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(回答先: 日本の司法は地に落ちた・・・「最高裁お前もか?」 投稿者 膝枕 日時 2005 年 5 月 30 日 18:48:38)
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=159「原子力資料情報室」
民事訴訟法に明確に違反したもんじゅ最高裁判決
海渡雄一(もんじゅ訴訟弁護団)
1 もんじゅ最高裁判決にいたる異常な過程
1)今回の判決は最高裁の裁判官が書いたものではない。書いたのは最高裁調査官である。判決を読む限り、調査官は上告審での国が提出した文書しか読んでいないように見える。すくなくとも我々の立証をまじめに検討した形跡はほとんどない。このようなずさんな判決に対して内容も吟味しないで、易々と与した最高裁の裁判官の罪は万死に値する。
2)本件を担当した高世三郎主任調査官は2月18日の口頭弁論の事前の進行協議の席で住民の弁論について「法律論に絞って、各論は思い切って削除されたら如何ですか。」とまで述べたのである。しかし、最高裁判決に法律論は全くなかった。
3)自分は、事実認定に踏み込んで高裁判決の全面的書き直しをしながら、住民側には法律論だけを書けと述べ、第一小法廷の裁判官が調査官意見に異論を持つことのないように詐欺的誘導をしたのである。こんな子ども騙しのようなやり方が許せるのか。
2 上告審は法律審である
1)上告審が法律審であるということは、次の点を指している。
上告理由は憲法違反に限定される(民事訴訟法312)。
上告受理申立理由は判例違反と法令解釈に関する重要な事項を含む場合に限定する(民事訴訟法318)。
原判決において適法に確定した事実は上告裁判所を拘束する(民事訴訟法321)。
このように、高裁の事実認定を基礎に法律的に高裁判決に問題がないかどうかを判断するのが最高裁の本来の使命である。
2)最高裁の法律審としての役割を踏み越えている。
ところが、今回の判決はこのような最高裁の法律審としての役割を大きく踏み越え、高裁判決の事実認定について、全面的に筆を入れて書き直したのである。このような判決は明らかに民事訴訟法321条に明らかに違反している。
3 最高裁判決の不可解な点
1)最高裁による高裁の確定した事実関係による拘束無視
・ 上告受理申立理由と判決の関係が全く説明されていない。
・ 上告受理申立理由のメインであった第1−3は無視し、第4−8を問題とし、各論についての事実認定そのものを判決の中で取り上げている。
・ 最高裁判決は冒頭に基礎となる事実関係を「原審の適法に確定した事実関係<等>の概要は次のとおりである。」として、1−26頁に原審の適法に確定した事実関係以外の事実を付加して基本的事実関係として認定しているが、この中には原判決に基づかない事実が付加されている。しかし、最高裁の法律審としての制約からその根拠を示すことは不可能であり、結果として証拠に基づかない認定がなされている。
・ 逆に、原判決の適法に確定した事実関係のうち、最高裁の結論に矛盾する事実関係の多くが、根拠もなくこの認定から逸脱している。
2)無理矢理の事実認定によって事実誤認の続発
・ そして、十分な論争を経ないで、事実調べもなしに判断をしているため、最高裁は、ことごとく事実誤認を重ねている。
・ 例えば、ナトリウム漏れについて鉄板を敷くということだけが基本設計であるとするが、実際には変更許可において急速ドレーンの付加という変更がなされている。
・ 蒸気発生器の高温ラプチャについてはもともとの許可で発生しないことが確認されているとするが、そのような安全審査などされていない。既存の安全設備だけでは高温ラプチャの発生が不可避なために、カバーガス圧力計の付加など変更がなされているのである。
・ 炉心崩壊事故について遷移過程についても安全審査がなされているとするが、審査などなされていない。
・ このように、高裁判決には含まれない、誤った事実認定がなされた。
3)違法行政を追認救済する司法による行政のひいきの引き倒し判決
・ そして、最高裁は国が変更許可まで必要とした事件について、実はそのような変更は必要なかったのだといっているのである。行政追随と言うよりも違法行政を追認救済する司法による行政のひいきの引き倒し判決と評するしかない。
4 司法の著しい汚点
1)このような明らかに誤った判決が最高裁という最終審で、自判という形で下されたのは、司法の著しい汚点である。
2)もんじゅ廃炉で恥をかくのは最高裁である。
10年も止まっているもんじゅは、これまでほとんど運転はしていないがナトリウムを循環させてきた。既に劣化して老朽化している。ほとんどの技術者が退職してしまっている中で、簡単に運転再開などできるはずもない。直近の断層による大地震の危険性を指摘する国の地震調査推進本部の見解も示されている。かならず、もんじゅのトラブル・事故など問題が続出するだろう。闘いをやめなければいつか確実に廃炉に追い込める。そのとき恥をかくのは最高裁の方である。敗れたのは原告ら住民ではなく、国であり、最高裁である。
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