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「牛=蹄(ヒヅメ)のあるイナゴ」
http://www.h2.dion.ne.jp/~apo.2012/apocalypse-meat.htm#(5)
(貼り付け開始)
地球の環境問題からみた肉食の問題点
「地球の環境問題なんて、自分には関係ない」と思っておられる方も、以下に紹介する程度の内容は知識として持っておいていただきたいと思います。
地球環境問題を考えるときに、よく使われる有名な言葉があります。
Think globally,act locally.
これは「地球レベルで問題を把握して、目の前の小さなことから実行に移そう」ということを述べています。牛の飼育が地球環境を恐ろしいほどに破壊し続けているという事実は、まだほとんどの人が気づいていないかもしれません。まずその事実を知ることが大事だと思います。
しかし、牛肉生産の増大によって地球レベルで進行しつつある環境破壊を、一人の人間の努力で止めることはとてもできないことです。そのとき「自分一人がやっても無駄だ」と思うか、それとも「自分にできることからやろう」と思うかです。あなたはどちらを選びますか?
「肉を食べるのを減らす」ということも、立派な「Act locally」になるのです。
なお、ウシが「ひづめのあるイナゴ」として地球を食い荒らしている実態については、『脱牛肉文明への挑戦』(ジェレミー・リフキン・著/ダイヤモンド社)に大変詳しくまとめられていますが、あまりにも膨大な内容なので、ここでは雑誌『ダカーポ』に載った記事を紹介します。関心のある方はぜひ書籍を購入して読んでいただきたいと思います。
本の紹介 『脱牛肉文明への挑戦』 (ダカーポ/1993年)
地球上には、現在13億頭ものウシが飼育されているそうである。一家4人にウシ1頭の計算になる。1頭のウシは500キロの体重になるまで1200キロもの穀物を食べる。なんと世界中の穀物生産の3分の1は、飢えに苦しむ人達でなくウシの胃袋に納まっているのだ。しかも世界的な水不足のなか、穀物栽培には大量の水が必要で、アメリカ国内の水消費量の半分は飼料用穀物のために使われている。さらにウシの排泄物にはかなりの有機物質が含まれており、これらが地球に染み込んで地下水や河川を汚染する。なにしろ13億頭分だからその量もすごいはずだ。
また南米では、牧草地にするためアマゾン流域の熱帯性雨林が焼き払われる。100グラムのハンバーガーひとつのために、5平方メートルの森林が破壊され、植物、昆虫、鳥、哺乳類など重さにして合わせて75キロもの生物が犠牲になっているという。
この他、ウシが排泄するメタンガスによる地球の温暖化、ウシが踏み固める大地の砂漠化など、ウシ関連の環境問題は限りない。著者が「ひずめのあるイナゴ」と呼ぶウシの大群こそ環境破壊の元凶とも言えるのだ。
今や、飼育、飼料用穀物生産、輸送、食肉工場、流通といったウシから牛肉になるまでの全産業を支配する多国籍企業は、世界を「牛肉を食べる豊かな国」と「ウシの飼料となる穀物さえ食べられない国」に二分し、牛肉文明の発展と共に地球規模の畜牛複合社会を築き上げた。
評者 TBSニュースキャスター 吉川美代子
次にご紹介する中村三郎氏の『肉食が地球を滅ぼす』も、お勧めの本です。
『肉食が地球を滅ぼす』 中村三郎・著 ふたばらいふ新書
消えていく熱帯林
今、世界の森林は激しいスピードで減少を続けており、深刻な状態にある。この10年間で実に1億5000万ヘクタールの熱帯林がなくなり、現在もなお毎年1600万ヘクタールが消失している。森林伐採と焼畑農業が主たる原因だが、牛や羊など家畜の放牧地への転換もまた大きな要因となっている。
アメリカなど先進国における畜産はフィードロット方式が主流だが、世界全体でみると、放牧による飼育の方が多い。そして、そのほとんどがブラジル、ベネズエラ、などアマゾン川流域の中南米諸国に集中している。食肉を大量消費する先進国の企業が、これらの国で食肉増産のためにアマゾンの熱帯林を切り開いて家畜の放牧地に変えているからだ。今日、アマゾンの土地に約600万頭の牛が放牧されているという。世界の熱帯林の半分をアマゾン地帯が占めている。そのうちの20パーセント(日本の総面積の3倍にあたる1100万ヘクタール)が、放牧地の開発ですでに失われている。
