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(回答先: 石油大量消費時代は終わった 再生可能エネルギーに転換の時 (SENKI) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 4 月 19 日 16:48:46)
原油高騰
石油枯渇時代がはじまっている
http://www.bund.org/opinion/20050425-4.htm
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イラク戦争に端を発した原油高が歯止めなく進行を続けている。世界は今「第三次石油ショック」一歩手前にある。
もはやエネルギー革命は喫緊の課題だ。
新エネルギーの実用化が迫られている
レポーター 久保田誠
環境破壊が進行し人類の生存が危うくなるか、はたまた資源争奪戦が激化し血みどろの道をあゆんでいくのか、いずれにしろ「成長の限界」が予測したカタストロフィーが刻一刻と迫っている。 この問題解決のカギを握る自然エネルギーの実用化・普及はどうなっているのか。
太陽光発電 補足エネルギーとしては充分有効
ソーラーパネルによる太陽光発電は、世界的にみて日本で最も普及している自然エネルギーである。2003年段階で設備容量は86万kW(経産省試算)に達している。
日本でここまで導入が進んだのは、オイルショックの70年代から始まったサンシャイン計画により、官民あげて開発と実用化に取り組んできたことによる。
サンシャイン計画では当初、太陽光を使った大規模な発電所建設が構想されていた。この構想は莫大な用地を必要とすることから頓挫し、住宅の屋根やビルの屋上を用いた小規模分散型へと切り変えられていく。90年代以降、政府や関係機関が補助金を助成したこともあって、太陽光発電は広く普及していった。
当初、設備の製造段階などで消費されるエネルギーが20年発電を続けても回収できないのではないかと、環境派の中でも太陽光発電に反対する意見もあった。しかし最近の試算によると、量産化や発電効率のアップで、わずか2年でエネルギーコストを回収できるようになってきている。それでも日本以外でそれほど普及が進んでいないのは、大規模化ができないだけに初期投資も発電コストも非常に高くつくことが原因だ。
ここ10年で3分の1にまで下がっているとはいえ、一般的な住宅用(3・3kWクラス)でも設置費用は平均で250万円程かかる。発電コストも60〜70円/kWかかり、風力発電の10倍に値する。太陽が照っていないと発電できないため、気象条件に左右されやすいこともネックだ。
とはいえ、日本のような環境ではそれなりのメリットもある。日本では夏場のよく晴れた日の日中に電力消費が突出して集中する。この時間帯は太陽光発電にとっても発電のピークになる。普及の拡大により、「夏場の最大電力需要をまかなえなくなるかも」という不安から電力会社が原発や揚水発電所を造り続ける根拠を失わせることができるだろう。
長野県飯田市では、市をあげて環境問題に取り組む中で2010年までに30%を太陽光発電住宅にする目標を掲げ、様々な助成を行っている。どんな発電設備でも初期投資は必要だが、家庭では企業や電力会社のように市場から資金を調達することができない。このため住宅用の太陽光発電の普及には、自治体などの公的機関のバックアップが不可欠だ。飯田市のような施策が広まることが期待される。
風力発電 ヨーロッパでは主力エネルギー
いまや風力発電は自然エネルギーの主力である。日本でも90年代後半から導入が進み、2003年で67・7万kWの設備容量をもつまでになったものの、急ピッチで導入が進む欧米諸国(ドイツ800万kW台、アメリカ600万kW台)との格差はいぜん大きい。
その一因として、国土が狭く山間部が多い日本では大規模なウインドファームなどがつくりにくいといったことなどがある。例えばカリフォルニアでは、数千機の風車を擁したウインドファームが何カ所もあり、州全体では風力だけで170万kWの発電容量を持っている。同じ規模の風力発電を日本で実現するのはとうてい無理だろう。
世界的に風力発電が急速に拡大しているのは、なんといってもコスト面で優等生であることが大きい。ここ数年の風車の大型化、高出力化で発電コストが10円/kWを切るのがあたりまえで、7円/kWなんてものも登場してきている。LNG火力発電の6・4円/kW、原発の5・9円/kW(あくまで経産省の試算)とくらべても遜色はない。CO2排出など環境コストを換算すれば、風力発電はもはや一番安い発電方法ともいえるのだ。
2001年北海道浜頓別町で稼動をはじめた日本初の市民風車(NPO法人が一般からの出資を募って建設)では、1口50万円の出資に対して、2年目にはなんと7万円を上回る配当を実現している。
