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Re: 権力の腐敗と衆愚、マスメディアの堕落を前提とした政治制度は可能か
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投稿者 如往 日時 2005 年 9 月 15 日 22:45:27: yYpAQC0AqSUqI
 

(回答先: 権力の腐敗と衆愚、マスメディアの堕落を前提とした政治制度は可能か 投稿者 侠骨 日時 2005 年 9 月 14 日 15:24:02)


 侠骨さん、こんにちは、はじめまして。
 標題の「権力の腐敗と衆愚、マスメディアの堕落を前提とした政治制度は可能か」に応答するという意味合いでは、結論的には実現性は低いだろうと推察しています。(多分、侠骨さんも楽観視されてはいないでしょう。)


 >日本人はなぜか改革という言葉に弱いようで、言霊のさきわうめでたい国だから、誰しも事実を検証する労をとるより言葉に酔いたいのだろう。おかげで小泉改革も最近ではリフォーム詐欺に類する詐欺の仲間入りをし、めでたい限りである。

 自らが改革の当事者になるのではなく、誰かが肩代わりをしてくれることにおいてそれを積極的に容認するといった日本人に独特な心的態度に付け入ったのが小泉自民党ではないでしょうか。つまり、“郵政改革”に限定することなく、国民全体にたいし改革へのコミットメントを促すようなメッセージであったのならば、おそらく無党派層の支持を得て票の上積みはできなかったでしょう。さらに、他人事の改革で国民の大半には改革の直接的な影響がないと有権者に思わせたこと、自民党の大勝利はそうした心象風景にある国民性なればこそ造り出した結果であると思っています。
 しかし、今回の選挙の場合、月並みではありますが特記すべきは国民の政治的意思表明の機会ではなく人気投票の場と化したことでしょう。その象徴が刺客と云われた落下傘候補者の存在に他なりません。私自身、如何に支持している政党であってもそれまで縁も所縁もない候補者を宛がわれて、その人に投票するのには違和感を禁じ得ませんが、そんな個人的な想いとは無関係に、地元議員の実績など吹き消されたかのように落下傘候補者にたいする人気投票の様相を呈していました。

 >あとは小泉に白紙委任したわけだから、国民がそのつけを払うよりしょうがないのだが、強者は政府が保護し、弱者は自己責任を強要される小泉政権(イラクでの人質事件を想起されたい)であることを各自心にとめておかねばならない。

 “白紙委任”は戦後60年を経ても日本人の民度が少しも進化・向上していないことを如実に表しているのではないでしょうか。それでも尚、日本国民は自らの責任を自覚せず、あまつさえ政府が自分達を護ってくれるだろうと考えているかも知れません。
 それよりも、今回の選挙で露呈したことは、殊の外、日本人の愚民化が進んでいるという事実ではないでしょうか。勿論、マスコミによる恣意的な隠蔽や誘導を見逃すことはできません。しかし、日本国民の無党派層の多くが衆愚に陥っていると読み切り、効果的に大衆操作を行っていったのが小泉自民党であり、一方の岡田民主党は自らが知的であるが故に日本人はそれほど酷くはないと自国民の知性を信じていた伏しがありますし、逆にそれがエリート意識に胡座をかいていて本気で政権を奪取しようとしているのか疑わしいと有権者に察知されたことにも繋がっていったのではと想われます。

 >ただ今回の選挙騒動のように、衆愚とマスメディアの体制翼賛が重なり合った恐ろしさを目の当たりにすると、こういった危険をあらかじめ想定した制度が必要ではないかという気がする。たとえば参議院を全国区だけとし、議員を政治や宗教団体などに所属しないものに限定し、十分なスタッフを揃えて政策を提言することを義務づけるとか。

 侠骨さんも極々悲観的な観方から日本の行く末を眺望していると感じますが、私も再度の選挙制度改革は政権交代が果たされないかぎり殆んど困難であろうと推察しています。細川連立政権の誕生や特に政権側に二大政党制への移行を唱導する小沢一郎等がいたことが現行選挙制度を成立させた大きな要因になったと考えています。けれども、果たして政府自民党が自分達の政権維持に不利になるような制度改革に積極的に取り組むでしょうか。遺憾ながら現状は民主党の再起に期待して、政権成立後の民主党にたいしより欠陥のない選挙制度に改めるように働きかける他には方策がないのかも知れません。

 ところで、デラシネ氏が“自発的服従論”を紹介されていますが、自発的服従の権化とはまさしく今日の日本人の政治的な在り方を表象しているのかも知れません。さらに自発的服従の延長線上には「人類の自己家畜化現象」(桃山学院大学尾本恵市教授)が現出して来るのは必至であると想われます。自己家畜化を甘受すべき運命として捉えるべきか、あるいは抗い脱却を図っていくべきか、ただ甘受するにしても抗うにしても、何れその意味づけをどうすべきかといった問題が生じて来るでしょう。
 しかしながら、取り分け日本人にとって自発的服従からの脱却は、そのためのモメントや駆動力を何に求めるかを含めて歴史的なアポリア(難問)です。おそらくはデラシネ氏が転載を通じて示唆されているように、我々が取り急ぎそこから脱するためには、例えば海外暮らしや外資系企業に勤務するなどして、これまでとは違った視座[Standpoint]から日本や日本人、さらに自分自身を捉え直す必要があるでしょう。
 喫緊のテーマでありながら、解決に至る途は遥かであります。 

 また、会いましょう。


“自発的服従論”http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/348.html投稿者 デラシネ 日時 2005 年 9 月 12 日

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