この放牧地の開発は、中南米諸国によるアマゾンの商業利用計画が始まった1970年頃から急速に広がった。各国の政府がアマゾン地域への投資を奨励したため、先進国のアグリビジネスが牛の放牧場の建設を目的に、アマゾンの奥地にまで殺到した。土地の農民が所有する森林をわずかな金額で買収し、食肉生産のために熱帯林を切り倒していった。
放牧地は、牛の群れに根こそぎ牧草を食べつくされ、養分や水分の枯渇、表土の流失を招いて、たちまちのうちに、種をまいても芽が出ないほど荒れ果ててしまう。そして、放牧に使えなくなると、その土地は打ち捨てられ、牧場主は次の放牧地を求めて、さらに熱帯林を切り開いていく。先進国の牛肉消費を支えるアグリビジネスの企てのもとに、こうした乱開発のパターンが繰り返され、アマゾンの熱帯林はどんどん減少していったのである。
中南米の中でも熱帯林の3分の1を占めるブラジルでは、1970年から10年足らずの短期間に40パーセントもの森林が消えた。アメリカのワールドウォッチ研究所の報告によると、アマゾンで生産された牛肉からハンバーガー1個を作るのに、5平方メートルの森林が伐採されて放牧地に転換された計算になるという。
アマゾンの森林には、さまざまな動植物が生存している。地球上に存在するとされる約100万種類の動植物、微生物など全生物種の5分の1が、ここに集まっているとみられる。もし、このまま森林破壊が進めば、今後25年間で動植物の約半数が絶滅の危機に瀕する恐れがあると言われている。
また、熱帯林は、雨水を土から吸い上げ、葉から蒸発させて大気にもどすという雨水の循環作用を行なっている。熱帯林が少なくなれば、その地域の降雨量が減るわけで、旱魃や砂漠化をもたらす。南米の先住民の間では、「熱帯林が空を支えている。木を切り倒せば必ず天災が降りかかる」と、言い伝えられている。
熱帯林は、人間に多大な恵みをさずけてくれる資源の宝庫なのであり、我々の日々の生活がいかに熱帯林に依存しているかを深く心にとめなければならない。今、残されている熱帯林が消滅してしまうとき、地球の生態系は完全に崩壊し、すべての動植物は地上から永遠に消えることになるだろう。もちろん、そのときは人類も同じ運命である。
砂漠化する大地
家畜の放牧による影響は森林だけにとどまらず、土地の砂漠化も招いている。
現在、世界の放牧地面積は耕地面積の2倍にのぼり、そこでは13億2000万頭の牛と17億2000万頭の羊やヤギが飼われている。人口の増加と歩調を合わせるように家畜数も年々増加しており、食肉、牛乳、皮革、その他の畜産物に対する需要の高まりとともに世界各国で過放牧を引き起こしている。
過放牧とは、放牧地で牧草の生産量が家畜による消費量に追いつけない状態をいう。過放牧になると、つねにエサ不足の牛たちは食欲を満たすために、あちこちの草地の牧草を食い荒らし、草の根まではぎ取ってしまう。すると地層がむき出しになって、土壌基盤が脆弱化し、風や雨に浸食されやすくなる。
過去50年の間に、世界の放牧地の60パーセントが過放牧のために荒廃した。
穀物メジャーの暗躍
世界の穀物をほぼ独占的に扱っている存在として、「穀物メジャー」と呼ばれる巨大アグリビジネス(Agribusiness=農業関連企業)がある。アメリカに本拠地を置く10社程度の多国籍食糧商社で、カーギル、コンチネンタル、ブンゲ、ドレフェスなどが有名である。
穀物メジャーは、世界各国に集荷網、販売網を張りめぐらせて、農地から世界市場までを統合した流通組織を支配している。大豆、小麦、トウモロコシなど世界の農作物貿易量の70パーセントを扱い、また、アメリカの全穀物輸出量の80パーセント以上を扱っているという。世界の穀物のほとんどは、この一握りの企業によって牛耳られているのであり、その支配力は一国の食糧政策をも左右するほど強大なのである。
それほど大きな影響力を持ちながら、しかし最近まで、その実態はよく知られていなかった。というのも、穀物メジャーはすべて同族会社であり、株式を公開していないため、年間取引額や利益、投資計画など経営内容がいっさい外部には明らかにされないからだ。徹底した秘密主義で、しかも少数の同族グループでがっちりと固められている。一種のマフィア的組織の感がある。
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