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苛酷な労働環境に悲鳴を上げるゲーム制作者たち(下)
2005年 6月13日 (月) 15:59
(6/10から続く)
2004年の11月、『ea_spouse』(イーエイ・スパウス)[EA社の配偶者]と名乗る人物が、1通の書簡を投稿した。これは自らの体験に基づき、ゲーム開発の修羅場を詳細に綴った内容だった。
今ではすっかり有名になったこの書簡の中で、ea_spouseはこう書いている。「ストレスが強すぎる。ある程度の時間以上働き続けていると、目の焦点が合わなくなってくる。さらに、週に1日しか休めない状態で何週間も働き続けると、疲労が指数関数的に蓄積する。週末2日間が休みになっているのには、ちゃんと理由があるのだ――週末の休みが削られると、肉体的にも情緒的にも精神的にも悪い影響が生じる」
ゲームメーカーとハリウッドの俳優組合は、利益の分配以外にも、声優の時給という問題を抱えている。現在の標準報酬はアフレコ作業1時間あたり275ドルだが、SAGとAFTRAはこれに上乗せを要求している。
この金額は、過度にプレッシャーがかかる労働条件のもと、長時間にわたってプログラミング作業に従事させられているゲームの開発者からすれば、不公平に感じられるものかもしれない。
しかし、ウィル・ウィートン氏をはじめとする現役の俳優たちは、声優も楽ではないと反論する。ウィートン氏は『Grand Theft Auto: San Andreas』などのゲームで声優経験があり、発売予定の『Tom Clancy's Rainbow Six』にも声優として参加している
「確かに――1時間で275ドルというのは、週に何度もこういった仕事が入ってくるとすれば、大した金額だろう。しかし平均的な、地道に働くしかない俳優の場合、こういった声優の仕事を年に4本とれればありがたいというのが現実だ」とウィートン氏は語る。
SAGの役員会と、『テレビと演劇に関する交渉委員会』の構成員を務めた経験があり、現在もSAGとAFTRAの両方に所属しているウィートン氏は、今回のストライキ活動を承認する票を投じた。
ワイアード・ニュースの取材に対し、ウィートン氏は「ストライキは望ましくはないが、交渉の道具としては必要だ」と語っている。
また、カリフォルニア州サンアンセルモに住み、フリーのクリエイティブ・ディレクターとしてゲームや従来の娯楽産業向けの企画を手がけたこともあるピーター・ババキティス氏も、今回のストライキはよい戦略だと考えている。長い目で見れば、SAGやAFTRAのストライキは、組合を持たないゲーム開発者にも利益をもたらす可能性があるというのが、ババキティス氏の見方だ。
「俳優、音楽家、制作者、プログラマーなど、ゲーム作品に関わったもの全員が利益に応じた配分を受けて悪いことはない。映画業界は組合の発展によって業界内が潤った結果、作品を継続的に海外に輸出できる力を身につけた。ゲーム業界はそうなっていない。米国は輸入する側にある」とババキティス氏は語る。
また、ババキティス氏はワイアード・ニュースの取材に対して「ゲーマーが、俳優が歩合を求めるのはおかしいと考えるならば、同時に、プログラマーや作家、一般の制作者ほか、すべての関係者もそういったものを求められないということになる。俳優が歩合を獲得できれば、プログラマーや制作者、作家もそれに続くかもしれない――そうなれば米国のゲーム制作現場の国際競争力が復活する可能性もある」とも述べた。
SAGとAFTRAが要求している利益の分配が実現するかはともかく、今回のストライキ騒動が1つの動きを引き起こしたのは確かだ。ゲーム業界の労働者は自分たちの組合をつくる道を模索しはじめている。
[日本語版編集部注:SAGは8日(米国時間)、最低賃金を36%引き上げるなどの条項を含む新たな契約でゲーム会社側と合意したと発表(日本語版記事)。ストライキは回避された。]
[日本語版:緒方 亮/長谷 睦]
http://news.goo.ne.jp/news/wired/it/20050613/20050613105.html
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苛酷な労働環境に悲鳴を上げるゲーム制作者たち(上) 【WIRED NEWS】 goo
http://www.asyura2.com/0505/hasan40/msg/660.html