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ガソリン、リッター130円突破
石油大量消費時代は終わった
再生可能エネルギーに転換の時
http://www.bund.org/editorial/20050425-1.htm
4月4日、ニューヨーク商品取引所の原油先物相場は、1バレル58ドル28セントの史上最高値を更新した。地球上の世界の原油埋蔵量に限界が見えてきた一方、世界の石油消費量は増大の一途をたどっている。天井知らずの原油高騰の先に待っているのは、石油枯渇だ。石油大量消費の時代は終わった。
高騰続ける原油価格
原油価格の高騰によって石油製品の小売価格も軒並み高騰している。日本のガソリン小売価格は全国平均でリッター当たり122円(レギュラー、4日現在、消費税込み)。1年前の4月の全国平均リッター107円から15円、14%も値上がりし、10年ぶりの高値となった。
石油連盟の渡文明会長(新日本石油社長)は4月13日の会見で、「OPEC(石油輸出国機構)の生産余力低下など構造的要因が背景にある」と、原油高騰は当面続くとし、5月に卸価格を3円程度引き上げる可能性を示唆した。そうなればガソリン価格はリッター130円を突破する。化学メーカーは昨秋から数次にわたって石油を原料とする合成樹脂を値上げし、レジ袋やトレーなどの包装材も約2割値上がりした。
原油価格はその後、50ドル代にまで続落しているが、それでも37ドル台だった約1年前と比べると格段と高く、年初と比較しても20%以上も値上がりしたことになる。99年頃には10ドル台だった原油価格は乱高下を繰り返しながらも、トータルとしてはハイピッチで値上がりを続けている。ついに石油枯渇の時代がやってきた。
石油争奪戦争に未来はない
国際通貨基金(IMF)は4月7日、世界経済報告書を発表。「原油相場は引き続き高値圏で推移し、2030年の価格は1バレル当たり39〜56ドル(2003年の通貨価値基準)になる」との予測を明らかにした。
IMFのアナリスト、ラジャ氏は、「中国やインドをはじめとする発展途上国の生活水準の向上を背景に、原油需要は増加傾向をたどる」「発展途上国の自動車保有台数の増加が消費量を押し上げる」と指摘。今後も世界の石油消費は歴史的なペースで伸び続け、中国の2030年の石油消費量は、全世界の消費量の約4分の1を占め、米国の現在の消費量にほぼ追いつくと予想する。
一方、世界の石油供給は、増大を続ける石油需要にとても追いつけない。IMFの報告書は、2010年までに、石油輸出国機構(OPEC)非加盟国――アンゴラ、メキシコ、ノルウェー、オマーン、ロシアの石油生産がピークを超え、その後は中東諸国を中心とするOPEC加盟国への依存度が一段と強まると予測する。その中東石油も今世紀半ばには枯渇する。
3月30日付で米ゴールドマン・サックス証券は「原油価格は1バレル=105ドルを目指す急騰時代に入った」とするリポートを発表した。ガソリンや軽油・重油などの燃料、化学繊維、合成樹脂……、大量生産―大量消費システムに依拠した現在の私たちの生活は、石油大量消費に大きく依存している。いわば「石油の海の上に浮かんでいる」ようなものだ。原油価格が1バレル=105ドル(約1万1320円)にも高騰すれば、現在のような石油依存の大量消費社会はとてもじゃないが成り立たない。
ブッシュ政権のいう「中東民主化構想」とは、そうした石油枯渇を見越して、中東産油地域を米国が一元的に支配し石油を独占するための戦略にほかならない。自分たちだけはアメリカン・ウェイ・オブ・ライフを護持し続けようというのだ。
ブッシュ政権は、アフガン・イラク戦争以降、すでに世界石油争奪戦争を開始している。イラクでは10万人以上が米軍によって殺された。石油争奪戦争の拡大は、さらに多くの罪のない非戦闘員・一般住民を戦闘に巻き込み、世界を暴力と憎しみで引き裂いていくに違いない。このままでは21世紀は20世紀以上の戦争の世紀になってしまう。
石油ゼロ国・日本の生きる道
石油大量消費はまた、生態系破壊や温暖化など地球環境の壊滅的な破壊を引き起こしてもいる。人類文明は、石油枯渇をまつまでもなく、自らが生み出した地球規模での環境汚染と生態系破壊によって崩壊しかねない。
3月30日、国連は、「ミレニアム生態系アセスメント」をノルウェーのオスロで正式に公表した。世界95カ国の専門家1360人が50年後の地球環境をコンピューター・シミュレーションした結果、生態系の破壊が空前の速さで進行している現実が明らかとなった。
同アセスによると、調査した世界24ヶ所の生態系のうち15ヶ所は、すでに持続不可能なまでに生態系が破壊されてしまった。過去50年間、耕地の拡大によって広大な面積の森林や草原が消失。こうした生態系変化は、人類の歴史上、前例がない。その結果いまや、哺乳類・鳥類・爬虫類の1〜3割が絶滅の危機にある。
ミレニアム生態系アセスは、「今後50年間に生態系破壊はさらに悪化する。状況を変えるためには政策と制度の大きな変更が必要である。しかし、いまのところそのような動きはない」と現状を嘆き、「自然林の保護によって野生生物が守られるだけでなく、淡水が供給され二酸化炭素の排出が抑えられる」と私たちに積極的な活動の必要を訴えている。
地球温暖化も進行している。EUは、先進国が2020年までに90年比で15〜30%、2050年では80%の温室効果ガス削減を提案している。ドイツ・オランダなどは風力・太陽光への転換を進め、北欧諸国はすでにバイオガスでエネルギー消費の20%近くをまかない、ボルボ社などのバイオガス車も急速にシェアを拡大している。
