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(回答先: Re:【生命保険協会】は良くても庶民がハゲタカファンドに流れる 投稿者 なおみん 日時 2005 年 6 月 14 日 20:25:22)
●やってみなくては、もうだめだというところまで追い詰められるところまで
行かなくてはわからない。
これは、歴史を振り返ればよくあることだ。日本の今後の10年の情報をそろえると
決して楽な道ではない。それなら、いま余裕があるときにやるのも手であるとおもう。
所得の分配を社会主義から転換しているわけですし、アメリカのように富裕層がボランティアなどに出す資金もすくない。
日本の富裕層は、社会に還元するという頭は毛頭ないのである。
日本の、貯蓄(世代間と高齢者所得)が世界と比べて偏りすぎているのは大問題だが誰もその辺を追及しようとしない。
第3部個人が支える繁栄(上)民営化がもたらした自立(検証シティー)日経金融新聞,
英国営企業の民営化が本格化して十五年が過ぎた。
個人投資家の数はこの間に十一倍に増え、株式市場と金融街シティーの繁栄を支えた。
英国民は民営化を通じて国への依存心を捨て、投資家として「自分の足で立つ」(サッチャー元首相)ことを強いられた。
世界的な株安に振り回される今は、市場原理の負の側面も見え始めた。英国が株の文化を成熟させようとする姿には、市場再生に悩む日本社会の未来も透ける。
「株価が下がっていることはどうでもいい。株価を上げるために何をしようとしているのか分からない。それが問題なんだ。株主総会に出たことはないけど、今度は文句の一つも言わずにはいられないね」。
怒れる個人台頭
四月上旬、ロンドン市内のリージェント・パーク。五分咲きの桜の下で紅茶を飲みながら、パトリック・ドッドソンさん(仮名、60)はこう語った。
ドッドソンさんはブリティッシュ・テレコム(BT)の株式を同社の民営化からずっと保有してきた。
BTの株価は九九年十二月の最高値から三分の一に下落。最近は官僚的な経営陣の更迭を求める声も強まり出した。
市場の声を代弁しているのは機関投資家だが、その背後には、怒れる個人がいる。
BTの上場は英国に二百万人の個人株主を作った。その後のガス・電力・港湾インフラなどの民営化や、相互会社だった住宅金融専門会社の株式会社化を経て、現在の英個人投資家はBT上場前の百五十万人から千七百万人に増えた。成人三人に一人の割合だ。
サッチャー元首相は回顧録で、民営化を「社会主義の麻痺(まひ)効果を逆転させる中心手段の一つだった」と述べている。
第二次世界大戦後の労働党政権は多くの企業を国営化し、人々に国への依存心を植え付けた。企業が堕落しても、だれも鬱屈(うっくつ)とするだけで動かない。株価の下落で個人が怒りの声を上げ始めたのは、民営化の真価が発揮されたからとも言える。
インフラを整備
株主作りには長期的に株を持たせるインフラ作りも重要だった。一九八六年には金融サービス法が成立し、インディペンデント・フィナンシャル・アドバイザー(IFA)と呼ばれる独立系助言業者が生まれた。今やIFAは全英で約二万三千人になり、株式などの販売シェアは五割を超える。「チャーニング」(回転売買)は罰則の対象で、一年に数件は廃業を命じられるほど徹底している。
IFAは自己責任の伝道師でもある。「政府は頼れないと繰り返し訴えてきた。今や超低所得層を除き、教育や医療、老後などあらゆる面で政府に頼れると思う英国民はだれもいない」(独立系IFAのフィリップ・ウォレン氏)
英ブレア労働党政権は今年四月から低所得者向けに確定拠出型のステークホルダー年金を導入した。民営化から始まった投資の素地があるからこそ福祉政策のすそ野も広がる。
民営化された企業も個人株主を歓迎する。英米系メジャー(国際石油資本)のBPは「機関投資家に比べ個人株主は忍耐力が強く、株価の安定につながる」(投資家向け広報のコールマン・バイスプレジデント)という。同社はアナリスト向け業績説明会に個人株主も招待する。財務諸表はネットを通して月平均二万回の請求がある。
九〇年代に相互会社から株式会社に転換した金融機関ハリファクスは個人株主の参加を促すため、今年の年次総会をスコットランドで開催する。
ロールス・ロイスのIR(株主向け広報)担当を務めるピーター・バーンズ―ウォレス氏は「自国を代表する優良企業への投資には国民のプライドを満たす効果がある」と指摘する。グローバル化のなかで「国」を意識させるのも、政府ではなく企業の存在だ。
社会に新風送る
民営化が象徴する市場原理主義には反動もつき物だ。英政府は四月上旬、九四年から民営化された鉄道管理会社レールトラックに総額十五億ポンド(二千六百七十億円)の公的な資金援助を決めた。同社は民営化に伴い安全投資を切りつめた。そのツケが回り、最近では深刻な列車事故や遅延が頻発している。公的資金は老朽化したインフラ対策に使われ、見返りとして配当性向の引き上げ禁止など足かせもはめられた。
市場原理一辺倒だったサッチャーを、今でも「嫌いだ」という英国民は多い。それでも民営化という政策が間違いだったと見る人はほとんどいない。
ロンドンの金融街シティーに長年勤務するヤン・ルサマンさん(56)は、「社会に新風を吹き込むという意味で民営化は必要だった。多くの過ちもあったが、総合的には良い社会になった」と語る。
ビッグバン・民営化直前の英国の風景はこうだ。「(頻発するストライキで)死者は埋葬されず、ひん死の患者はピケ隊で病院から追い払われ、社会に充満していたのは口汚く人をののしるせん望と、いわれなき敵対心だった」(サッチャー回顧録)。すさみきった社会を救ったのは市場の規律。今の英国はそれを成熟させるために悩む。
【図・写真】サッチャー改革は英国を再生させた(93年来日時、回顧録を手にするサッチャー元首相)