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(回答先: かなり危険な主張をどざくさまぎれに主張してはいけません。 投稿者 考察者K 日時 2005 年 7 月 13 日 21:08:36)
ご無沙汰しています。
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>国の赤字分を円の増刷などで埋めたらハイパーインフレとなります。
国家財政の赤字分を日銀券の増刷で補ったからといって、ハイパーインフレになるとは限らない。
それがハイパーインフレを引き起こすこともあれば、それでもなおデフレが続くことさえある。
(この10年間においても、名目・実質ともGDPがほとんど変わらないなかで日銀券は“増刷”(30兆円から70兆円に急増)されてきたがデフレは今なお続いている。“増刷”の主要な目的は「国債サイクル」の維持だから、国家財政の赤字分を円の増刷で埋めてもハイパーどころか低インフレにさえ引き起こさないことがあるという実例である)
(ハイパー)インフレになるためには、消費財向けに支出される通貨量の増加が消費財の供給量増加を(圧倒的に)凌駕する事態が生じなければならない。
資本財の需要(=供給)拡大も給与所得の増加を通じて消費財向け支出の原資を増加させる要因だから資本財向け支出の増加がトリガーでもかまわないが、とにかく、ハイパーインフレが起きるためには、同一消費性向レベルで総家計の可処分所得が大きく増大し、消費財の供給量がそれに見合うほど増加しないという条件が必須である。
消費財全般に向けられる支出金額が消費財の供給量増加より急激に増えるかどうかなのだから、増刷された日銀券がどこに届きどのように使われるようになるのかということが決定的に重要な問題なのである。
敗戦後のハイパーインフレは、生産設備損壊・軍需優先産業構造・原材料不足のために消費財の供給力が落ち込んだ物不足のなかで、膨大な数の復員兵に日銀券を増刷して渡したことが主たる要因である。(多くの国民に飢餓問題が生じるほどの圧倒的物不足状況では、インフレはインフレに拍車をかける)
紙幣を増刷してもハイパーインフレにならない例を提示する。
1)日銀が国債残高700兆円を購入するために日銀券を増刷する。
2)国債の保有主体は郵政貯金・簡保・銀行・生保などひとのお金を預かって運用しているところがほとんどだから、手持ちの国債が現金に変わったからといってそれが消費財の需要増加につながることはない。
3)国債を売ったことで利息が得られる国債から利息が付かない日銀券に資産内容が変わり負債(預貯金者などの債権)はそのまま残っているのだから、その現金が消費財への需要を拡大することも資本財への需要を拡大することもない。
※ 困るのは利息が付かない日銀券に資産が変わってしまった金融機関である。リスクと利得を総合的に考えて国債よりも有利なものがあるのならそちらで運用していたはずだから、金融機関はとんでもない資金運用難に陥ることになる。預貯金者や保険契約者には利払いをしなければならないのだから、この苦境のために金融機関従業員の給与所得が切り下げられさらにデフレが進む可能性すらある。
◎ 国債保有主体が家計(個人)であっても、状況にそれほどの違いはない。
国債保有者は預貯金と同じかそれ以上に“余剰(消費しない)”である資金を国債購入に振り向けているはずだから、国債が現金に変わったからといってそれを消費に振り向けることはほとんどなく、別の形態に預貯金になるだけだろう。
(国債の利息を消費に向けることは考えられるが、元本は所得悪化や遺産相続などの状況変化がなければほとんど手をつけられないものだ)
もちろん、国家財政の赤字は日銀券の増刷で補填できるという認識が一般化してしまえば「税金不要論」にまで行き着きかねないので、そのような政策が表立って採られることはない。(実質は同じことだが、これまでのように日銀とうまく連動してこそこそと「国債サイクル」を維持する)
少しはものごとをきちんと考えようとしている財務省官僚や政治家は、上述の論理がわかっていながら、自分たちの失政のツケを国民に払わせようとしているのか新しい“失政”をやろうとしているのかはわからないが、低中所得者の公的負担増をしゃかりきになって推し進めている。