米国の石油戦略への依存を断ち切るために、脱石油依存のエネルギー戦略を採用するEU諸国。日本も、一刻も早く再生可能な自然エネルギーへの転換を実現し、対米従属から脱却するべきだ。それ以外に石油ゼロ国・日本が、石油枯渇の21世紀を生き延びる道はない。
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東シナ海ガス田問題
アルザス・ロレーヌ共同開発の独仏に学ぶべきだ
中国で反日運動が盛り上がるさなか、東シナ海の天然ガス田をめぐっても日中の対立が激化している。東シナ海には、日本側海域だけでも、原油換算で5億キロ・リットルもの天然ガス・石油が眠っている。日本の原油の国家備蓄量の10倍、消費量の2年分にも相当する量だ。
4月13日、日本の経済産業省は、東シナ海の日本と中国との排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)の日本側で、民間開発業者に天然ガス田の試掘権を設定する手続きを始めた。中国はすでに2003年8月、EEZ境界線の中国側で「春暁ガス田群」の開発に着手し、今年8月にも操業を開始しようとしてる。
春暁ガス田は最も近いところで境界線から約5キロしか離れていない。天然ガスは境界を挟んで地下で日本側につながっていて、中国側で採掘すると、日本側の資源も吸い上げられてしまう。春暁ガス田群の操業開始を前に、日本政府も対抗的に天然ガス開発に乗り出そうとしているわけだ。
こうした日本政府の動きに対して中国外務省の秦剛・副報道局長は14日、「中国の権益と国際関係のルールに対する重大な挑発だ」と極めて強い調子で警告。「中国側は更に一歩進んだ対応を取ることを留保する」と、今後の日本政府の出方を見ながら対応する姿勢を示した。
中国側は、東シナ海の天然ガス開発に関して、必ずしも強硬姿勢一辺倒なわけではない。先立つ今月7日、中国外務省の崔天凱アジア局長は、「(日本側が)共同開発に原則合意するなら引き続き大きな枠組みの中で協議できる」と述べ、共同開発の合意が協議継続の前提になるとの考えを示している。
中国側は日本に共同開発を呼びかけている。一方日本政府は、中国政府の主張する「共同開発」が日中境界線の日本側海域に限定したものではないかと懸念。共同開発に難色を示してきた。
だが中国側の春暁ガス田群の操業開始を目前にして、「共同開発をめぐる中国側との協議は不可避」(外務省幹部)と認識を改めつつある。8日の記者会見で中川経産相も、「日中双方がデータを出し合うイコール・フッティング(対等な立場)に立てば、共同開発を全く排除するつもりはない」と発言している。
古くから資源争奪は戦争の大きな原因の一つだったが、最近は共同開発方式で決着する場合が少なくない。日本も1970年代に韓国との間で東シナ海の共同開発に合意した前例がある(日韓大陸棚協定)。
かつてドイツとフランスも、両国の境にあるアルザス・ロレーヌ (仏領)およびザールラント(独領)で産出する鉄鉱石と石炭をめぐって、しばしば資源争奪戦を演じた。しかし第二次大戦後、両国は同地方の共同管理で合意。それが1952年の「欧州石炭鉄鋼共同体」(ECSC)の設立につながり、欧州経済共同体(EEC)→欧州共同体(EC)→欧州連合(EU)へと発展していった。日中両国は独仏の経験に学ぶべきだ。
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「日本の常任理事国入りは困難」ボルトン次期米国連大使
小泉、頼りの米国にも見放される
中国外交部の秦剛・報道官は4月14日の定例記者会見で、「歴史を尊重し、歴史に対して責任を持ち、アジア各国の信頼を獲得できた国だけが、国際事務の中でもさらに大きな役割を果たすことができる」と述べ、日本の安保理入りを支持しない姿勢を明確にした。一方、ドイツについては、「平和発展の道を歩んでいる」と高く評価し、安保理入りの支持を表明している。
韓国の金三勲(キム・サムフン)国連代表部大使は3月31日、「日本は安保理常任理事国入りの資格がないと見て、(日本が常任理事国に)ならないよう努力する」と韓国人記者に語った。ドイツを訪問した盧武鉉・韓国大統領も、「ドイツには(理事国入りの)資格がある」と発言。「日本に資格があるか」との記者の質問には「ドイツについてだけ話したい」と言及を避けた(14日付けドイツのウェルト紙)。
4月11日、安保理常任理事国拡大に反対する韓国・イタリアなど9カ国(「コーヒー・クラブ」)は、ニューヨークで「合意のための団結会議」を開いた。非公開で行われた同会議には、計116の国連会員国とアラブ連盟など3つの地域国家連合が参加した。
出席した米国のハワード・ストッパー国連代表部公使は、「すべての加盟国が合意に達する前には表決で処理すべきではない」との立場を表明。中国の王光亜・国連大使も同じ要旨の演説を行い、非公式ながらロシアも米中に同意している。
米国は日本に対しては「常任理入り支持」と言っているが、実は常任理事国拡大による米国プレゼンス低下を警戒している。「現状維持」が米国の本音なのだ。11日、次期米国連大使に指名されたボルトン国務次官は、上院外交委員会の公聴会で、「安保理の構成変更は困難。反日デモが高揚し、中国の反対する状況で日本を推すことは事態を余計に複雑にする」と証言。ライス米国務長官も14日、「広範な国連改革の文脈に沿わなければならない」と日本の常任理入りを最優先しない姿勢を明確にした。
米国の言うとおりにしていれば、きっといいようにしてくれると勝手に思っていた自民党小泉内閣だが、まったく思惑は外れそうだ。
(2005年4月25日発行 『SENKI』 1176号1面から)
http://www.bund.org/editorial/20050425-1.htm