費支出)がどう変化するかが決定的な規定要因なのです。
>しかし、可能性の指摘はされても良いはずだと思っています。
可能性の指摘は重要だと思っていますが、あなたの主張でOKならほとんどどんな結末でも可能性として主張できることになります。
それよりも、現在のデフレ不況をどうやって解消するのかという短期的政策、将来の可能性として見えている高インフレ(供給活動従事者が減少する一方で年金など消費性向が高い財政支出の増加がもたらす可能性)を抑制できる長期的政策を提示されるほうがあなたの主張に見合った投稿活動だと思いますよ。
(「心理」や日銀券の増刷=日銀券発行残高の増加だけでインフレになることは絶対にありません。もっと複合的な条件が必要なのです)