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(回答先: 民事訴訟法に明確に違反したもんじゅ最高裁判決・海渡雄一(もんじゅ訴訟弁護団) ― 「原子力資料情報室」より 投稿者 シジミ 日時 2005 年 5 月 31 日 22:18:26)
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/science/news/20050530k0000e040082000c.html
もんじゅ訴訟:設置許可で住民側の逆転敗訴確定 最高裁
核燃料サイクル開発機構(核燃機構、旧動燃)の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を巡り、周辺住民32人が国による原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟で、最高裁第1小法廷(泉徳治裁判長)は30日、原発訴訟で初めて住民勝訴とした名古屋高裁金沢支部判決(03年1月)を破棄し、住民側の請求を棄却した。判決は「安全審査に看過し難い過誤、欠落はなく、許可処分が違法とはいえない」と述べた。住民側の逆転敗訴が確定した。
判決は、設置許可前の安全審査のうち、2審が「看過し難い過誤、欠落」と認定した(1)ナトリウム漏れ事故対策(2)蒸気発生器伝熱管の破損事故対策(3)炉心崩壊事故対策−−の3点について合理性を検討。三つのうち、実際に起きたナトリウム漏れ事故(95年)後の解析データも踏まえて審理したが「安全審査は合理的だった」として、いずれも2審判断を覆した。
また、伊方原発訴訟最高裁判決(92年10月)が「安全審査は、基本設計の安全性にかかわる部分だけを対象とする」とした判例を踏まえ「どこまでを基本設計の範囲に含めるかも、国の合理的判断に委ねられている」と国に一定の裁量があるとの見解を明確にした。
2審は、安全審査に重大な違法があると判断し、施設の潜在的な危険性も重視して、行政処分を無効とするための要件とされた「重大」かつ「明白」な違法のうち「明白性は不要」と判断し議論を呼んだ。この点も争点だったが、最高裁は、安全審査の違法性自体を否定したためこの点に関する判断を示さなかった。
判決は5人の裁判官全員一致による判断。
住民らは85年9月に提訴。当初は原告適格が争われ、最高裁が92年9月、住民側全員に原告適格を認め、審理を福井地裁に差し戻した。実質審理に入った差し戻し後の1審は請求を棄却したが、2審は「安全審査にミスがある以上、放射性物質が放出される具体的危険性を否定できず、重大な違法がある」として許可を無効と認めた。
もんじゅはナトリウム漏れ事故後、運転を停止したが、今年2月に福井県の了解を得て、改造工事の準備が進んでいる。諸外国が高速増殖炉から撤退し、日本でも実用化のめどが立たないうえ多額の経費を要することから、計画推進を疑問視する声も強いが、国は安全審査を妥当とした今回の司法判断を受け、予定通り3年後の運転再開を目指す。【木戸哲】
【高速増殖炉「もんじゅ」】燃えないウラン238を燃えるプルトニウム239に効率よく変換し、消費した以上のプルトニウムを生み出すため、国は「夢の原子炉」と呼ぶ。ウラン資源の利用効率が飛躍的に伸びるとされ、将来の核燃料サイクル政策の要に据えられている。核燃料サイクル開発機構(旧動燃)が91年5月、実験炉「常陽」に続く原型炉として建設。94年4月に初臨界、95年8月に初送電を果たしたが、同12月に冷却材のナトリウム漏えい・火災事故を起こし、長期停止に追い込まれた。
▽「もんじゅ」訴訟原告団の話 行政判断の尊重を口実にして、極端な行政追随を行う判決で、司法のあるべき姿と大きくかけ離れた不当なものだ。このような判断の下では、原子力訴訟そのものが成り立たなくなってしまう。
▽中川昭一・経済産業相の話 国の主張を認めた妥当な判決。今後も施設に厳正な安全規制を行い、地元、国民の信頼を得られるよう努める。
▽殿塚猷一・核燃料サイクル開発機構理事長の話 安全審査の適正さが確認されたと考える。着実に改造工事を進め、運転再開へ全力を尽くす。
毎日新聞 2005年5月30日 15時17分
「怒りを通り越してあきれた」。原告住民らは声を荒らげて、30日の最高裁判決を批判した。「核兵器にも転用できるプルトニウムを生み出す『もんじゅ』だけは止めたい」。そんな一念で、福井県敦賀市周辺の住民が始めた裁判は、提訴から20年がたった。その末に司法が出した最終結論に、原告団事務局長の小木曽美和子さん(69)は「大事故が起きなければ、住民の訴えは認められないのか」と唇をかんだ。