経済成長にともない今後エネルギー消費が急増すると見込まれる中国でも、すでに日本並みの56万KWの風力発電が導入されている(2003年時点)。
バイオマス スウェーデンでは20%にまで成長
バイオマスの定義は、「植物による光合成で吸着固定化された炭素をエネルギー利用すること」であるが、その資源や利用方法は広範で多岐にわたる。
代表的なものの一つが、木材加工で出る木くずや森林の間伐材などを燃やして発電や熱供給(温水又は蒸気)を行う木質バイオマスだ。バイオマスが一次エネルギーの20%にまで成長したスウェーデンでは、国土の60%が森林で占められているという地理的条件を生かし、木質バイオマスが主流になっている(ちなみに日本の森林面積は、国土の70%)。
木質を燃やせば当然CO2も発生する。「温暖化防止に逆行するのでは?」と思う人もいるだろうが、木くずや間伐材はそのまま放置して腐らせてもCO2を排出する。森林が持続的に管理されていれば、CO2は大気中に排出されても再び吸収される。人間の手の加わった生態系の中でCO2がグルグルと循環しているのである。京都議定書でも温暖化にはつながらないとして、温室効果ガスには計量されないことになっている。化石燃料を地中深くから掘り出してきて燃やすのとはまったく違うのだ。
木質バイオマスが普及すれば、花粉症蔓延の原因となっているような森林の荒廃に歯止めをかけることができる。林業での雇用の再創出とあわせて一石三鳥の効果が期待できるだろう。
バイオマス利用のもう一つの主力がガスバイオマスだ。これは家畜糞尿、下水処理、生ゴミ堆肥化処理などからメタンガスを抽出して利用する方法である。スウェーデンではこの分野でも先進的な取り組みをしており、下水処理場で抽出したメタンガスを、都市ガスとして家庭に配給したり、ボルボが開発したメタンガス自動車の燃料に用いたりしている。
日本では埼玉県小川町で町とNPOの協力のもと、家庭から出る生ゴミを使って、地場の農家で用いる液肥と燃料のメタンガスを作る試みが行われている。また同町で有機農業を営む農場では、中国の農村部にならって家畜糞尿を用いたエネルギー自給がこころみられている。抽出されたメタンガスから燃料電池用の水素を改質して利用するなど、他にも様々な事例がある。
一般にバイオマス資源は他の自然エネルギーと同様、薄く広く分散している。畜産が盛んな地域では家畜糞尿を、人口密集地では下水や生ゴミを、山沿いでは木質を使うというように、それぞれの地域の中で特色を生かして利用することが肝要だろう。
今後分散型コジェネレーションとセット化することで、エネルギー効率を飛躍的に高めていくことが期待されている。
(エコアクション21)
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見学 バイオガスプラント 埼玉県小川町
生ごみがガスと肥料に化けた
草場 薫
ゴム袋にはメタンガスが詰まっている。 化石燃料に代わる自然エネルギーの一つとして注目されているバイオマス。桜も満開の4月の週末、埼玉県小川町下里地区にある生ごみを利用したバイオガスプラントを見学した。埼玉県小川町で有機農業を行っている「小川町風土活用センター(NPOふうど)」が町と共同で取り組んでいるものだ。
東京から車で約1時間。外秩父の山間に広がる里山風景の中に、生ごみバイオガスプラントはあった。20年前に小川町に移り住んだ有機農家の河村岳志さんが設営および管理・運営している。プラントは足場パイプとコンクリートパネルで組み上げられ、ディスポーザ(粉砕機)の据え付けられた投入口と発酵槽、発酵によって作られたガスを貯留する巨大なゴム袋からなっていた。
近くによると生ごみの臭い(発酵臭)が少しするが、強烈な悪臭はない。ぱんぱんに膨れたゴム袋から水道用のゴムホースで少し離れた河村さん宅にガスが引き込まれ、煮炊きに使用されている。
「夏場は発酵が盛んになって、使いきれないガスが安全弁からポンポン吐き出されるのでかえって温暖化を促進してます」と、冗談交じりに話す河村さん。ゆくゆくはガスヒートポンプによる空調などにも利用したいが、ガスに含まれる硫化水素が金属を腐食するため、その除去方法が技術的な課題だそうだ。
一方、ガスと同時に生成される液体は良質な肥料(液肥)として田畑にまかれる。液肥には肥料分のほか、ビタミン、ミネラルや酵素などが含まれ、作物に与えると病気や害虫が減り収量が増えるという。
ここで利用される生ごみは100世帯分。1世帯が1日に出す生ごみの量がおよそ500gなので、1日あたり50kgの生ごみを処理していることになる。
