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予測ではなく論理です。
http://www.asyura2.com/0505/hasan41/msg/498.html
投稿者 あっしら 日時 2005 年 7 月 15 日 02:40:46: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 正確な予測は誰でも困難です。 投稿者 考察者K 日時 2005 年 7 月 14 日 06:56:05)


赤字財政のために紙幣を増刷するとインフレになるという「通説」は、無条件に適用できる論理ではなく、諸条件を勘案して妥当性をチェックする必要があるというのが前回の書き込みの趣旨である。
「通説」が一般的に通用すると考えてあれこれ主張することを失礼ながら“短慮”だと申し上げた。

>増刷で何もかも解決するという楽観論が取り返しの付かない事態を招く可能性は
>「増刷しない」場合より高いのです。

まず、現状の国民経済条件と経済政策であれば、日銀券の増刷で国家破産は回避できハイパーインフレを引き起こすこともないし、そのような政策が現実として既に実行されているというのが前回の説明で、「増刷で何もかも解決する」といったニュアンスはまったく含れていなかったはずである。
(それだけではインフレにもならないのだから、デフレ不況が解消できるわけでも財政危機が緩和されるわけでもない。事態がそれほど変わるわけではなく、困るのは金融機関だというのが前回の説明)

また、物価変動は消費財に支出される貨幣量の増加と消費財供給量の増加の関数だから、将来供給力の変動があれば日銀券の増刷がハイパーインフレにつながるということも否定していない。
(赤字財政を補填するために日銀券を増刷してもハイパーインフレにならないと言っているわけではない)

ところで、「「増刷しない」場合より高い」と考えたのなら、簡単でいいから、どういう経済論理で「取り返しの付かない事態」が生じるのか、また、増刷しない場合はどのような経済論理でそれを緩和することができるのか述べるべきであろう。

>未来の正確な予測は現在みたいに「人の気まぐれ」の要素が多い場合には困難です。

まず、来年ヒットする商品や音楽はどのようなものかといった予測と、ある金融・経済政策を実施したときに国民経済全体がどのように変化するのかという論理(予測)は性格がまったく異なるものである。
(前回の書き込みは、予測をしたわけではなく、動態的な経済論理として説明したにすぎない)

私が前回書いた内容は、消費財の供給量が従来ペースの増加であることを条件にすれば、消費支出をする主体の可処分所得(保有現金)が増えない限りインフレは起きないということに集約できる。
ある企業の売上が増加するかどうかというレベルではなく、インフレ(物価変動)という国民経済全体の変化は、「人の気まぐれ」という問題を捨象できるテーマである。

(インフレになるかどうかであれば、供給力が不変であることを前提条件に、可処分所得を超える消費はごく短期を別にすれば不能だから、可処分所得が増加するかどうかを考えればいいことになる。消費しないことで起きるデフレのほうが「人の気まぐれ」が入り込む余地が大きいといえるが、1億2千万人規模の国民経済なら統計的経験則で推論しても大過はないだろう)


人の思考力や想像力はたかが知れているので、論理や予測が現実に大きく裏切られることは多々ある。
しかし、論理や予測が大きく外れるのは、おうおうにして思考怠惰に帰すことができる思い込みによることも事実である。
議論は、個々人が持つ思考の固定性や思い込みを減少させることに意義があると思っている。
議論の意義を実効あるものにするためには、できるだけ具体的に論理を展開する(説明をする)必要がある。


>「偶発不凍水」という物があるそうです。何かの要因で凍るはずなのに凍らない水
>で、何かの拍子に急激に凍るそうです。

水に含まれている不純物や気圧などの条件が違えば、その変化の現れ方に違いがでることも知られている。
個別ないし特殊な場合の変異はともかく、水は冷やしていけば凍り熱していけば気化するというのが一般的事象であろう。

消費支出額の変化率と供給量の変化率の関係を使った物価変動の説明は、水は冷やしていけば凍り熱していけば気化するという一般的傾向に相当する。
「日銀券の増刷=消費支出額の増加」であれば、考察者Kさんの“予測”(ハイパーインフレ説)は妥当性をもつが、日銀券の増刷が必ずしも消費支出額の増加に直結するわけではないから、「日銀券の増刷=消費支出額の増加」の論理を説明する必要があると言いたいのである。

財政赤字を補填するために日銀券を増刷しても、それが消費支出額の大幅な増加につながらない限り(ハイパー)インフレにつながるわけではないという論理は、インフレターゲット論批判にも通じるものである。

>日本が破綻すれば、日本がドルを買い支えることで保っているアメリカも連鎖破綻
>し、世界恐慌になる可能性もあります。


日本政府は、日銀に増刷した日銀券で外国為替特別会計向けの国債を買ってもらってドル(米国債)を買い支えているんですよ。
日銀券を膨大に増刷しなければ、日本政府が1年ちょっとの期間に35兆円分ものドル(米国債)を買うなんて芸当はできない。


それこそ、日本政府が増刷してもらった日銀券ではドル(米国債)を買わないという政策を採るほうが、米国経済が苦境に陥り、その連鎖で世界恐恐になる可能性があるんではないのですか。

(世界支配層はバカではないのは、受動的要因で世界恐慌が起きることを放置したりはしないから、そんな心配をする必要はない。能動的に世界恐慌を起こしたり世界恐慌になってもいいと放置することはあるかもしれないが(笑))


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