午後3時、最高裁第1小法廷。原告席には小木曽さんのほか、吉村清さん(80)らが顔をそろえた。「原判決を破棄する」。逆転全面勝訴となった名古屋高裁金沢支部判決(03年)を完全に覆す主文を、泉徳治裁判長が読み上げると、原告らは足早に法廷を離れた。外には「不当判決」の垂れ幕。雨の中、支援者らが「最高裁は住民の声を聞け」と声を上げた。
小木曽さんと吉村さんらは判決後、代理人弁護士らと弁護士会館で記者会見。「極端な行政追随だ。不当判決に屈することなく、もんじゅを廃炉にすべく、なお一層の努力を尽くす」。小木曽さんが原告・弁護団の声明を読み上げた。
小木曽さんは、15基の原発が集中する福井県内の反原発運動で、常に最前線にいた。76年に超党派の「原発反対福井県民会議」が結成され、事務局次長に。原告団は同会議が母体となった。この20年の間に、原告32人のうち6人が亡くなった。「1年ごとが長かった」と裁判を振り返り「もんじゅの危険性を広く認識してもらえた。意義はあった」と語った。
吉村さんは、1959年、当時の社会党から敦賀市議に当選。敦賀原発1号機の建設が持ち上がった62年、議会で議論したのを機に原発に疑問を持ち、76年、原告団長の磯辺甚三さん(95)らとともに「高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会」を結成した。
原告団長の磯辺さんは老人保健施設に入所中で、最高裁判決を聞くことはかなわなかった。86年、福井地裁の初弁論で「科学よおごるなかれ」と原発の“安全神話”に警鐘を鳴らした象徴的な存在。小木曽さんは「もんじゅだけは止めようという信念で大事な役割を果たされた。感謝したい」とねぎらった。【兵頭和行、平野光芳、八重樫裕一】
=◇=
もんじゅに関する著書がある京都大原子炉実験所元講師の小林圭二さん(原子炉物理)に感想を聞いた。
×
今回の判決では、事実認定に数多くの間違いがある。例えば、炉心崩壊事故が起きた際、最も深刻な影響を及ぼす炉内の動き(遷移過程)については安全審査で考慮したとしているが、根拠とされた解析は審査後のものだ。事実認定をきちんとした高裁判決をしっかり読んだのか疑問に思う。
もんじゅは95年のナトリウム火災事故後、約10年間停止している。核燃料サイクル開発機構はもんじゅ再開に向けて改造工事を進めるが、世界では10年も停止し運転再開した例はない。停止中、大部分の機器や配管は使われておらず、残っていたナトリウムの酸化や、材料の腐食、劣化が進んでいるだろう。弁やポンプなどの機器は長期停止していると正常に動かなくなることが多く、不具合を検査などですべて見つけ出せる保証はない。
フランスでは、原発が2年以上停止した場合、国の総合的な安全審査を受け直して万全を期す。もんじゅは、設置変更許可申請の対象となった2件(ナトリウム漏えい対策と蒸気発生器伝熱管破断事故対策)以外審査されておらず、安全確保の姿勢に違いがある。
各国が高速増殖炉開発から撤退する傾向は顕著だ。軽水炉より危険で、経済的にも成り立たず、核兵器拡散に直結する高速増殖炉に未来はない。
▽ 西川一誠・福井県知事の話 地元としては意味のある判決と考えているが、司法の判断と95年のナトリウム漏えい事故で揺らいだ県民の信頼とは別。(3年後にも予定される運転再開の地元判断をするために)国や核燃機構が信頼確保の努力をし、地域との連携をより深める必要がある。
毎日新聞 2005年5月31日 0時04分
高速増殖炉「もんじゅ」の原子炉設置許可処分を適法と認め、原告側逆転敗訴とした最高裁判決は、原発に反対する住民には極めて厳しい司法判断となった。「不当だ」と批判する住民側に対し、国や事業者は、事業推進への「お墨付き」と受け止める。それでも、かさむコストや安全性から、実用化には疑問符が付いたままだ。
「再開に向けた準備を粛々と進めるだけ」。もんじゅを推進する国や事業者は、国側勝訴の判決を最終的な“ゴーサイン”と受け止めている。
もんじゅは今年秋から約179億円かけた改造工事が始まり、08年初頭の運転開始が予定されている。文部科学省は再開後の10年程度で、当初の目的だった発電プラントとしての信頼性の実証やナトリウムの取り扱い技術を確立。その後も長寿命の超ウラン元素の燃焼などに取り組む計画だ。
運転再開後、順調なら年間100億円以上の売電収入が得られるが、運転・維持費は毎年150億〜200億円と見込まれる。このため建設費を含めた経費は近い将来、1兆円の大台に迫る勢いだ。しかも「原型炉」であるもんじゅの次の段階、「実証炉」の計画は今のところ全くない。
電気事業連合会は94年1月、もんじゅの成果を取り入れた実証炉1号機(出力66万キロワット)を00年代初頭に着工すると発表した。しかし、95年の円高に伴う内外価格差の解消、電力自由化の流れで状況は一変。政府の原子力委員会は97年末、高速増殖炉懇談会の最終報告で「将来のエネルギー状況を見ながら、柔軟に対応していく」とし、実証炉の計画は白紙に戻った。