バイオガスプラントが作られる前、生ごみは町が1キロ当たり32円かけて焼却処理していた。このプラントなら12円で資源として活用できる。町は差額の20円を利用して作物の経費をクーポン券で買い取り、液肥で育てた有機野菜の引換券として生ごみを出した世帯に配布している。
家庭で出た生ごみがバイオガスと肥料になり、肥料で作られた野菜が家庭で消費され、そのとき出た生ごみが再び循環し……というように、地域内での消費と生産のサイクルが成立するのである。
「この仕組みがスタートした当時、システムに半信半疑だったり、よく分からない世帯もあり、ペットボトルなど生ごみ以外のものも混じって出される例があった」と河村さんは振り返る。
生ごみからできた肥料で作られた野菜が協力世帯に届くようになってから、生ごみの質もぐんと良くなったという。「自分のところの生ごみで野菜が作られるのだと分かれば、いい加減な出し方が出来なくなるのでしょう」
化石燃料を消費すれば、環境中の炭酸ガスが増加する。バイオマスは有機物として固定された炭素をエネルギーとして利用するため、総量で見た場合炭酸ガスは増加しない。
小川町での取り組みを見て分かったことは、単にエネルギーを取り出すという話ではなく、地域でエネルギーを循環させる仕組みがそのまま地産地消のシステムにもなっていくということだ。これからの生活のあり方の、一つの方向を示しているといえるだろう。
(エコアクション21)
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見学 風力発電 東京都江東区若洲発電所
他の電源との組み合わせで安定供給できる
矢吹 透
東京都江東区・若洲海浜公園多目的広場に設置された風力発電所 東京都江東区の若洲海浜公園多目的広場にある風力発電所を見学した。江東区が地球温暖化対策として、東京都の支援を得て総工費約6億円で建設したものだ。
新木場駅からタクシーで向かう途中、風力発電の風車がすぐ目に入った。周りに高層ビルがないので余計に目立っている。 風車のすぐ下に立って上を見上げると本当に大きい。タワーの高さは60m。風車の直径は80mほどで、羽が真上に位置したときには高さ100mになる。
定格出力(風車がつくる最大の電気)は1950kWで、起動風速(発電を始める風の強さ)は4m/秒、定格風速(1950kW発電するのに必要な風の強さ)は12m/秒となっている。発電した電力は公園内の施設に供給され、残りは売電されている。年間発電量の350万kWhは、一般家庭の1000世帯分にあたる。
見学に行った日は、天気も良く休日の午後ということもあって、公園には子供づれの家族がたくさん遊びに来ていた。風車の下にある表示板をみると「風速7・8m/秒、404kW」となっている。定格風速には足りてないが、騒音は全くといって良いほど気にならない。よく耳を澄ますと「シュッ、シュッ」と聞こえる程度だ。以前と比べて騒音問題は技術的にかなり改善されているようだ。
日本の電力会社は「10万kWhの風力発電を立地させると、風が止んだ時のために電力会社の負担で10万kWh分の他の発電手段を用意しなければならない」と述べ、安定した電力供給源として認めるのは難しいと風力発電には否定的だ。確かに風は自然エネルギーであり、石油や石炭のような化石燃料と違ってエネルギー密度が小さいし、供給面で安定性に欠ける面はある。
しかし風力発電が多くなれば多くなるほど、電源としての発電量の予測は容易になる。風力だけでは不十分でも、他の電源と組み合わせることで安定的に供給することは可能なのだ。実際にデンマーク、スウェーデンなど多くの国々で風力発電は設置されている。ドイツでは「循環とエネルギー促進法」が2004年4月に施行され、風力発電からの電力を買上げる場合、風の弱い地域に建てられた風車から高い価格で買い取る期間を長く設定することが決まった。促進法で風の弱い南ドイツを中心に、風力発電の建設の発注が20%増加したという。
自然エネルギーを導入する場合、国の積極的な政策は不可欠だ。風車は風通しのよい海岸や山地などに設置されることが多いので、周囲との景観を損なわないように配慮する必要もある。
風車のタワー部分には、手塚治虫の鉄腕アトムやブラックジャックなどのキャラクターが描かれていた。手塚治虫が生前、科学の進歩がもたらす環境汚染に強い懸念を訴えていたからだそうだ。でも鉄腕アトムって原子力をエネルギーにしていたのでは? 風力をイメージするなら「風の谷のナウシカ」の方がいい。
(エコアクション21)
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(2005年4月25日発行 『SENKI』 1176号6面から)
http://www.bund.org/opinion/20050425-4.htm