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(回答先: 原油60ドル時代突入 中国需要「台風の目」 【朝日新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 25 日 11:55:54)
原油60ドル、踊り場脱却に影響 企業に弱気広がる恐れ
原油価格の推移
「原油60ドル時代」の到来は世界経済に影を落とし、「踊り場」からなかなか脱しきれない日本経済も影響は避けられない。業績を急回復させ、先行きに強気の見方も広がっていた日本企業に、再び弱気を広げかねない材料だ。
「デフレが続く中ではとても最終価格に転嫁できない」。日立製作所の庄山悦彦社長は原油高に伴う収益圧迫をどう吸収するかが最大の経営課題に浮上したという。
日立の04年度決算は、原油など原材料の高騰で営業利益が372億円目減りした。コスト削減や構造改革で補ったが、05年度も営業利益への影響は245億円減に達する見込みだ。
自動車業界でも鋼材などの原材料価格や物流コストの上昇が、収益を圧迫する懸念が広がる。
5年連続で過去最高益を更新している日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「売れ筋が燃費のよい小型車に移れば、利益率が低下する恐れもある」と懸念する。
一方、中国需要が好調な総合化学業界。最大手の三菱化学は、原料のナフサ価格が1キロリットルあたり1千円上がると60億円の減益要因になるという。大手5社は今年度のナフサ価格を同3万8千円程度と想定するが、原油価格の上昇が続けば20年ぶりに4万円台に乗る可能性もある。
ペットボトル原料のペット樹脂を製造する三井化学、日本ユニペット、帝人などは、昨年の原油高に加え、中国の旺盛な需要もあり2回にわたり1キログラム当たり計40円程度値上げした。「ここ20年で最大の上げ幅」(日本ユニペット)だが、さらに原料価格が高騰すれば「再び値上げを検討せざるを得ない」という声も出ている。
●ドバイも価格上昇
日本が輸入する原油は中東産が多く、中東産の指標であるドバイ原油の市況が日本の企業や消費者には影響が大きい。ただ、こちらも米ニューヨークのWTI原油価格に歩調を合わせて上昇しており、最高値圏の52ドル台で推移している。
WTI価格は昨年、米市場に投機資金が流れ込んだ影響で急騰し、最高値を更新し続けた。このときは実需中心のドバイ価格はそれほど大きくは上昇せず、WTIとの価格差は5ドル前後から一時約18ドルまで開いた。
その後、中国を中心とするアジアの需要が市場の予想を超えて大きく伸びたため、ドバイ原油も急速に値を上げた。「特に実体面でも心理面でも中国の存在感が大きい」と、日本エネルギー経済研究所の小山堅研究理事は指摘する。
夏場にかけても中国需要の動向が焦点となる。電力不足が起きれば、石油火力発電所向けの石油需要が急激に伸びてさらに原油価格を押し上げる可能性がある。
ただ、70年代の2度の石油危機当時と比べると日本経済への影響が限定的に見えるのは、1次エネルギーに占める石油の比率が73年の約77%から03年は約50%に落ちるなどエネルギーの多様化が進んだためだ。物価上昇を考慮した実質的な原油価格は当時の4割程度にとどまる。
とはいえ、市場には長期的な需給逼迫(ひっぱく)をにらんだ投機資金が入り込んでいるだけに、今後さらに値を上げる可能性も否定できない。
●「脱石油」進む先進国
石油価格の上昇は、各国の成長率を引き下げるものの、かつてほどのショックは起きないとの見方が一般的だ。先進国は2度の石油危機を経て「脱石油」がある程度進んでいるからだ。
国際エネルギー機関(IEA)の昨年の試算では、原油価格が1バレル25ドルから35ドルに上がった場合の実質国内総生産(GDP)へのマイナスの影響は世界経済全体で0・5%分だった。今年3月の国際通貨基金(IMF)の報告では、1バレル80ドルに上がった場合、米国で0・8%、日本で0・7%、先進工業国全体では0・6%、実質GDPを引き下げるという。
日本をはじめとする先進国は石油への依存度を引き下げるエネルギー政策を進めてきた。その努力も中国の需要増ペースにかき消されている。エネルギー需要が急増する中国は93年に、それまでの石油輸出国から輸入国に転じ、その後、急速に輸入量を増やしている。
中国はエネルギー需要の7割を石炭が占めており、原油価格上昇の影響は限られるとの見方もある。ただ、IEAの試算でも同じ上昇幅でのGDPへのマイナスの影響は日本より大きい。
ただでさえ、生産活動の増大にエネルギー供給が追いついていないだけに、原油高が中国経済を冷やす可能性もある。そうなると、中国向け輸出を増やしている日本の輸出産業にも影響が広がりかねない。
http://www.asahi.com/paper/business.html