国は次世代型の原子炉を見込んで、もんじゅを核とした実用化戦略調査研究を電力事業者とともに進め、2015年までに結論を出す方針だ。しかし、業界関係者は「電力業界には、将来も実績のある軽水炉の改良版を使えばよいとの意見も根強い」と明かす。
文科省の幹部は「国がせっかく開発した技術が捨てられてしまう懸念はある」と語り、実用化の見通しが不透明なことを認めている。【中村牧生】
◇2審の違法性指摘と正反対、国の主張を追認
30日の最高裁判決は、過去の判例に沿って、原子炉の設置許可に関する審査の対象を、安全対策全般でなく、原子炉と周辺施設の「基本設計」に限定したうえで、その内容について、国に一定の裁量権を認めた。このため、2審が違法性を指摘した数々の問題点は、安全審査の対象外とされ「現在の科学水準に照らしても、看過しがたい過誤、欠落はない」と正反対の結論を導き出した。
もんじゅ訴訟には大きな特徴があった。毒性の強いプルトニウムを燃料とし、水や酸素と激しく反応するナトリウムを冷却材として使ううえ、まだ研究段階にあるという施設固有の危険性を巡る安全審査の是非が問われた点だ。
実際に95年、2次冷却系でナトリウム漏れ事故が発生し、多くの国民が施設の安全性に疑問を持った。特に事故後の実験で、ナトリウムとコンクリート床との接触を防ぐために敷設された鋼板(床ライナー)に、特殊な腐食で穴が開く可能性があることが判明。この腐食対策も、訴訟で大きな争点の一つとなった。
名古屋高裁金沢支部判決(03年1月)は、稼働実績のある商業用原子炉に比べて安全審査の対象が広範囲にわたると指摘。事故後に分かった腐食への対策が、過去の安全審査で考慮されていないことを許可処分を無効とする要因の一つに挙げて国を厳しく批判した。
これに対し、最高裁判決は、安全審査の対象選択に国の裁量を認めたうえで、事故後に露見した欠陥については「許可前の審査対象に含まれていなくても不合理ではない」と判断。蒸気発生器の伝熱管破損事故対策で「高温ラプチャ型」と呼ばれる破損を考慮していなかったため「炉心崩壊を起こす恐れがある」とした2審の指摘も「高温ラプチャを相当程度回避できる設計で、合理的推論とは言えない」と国の主張を追認した。
だが、訴訟を通じて司法が確認したのは、原子炉設置許可をした時点の安全審査が「不合理ではない」という点だけだ。最高裁判決も「後続の認可の段階で十分な審査がされなければ、その認可の違法が問題とされる」と指摘、現在の施設の安全性まで保障したものではない。今後の科学技術の進歩で新たな知識が得られれば、信頼が再び揺らぐことも考えられる。国や事業者には、徹底した安全管理が求められる。【木戸哲】
◇核燃料サイクルとは…使用炉に応じ2種類
軽水炉で燃やした使用済み核燃料の中には、燃え残りのウランやプルトニウムが含まれる。使用済み核燃料を再処理してこれらを取り出し、新しい燃料として再度、原子炉で使うのが核燃料サイクル。これには軽水炉を使うものと高速増殖炉を使うものの2種類がある。
前者は、青森・六ケ所再処理工場の07年稼働で一部が動き出す予定だが、コスト高や余剰プルトニウムの発生が課題。プルトニウムはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料に加工し、軽水炉のプルサーマルで燃やす計画。
後者は、燃えないウラン(ウラン238)をプルトニウムに変換でき、ウラン資源の大幅な節約につながるが、当面動く見通しはない。
高レベル放射性廃棄物を深地層に埋める方法や場所は未定だ。【中村牧生】
◆研究開発必要ない
▽NPO法人・環境エネルギー政策研究所、飯田哲也所長の話 国の役人は自らのメンツのために上告し「政策が間違いでなかった」と誇示するために、運転を再開しようとしている。もんじゅに将来性はなく、研究開発も必要ない。国は高裁判決で敗訴した時点で、廃炉にすべきだった。
◆再開を急ぐべきだ
▽ エネルギー戦略研究会を主宰する金子熊夫・元東海大教授(社会科学)の話 今回の最高裁判決は予想通りの結果で、あっけないほど常識的なものだったと思う。高速増殖炉をやらないと、日本のエネルギー政策は未完成であり、もんじゅは早く運転を再開すべきだ。原型炉でもたついていては実用化の有無も判断できない。
【原発開発の4段階】新型の原発は「実験炉」「原型炉」「実証炉」「実用炉」の4段階で開発される。もんじゅは実験炉「常陽」に続く原型炉で、技術的な性能の見通しを得るのが目的。実証炉は実用規模の実証と経済性の見通しが目的で、電気事業者の責任で開発が進められる。
毎日新聞 2005年5月31日 2時22分
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